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山田維史の遊卵画廊

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2021年10月の記事

全26件 (26件中 1-26件目)

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衆議院議員選挙投票と最高裁裁判官国民審査をした

　午前中、衆議院議院選挙投票ならびに最高裁裁判官国民審査をした。自転車で行こうと思ったら、あいにく雨が降り出した。雨が降っても日本政治の地は固まるまい。いずれの政党にしろ、主な候補者の顔ぶれを見渡せば、そんな思いが私の胸に去来する。政治ばかりは「腐っても鯛」とは言えないのだ。　徒歩で山を下っていると、山裾の刈りとられた枯れ草の斜面に、二株の百合が刈り残されていた。「ああ、ことしも残してくれた」と、私は思った。市から委託された業者が、春秋2回、道路になだれるように鬱蒼と生い茂る草を刈る。しかし、いつもその二株の白百合だけは刈らずに残す。草刈り業者の顔を私はしらないが、かれらの心の奥ゆかしさを感じている。　ところで、その百合。すっかり枯れて葉も落ち、丈高い茎だけ斜になってゆらいでいたが、二株のうちの一株のちょっと不思議なことを私は見た。すっかり枯れ葉を落し、茎さへも茶色になっているのに、蕾がひとつ付いているのだ。もちろん百合の開花期はとおに過ぎている。夏、私はその開花を見ていた。いま、ぽつりと付いた蕾は少し割れかかっていた。これから白い大柄な花を咲かせるのだろうか。それともこのまま立ち枯れてしまうのだろうか。枯れてしまうのだとしたら・・・。私はなんとなく哀れを感じた。それがこの百合が負った自然の摂理だとしても。　ところがそのすぐ近くの馬頭観音の小さな祠のそばに、躑躅が咲いていたのだ。山裾をめぐる道路は、江戸時代には馬道だったらしく、その馬頭観音はかなり古い。しかし現在もなお、近所の敬虔な人たちが花を供えている。通りすがりに合掌する姿も私は見かけている。　話しがそれるが、和田誠氏が監督した秀作映画『麻雀放浪記』のなかに、大竹しのぶさんが演じた娘が、走りながら道端のお地蔵さんにチョコンと膝を曲げておじぎをするシーンがあった。じつに良いカットだった。・・・それとそっくりな場面に、私はこの馬頭観音の前で何度もであってきた。　その祠の右わきに一叢の躑躅がある。五月頃に開花する。私は、その躑躅がたった二輪だけだが、花を咲かせていることに気付いた。枯れ花ではない。元気な（と想われる）白い花である。　植物界にはときどき「季節はずれ」な現象がおきる。気候が影響しているのだろうが、同種属の群生のなかでわずか一、二ということが多く、なぜこのようなことが起るのか、私にはわからない。・・・花を咲かさなければならない理由があるのだろう。生きてゆくために、いまこの時を逃せない固有の事情が。その植物の研ぎすました「感性」が、「本能」が、生き抜くための「場」を察知するのであろう。・・・そう、生とし生きるものが生きているということは、そういうことだ。 In the morning, the House of Representatives electionvote and the Supreme Court justice national examina-tion were held. When I decided to go by bicycle, unfor-tunately it started to rain. Even if it rains, the land ofJapanese politics will not solidify. Looking at the facesof the main candidates in any political party, that feel-ing comes to my mind. Only politics can not be called"kusattemo tai (sea bream even if it rot)." Any way, when I was walking down the mountain, Inoticed that two lilies were left uncut on the slope of the dead grasses that were cut at the foot of the mountain. "Oh, they left them," I thought. Contractors commissioned by the city cut dense and overgrow grasses twice in spring and autumn so that it can be struck on the road. However, they always leave only those two white lilies without cutting. I don't know the faces of the mowing companies, but I feel graceful of their hearts. By the way, that lilies. they were completely dead and the leaves had fallen, and only the tall stems were slanted and swayed, but I saw a little strange thingabout one of the two lilies. It has completely dropped dead leaves, and even though the stem is brown, it has one bud. Of course, the flowering period of lily has passed. In the summer I was watching the flower-ing. Now, the bud was a little cracked. Will a large white flower bloom from now on?　Or will it die as itis? If it withers ... I somehow felt pity. Even if that isthe providence of nature that this lily owed. However, a stump of azalea was blooming nearthe small shrine of Batōkannon (Hayagriva) near that. The road around the foot of the mountain seems tohave been a horse road in the Edo period, and its Hayagriva engraving is quite old. But even now, devout people in the neighborhood are offeringflowers. I also see people worshipping with folded hands as they pass by. The story goes awry, but in the excellent movie"Mājan hōrō-ki" directed by Makoto Wada, a scenein which a girl played by Shinobu Otake bows tostone statue of Jizo (Ksitigarbha) on the roadsidewhile passing by, was there. It was a really good cut.... I've been infront of this Hayagriva many times in a scene that looks exactly like that. There is a stump of azalea to the right of the smallshrine. It blooms around May. But I noticed that theazalea was only two flowers were in bloom now. Theyare not dead flowers. They are helthy (I believed) white flowers. The plant kingdom sometimes has an "out-of-season" phenomenon. It may be due to the climare,but it is often only one or two in the same genus,and I don't know why this happens, ... maybe thereis a reason to have it bloom. There are unique cir-cumstances that cannot be missed at this time inorder to survive. The sharpened sensitivity" of theplant will detect the "place" for the "instinct" tosurvive. ... Yes, that's what it means to be alive.Tadami Yamada

