公文書における用語のこと
過日、民生委員・児童委員の月例会議において東京都福祉保健局の新規事業について説明があった。その中に【介護予防・フレイル予防推進事業】という項目があり、「介護予防・フレイル予防の普及啓発を実施する」と書かれていた。さらに、【高齢者の食環境整備事業】という項目。その説明には、「健康寿命の延伸に向けて、フレイルの原因の一つである低栄養を予防するため・・云々」とあった。 私は黙っていたが、内心に不快感があった。するとしばらくしてから、「近頃、フレイルという言葉を耳にしたり目にしたりするようになりましたが、フレイルという意味は・・・」と注釈が入った。 フレイル・・・frail、つまり「弱い」とか「脆い」という意味の英語である。したがって上記の事業の主旨は、介護に至る前段階にいる人たちについて予防策を講じよう、ということだ。 その主旨は良い。尤も、こういう事業というのは、語弊を恐れずに私の意見を吐露すれば、病者や弱者の現実的な救済のためというより、それを取り囲む何らかの事業者が予算を蚕食するものだ。辛辣な観察眼で介護保険を取り巻く現状を見れば、私の言うことがあながち見当はずれでもあるまい。 いや、ここではそれを措いておこう。 私が会議中に不快を感じたのは、親切にも「注釈」しなければならなかった公文書における用語のことだ。 策定したのがお利口さんばかりなのか。それとも頭の中身はすっからかん、取り繕って偉そうに見せているのか。はたまた日本はどこかの国の植民地なのか。 国政でもよくやることだ。国民に説明するのに外国語を交える。たいていは裏に良からぬ企みがあって、国民を煙にまくため。何だか解らないうちに法案を通してしまう。・・・ あきれてしまうのは、ある会議でのこと、配布されたプリント資料のなかにいくつもの英語。いや、単語なり連語なりをまともに書いているのでもない。言葉の頭文字だけを連ねているのだ。SWだのSCだのICTだの・・・。それでその意味を説明していやがるの。バカなこと。きちんと日本語で書けばすむことを。時間の無駄だ。 私は内心につぶやいたよ。「なんだろね、こいつら」 ものはついでだ。嫌味をやっておこう。 「フレイル」という言葉。誰でも知っているだろうシェイクスピアの有名なセリフ。「弱き者、汝の名は女」 『ハムレット』にある。 「Fraility, thy name is woman 」(フレイリティ、ズィ ネイム イズ ウーマン)と言っています。