生意気な心配はしない!
新作『黒髪のイヴ』は、この秋、9月末か10月に朝日アーティスト出版から刊行される『現代の絵画』第14巻に掲載される。この作品は随分以前の『林檎の樹の下で』のヴァリエイションともいえるものなので、『林檎の樹の下で』を同社からほぼ同時に刊行される『画家年鑑2009年版』に再掲載することにした。編集部からこの作品を表紙の一部に使わせてほしいと言って来たので了承した。 というわけで、絵筆も執らずに、半日、しばらく作っていなかった英詩を作って過した。ソネットを作ってみようと思ったのである。最初の連だけできていたものがあったのでそれに手を入れた。 ソネットは4行3連と2行1連、もしくは連に分けずに12行と2行からなり、押韻がABAB CDCD EFEF GG という形式である。シェイクスピアが得意としていた。 たとえばシェイクスピアのソネット集の第3番目は次のようだ。Look in thy glass, and tell the face thou viewestNow is the time that face should form another;Whose fresh repair if now thou not renewest,Thou dost beguile the world, unbless some mother.For where is she so fair whose unear'd wombDisdains the tillage of thy husbandry?Or who is he so fond will be the tombOf his self-love, to stop posterity?Thou art thy mother's glass, and she in theeCalls back the lovely April of her prime:So thou through windows of thine age shall seeDespite of wrinkles this thy golden time. But if thou live, remember'd not to be, Die single, and thine image dies with thee. (Sonnets of William ShakespeareよりNo.3) 作れるか作れないか、などと心配するのは生意気というもの。上のシェイクスピアを見れば分ることだ。シェイクスピアはこの厳密な形式で154ものソネットを書いた。作れるはずがないのだから、自分のできる限りをやってみる。これが私のモットーだ。引きはしない。 四苦八苦して3連12行まで書いた。残り2行でどうまとめるか。・・・今夜はもうしばらく悪戦苦闘をつづける。