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カテゴリ:文学
作家・中島敦の「和歌でない歌」より
【憐れみ讃ふるの歌】 ぬばたまの宇宙の闇に一ところ明るきものあり人類の文化 玄々たる太沖(たいちゅう)の中に一ところ温かきものありこの地球の上に おしなべて暗昧(くら)きが中に燦然と人類の叡智光るたふとし この地球の人類の文化の明るさよ背後の闇に浮出て美し 幾万年人生(あ)れ継ぎて築きてしバベルの塔の崩れむ日はも 人間の夢も愛情(なさけ)も亡びなむこの地球の運命(さだめ)かなしと思ふ 学問や芸術や叡智や恋愛情この美しきもの亡びむあはれ いつか来む滅亡(ほろび)知れれば人間の生命いや美しく生きむとするか みづからの運命知りつつなほ高く上らむとする人間よ切なし お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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