レオナルド・ダ・ヴィンチの絵が売りに出されている!
ニューヨークから「ほーッ!」というニュースが入ってきた。レオナルド・ダ・ヴィンチの絵が売りに出されるのだそうだ。 2011年、アメリカの個人蔵である『サルヴァトール・ムンディ(救世主);Salvator Mundi』が、レオナルドの作と認証され、当時、私もブログに書いた。65X45cmほどの小品で、救世主が右手で祝福印を、左手に世界を象徴する水晶球を持っている。 古くは英国王チャールズ1世が所蔵し、18世紀には競売にかけられイギリスの蒐集家の所蔵となり、さらに20世紀初頭の所蔵者はわずか45ポンドで売却。下って2005年にはアメリカの画商の手に渡り、さらに2013年にはスイスの画商を経由して約1億3000万ドル(130億円)でロシアの蒐集家の所蔵となったと聞いている。 レオナルドの作品としては主題がきわめて特異であると、私は思っている。レオナルドは幼児イエスは描いているが、成人としての、救世主としての、正統的なアットリビュートが描かれた絵は、この『サルヴァトール・ムンディ』がもし真筆ならば、唯一無二のはずだ。 専門家の鑑定に対して私の考えを述べるのは気が引けるが、左手に持つ世界の象徴としての球体は、他の画家の同じ主題と比較するとき、きわめて異例であることを指摘できる。他の画家は、球体とはいえ地球であることが明瞭であったり、世界支配の象徴としての王冠がかぶせられている。しかし、当該作品は透明な球体である。それはまるで魔術の水晶球のようである。この事実は、レオナルドの「思想」を考察するときに意味をもってくるのではあるまいか。 さて、それはそれとして、残すところ1ヶ月、すなわち11月15日、ニューヨークのクリスティーズは, "The Post-War and Contemporary Art Evening Sale" と銘打った競売に、このレオナルド作品を出すというのだ。下見展示会がニューヨークを始め、サンフランシスコ、香港、ロンドンの特別会場で現在巡回進行中である。もちろん顧客は厳選されているであろう。競売は、予想では、$1,000 million〜1,500 million(10億〜15億円)から開始されるのではないかと言われている。