春の雪
昨夜の雨が、今朝7時過ぎに雪になった。東京の天気予報は雨なのだが、西部多摩地方は都心とは気温の差があるのだろう。我が家の二階のベランダは、降り始めて4時間、すでに4cmほどに積もった。2日前に取り払ったばかりの地植えのシンビジウムの雪囲いを、ふたたび施した。きのう芽を出したアガパンサス(紫君子蘭)はそのまま。同じ蘭でも扱いがちがうと思っていることだろう。「強い、強い、君は強い子なんだ」 そうだ、思い出した。現在は大学生と高校生の二人の子供の親となっている末弟が、まだ5,6歳のころのこと。雪が降りしきる日に、近所の友達の家に「遊ぼう」と誘いに行った。友達は家のなかから、「外は寒いから遊ばない」と応えた。すると、末弟は、「こどもは風の子なんだぞー」・・・あとで、その友達のお母さんが、笑いながら話していた。 「こどもは風の子」・・・こんな言い方を耳にしなくなった。もっとも、時々、寒風が吹く日に、半袖のTシャツに半ズボン姿の小学生をみかけることがある。そうかと思うと、身動きがままならぬほど着膨れた子供がいる。どちらもそれぞれの親の生活教育なのだろうが、傍から見ているといずれも極端。どちらの親とも付き合いきれない人間性が透けて見える。 以前、銀行のATM機の前で、順番待ちの人の列ができはじめているのを知らぬげに、幼児に操作を指示している母親がいた。大事な社会教育の一環と考えているようだったが、利用者のなかには急を要する人もいよう。時と場合をわきまえないのだ。社会教育が必要なのはむしろアナタだ、というような親が、実に多いことに気がつく。 私は、そのような場でじっと黙って見過ごす人間ではないので、その母親に言ったものだ。「あなたはこの利用者の列がみえないのですか。子供に機械の操作をおしえたいのなら、利用者のいないときになさい。あなたのやっていることは、子供さんのためには、かえって良くないことだとは思わないのですか」 雪の話がとんだ方向へ進んだ。 春雪の静かに降りて昼餉かな 青穹