秋は夕暮れ
夕日のさして、山の端いと近うなりたるに
烏の寝所へ行くとて 三つ四つ 二つ三つなど飛び急ぐさへ あわれなり
(清少納言 「枕草子」)
本格的に秋です。
私は相変わらず半袖1枚ですが
街をゆく人々の装いもみんな秋になりました。
カメラを持ち歩くようになってから
秋がいちばん楽しみかも知れません。
早く帰ってビールを飲みたいから、
京都あたりに出かけても、いつも3時過ぎには帰路につきます。
でも昨日は暗くなるまで京都にいました。
清水寺の境内から、西山に沈む夕陽を撮りたかったからです。
秋は彼岸花に始まって、
澄んだ空、コスモス、やわらかな陽射しに
そして晩秋の紅葉。
そんな「秋」を求めて、あちこちに出かけたくなります。
10月1日から秋期の発売が開始された「いい古都チケット」を使って
さっそく京都中を回ってきました。
先日 彼岸花を撮りながら
「もうすぐ街中に金木犀が香る季節・・・」などと思っていたら
仁和寺、白峯神宮、そしてたっぷりと御所。
京都の街は金木犀の香りでいっぱいでした。
私にとって御所という所は不思議な場所。
わざわざ行こうと思うことは少ないのですが、
ふと立ち寄っても決して後悔しないどころか
いつでも 「来てよかった」 と思える癒しの場所です。
自然の中で競い合い、あるいは助け合って生きる木々と違い
たっぷりとスペースを奢られた御所の特別な木々たち。
どの木も美しく、みんな「私が一番美しい」という
ちょっとお高くとまった気品があります。
遠く東に望む大文字山は、秋の色づきが始まろうとしていました。
不自由な足を引きずりながらも
まだ帰りたくなさそうな顔の妻を見て
「夕陽でも撮りに行こうか」と言ってみたのです。
「WBを曇りに変えてみるといい」
私は妻にも決して「AUTO」で撮らせないので、設定の指示をします。
でも最近は、露出補正は自分でやるようになった妻。
新しいカメラが相当気に入ったようです。
まいて雁などの列ねたるが いと小さく見ゆるはいとをかし
日入り果てて 風の音 虫の音など はた言ふべきにあらず
枕草子
いつもなら家でビールを飲んでる時間まで
二人でシャッターを切り続けていました。
清水坂を下りながら、これも爽やかな秋の風のおかげかなぁと
枕草子の一節を想いながら歩いた私。
生八つ橋など、おみやげもの屋で食べ物を見るたびに
「お腹すいたー!」と叫ぶ妻。