エリック・ファーラン=アンカウア氏のピアノ演奏
ふと思い出した。私が若い頃、能楽師の梅若夫妻と連れ立って我家に遊びに来てくれたフランスの天才的なピアニスト、エリック・ファーラン=アンカウア氏が演奏するドビュッシーだ。 当時、エリックさんも20代そこそこだった。クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで受賞した直後、横浜音楽祭が招いての初来日は、たしか19歳だった。来日のたびにピアニストの山岡優子先生が私をお招きくださり、彼の演奏を聴きに行っていた。新日本フィルや他の日本の交響楽団と何度も共演されている。 「いつもヤマダさんの眼が、演奏している私の指を見ていますね」と言った。 「えっ? 分かりましたか?」 「分かります。一番前に坐っていられるのだもの」 そんなやりとりと共に、エリックさんのピアニズムに、クラッシックとジャズのフュージョンに向かう気配を感じていたことを思い出した。 私は歳をとり、エリックさんも50代半ばと成られたはず。You Tubeを検索してみると、ご活躍の映像がいくつも見つかった。 ドビュッシーの『金魚』の演奏もあった。エリックさんの『金魚』を聴いてしまうと、好きだったミケランジェリの『金魚』が退屈になってしまう。それほどにエリックさんの演奏はスリリング。 いっそ、ここにご紹介しましょう。曲の解釈に彼の強い個性が感じられるでしょう。エリック・ファーラン=アンカウア氏のオフィシャル・サイトここには以下のライブ録音があります。他に12本のヴィデオ・ライブがあります。ヴィデオのなかに、11歳の少年時代に交響楽団と共演してメンデルスゾーンのピアノ協奏曲を演奏する映像があります。私の家に遊びに来たころの面影をしのばせる美少年の----ドビュッシー『花火』『金魚』、モーツァルト『ピアノ協奏曲 No.12』、スクリャービン『ピアノソナタ No.3』、リスト『ピアノ協奏曲 No.1』、ショパン『即興曲 No.1』、ガーシュイン『前奏曲 No.1, No.2, No.3』、ジョルジュ・エネスク『ピアノとヴァイオリンのためのソナタ No.3』、バッハ『ゴールドベルク変奏曲 1~7, 25~Fin』、ストラヴィンスキー『ピアノラグ』、ラヴェル『ファイナル・コンチェルト G』You Tube で聴くエリックさんの演奏ベルリオーズ/リスト 「幻想交響曲」ベルリオーズ/リスト 「幻想交響曲」(舞踏曲版)2009年「ベルリオーズ・フェスティバル」にてライヴ録音ベルリオーズ「幻想交響曲、ワーグナー「タンホイザー序曲」、リスト「二つの伝説」から抜粋による、リストによるピアノ版ドビュッシー 「金魚」ストラヴィンスキー「春の祭典」ドヴォルザーク 「ユモレスク」 シューマン「クライスレリアーナガーシュイン「ラプソディー・イン・ブルー」 ガーシュイン「プレリュード No.3]デイヴ・リーブマン作曲「スリー・アズ・ワン ~ ソプラノ・サクソフォンとピアノのためのソナタ」フランス・ストラスブルクにおいて世界初演のためのリハーサルエリック・ファーラン=アンカウアとマーティアル・ソラル対談(1)エリック・ファーラン=アンカウアとマーティアル・ソラル対談(2)