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木曜隔週コラム　　　　　　　　　　　　　　　　KUNI

　「　夢中になった瞬間　」


　サーフィンとは10代後半頃から、何度か出会っていたが、夢中になり始めた
のは、何年後の旅に夢中だった時だ。

当時、旅に夢中ではあるのだけど、この生活は長くは続かないことを感じてい
た。島や海でのゆるやかでのんびりした人々の暮らしに心惹かれていたから、
海や島を旅することが多かった。海は夏に行くところだったり、デートやBBQで
行くような非日常の場所だったが、帰国し海の近くで暮らしてみると海は身近
な場所となり、気負いなく自然にサーフィンの世界にはいっていった。

　そのサーフィンも、波に押してもらうだけの水遊び感覚でしかなかったもの
が、波の斜面をあがったりさがったりできるようになった。

　その感覚は２０年以上生きてきた中で、自分の身体が初めて出会った特別、
新鮮な感覚で、頭の中をリセットした感じだ。空中に浮くような浮遊感・想像
以上のスピード感・足元からやってくる波の巻き上げる大きなエネルギー。身
体には今までインプットされていない新鮮な体感やバランス感覚が、体に衝撃
を与えた。大げさに言えば、４本脚でしかバランスをとった事がない動物が初
めて２本足で歩行できるようになった感覚に近いんじゃないかと思う。その初
めての感覚が体にインプットされてからは、完全に虜になっていた。