まずは口輪筋の運動から
来年のニューヨーク展のための作品構想が、何をしていてもどこかに付きまとう。イメージの核となる思想や、無からイメージを湧出させるための吸引象形は、私のこころに、頭に、---何だろう,自分にもよくわからないのだが----茫漠とした私自身の存在の「気配」のなかに投げ入れた。まるで大海に釣りのための餌を投げ入れるように。そのうちにイメージが餌に食いつき、クイクイと引き出す。そこから私の具体的な制作準備が始まる。---いま私は落ち着かない。 先日引き受けた地域のサロンの文化祭のための朗読。---2年前になるか、やはり同じサロンで、伊藤桂一『川止め』と荒俣宏さん訳のアンデルセン『裸の王様』を読んだ。きょう、書棚をさぐって、いくつか選んでみた。內田 百閒、永井龍男、三島由紀夫、宇野千代、吉行淳之介、山川方夫、杉本苑子、花輪莞爾、藤沢周平----。ためしに声に出して読んでみる。 3,40分で読み切れるもの。聴いてわかりやすいもの。---うーん、外国作家の翻訳にしようか。 まあ、とにかく1ヶ月後なので、口輪筋の運動をし、舌の運動をし、試し読みした作品に鉛筆でチェックをいれるなどして練習。私は合唱の本番前にも人前もかまわずひょっとこ顔で口輪筋の運動をするけれど、一曲の歌は短い。せいぜい3,4分。しかし40分、休み無しに淀みなく明瞭に朗読するためには、この老人の口輪筋やら口角下制筋やら頬筋やらを目覚めさせなければなるまい。