白線帽に会津城の紅葉
ここ2,30年、高校生の学帽姿をとんと見かけなくなった。四谷あたりを歩いていると学習院の小学生の学帽姿に出会うくらいだ。それはそれで時代の流れ。学帽がなくなったからといってたいした問題ではない。 先年、40数年ぶりに会津若松を訪ねたとき、旧知のEさんに同道してもらって自転車で市内を廻った。母校の会津高校にも行った。私の時代は男子高校だったが、現在は男女共学で、訪ねたのが夏の盛りだったので水泳部の女生徒が水着姿で往来していたのには大いに面くらった。Eさんの息子さんも会津高を卒業されたそうだが、学帽を嫌ってかぶらなかったという。会津高校の学帽は、旧制中学時代の名残りのように二本の白線を巻いて縫い付けてある。私の時代には、その白線帽子と白い鼻緒の高下駄が中学生達の一種の憧れで、私も入学と同時にまっさきに高下駄を買ってもらったものだ。 きょうの俳句、初めの句はそんな思い出を詠んだ。 白線帽に会津の城の紅葉かな 青穹 隔つれば尚鮮やかに紅葉散る 末枯れてなお凛とする檜かな 蔦紅葉たぐれば遠き昔なり 二日過ぎ月冷えびえと鎌を研ぐ