Oct 31, 2021

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木星探査機〈ジュノー〉による成果

　私の個人的な事情で，アポイントメント無しに出かけなければならず、朝7時半に家を出た。昼前に帰宅。午後、しばらく仮眠。閑話休題　NASAの木星探査機〈ジュノー〉が収集したデータによって、あらたな発見をしたという。木星の大赤斑の深さが判ったのである。　木星の大赤斑の観測は1830年からつづいているそうだが、1830年といえば日本は天保元年だ。その2年前にシーボルト事件があり、天保2年には『東海道中膝栗毛』の作者十十返舎一九が没していた。そんな時代から欧米の天文学者たちは木星の大赤斑を観測していた。驚きだ。そして、その科学する知的好奇心に、私は嬉しくなる。　さて、木星の大赤斑はこれまでパンケーキのような形状をしているのではないかと推測されていた。ところが、木星探査機〈ジュノー〉が2019年の2月と7月に、幅約1万6000キロメートルの大赤斑の上を飛行して、大赤斑が深さをもっていること、それはたんに木星気候現象ではなく、深さが200キロから500キロあって木星の内部に深く入っていることをつきとめた。その探査方法は、〈ジュノー〉に登載したマイクロ波放射計によるデータを、地球上の科学者が3次元にリコンスティテュートしたのである。　私がこのニュースに関心を寄せるのは、大宇宙の成り立ちを人智によって解明してゆくことに対してであるのは無論であるが、「視覚化」できたからである。大赤斑がパンケーキのような形をしているのではないかという「推測」に留まることなく、究明しつづける科学する意志を実感するからである。 It is said that a new discovery was made based on the data collected by NASA's Jupiter spacectaft "Juno". The depth of the Great Red Spot on Jupiter was known. It seems that the obser vation of the Great Red Spot on Jupiter has contintinued since 1830, but 1830 is the firstyear of Tenpo in Japan. Two years before that, there was the Siebold Incident, and in the secondyear of Tenpo, the author of "Tōkaidochū hizakurig", Jippensha Ikku, had died. Since that time, Westernastorinomers have been ovserving the Great Red Spoton Jupiter. I'm surprised. And I am pleased with theintellectual curiosity of science. By the way, it was speculated that Jupiter's Great Red Spot mighr have been shaped like a pan cake. However,in February and July 2019, the Jupiter probe "Juno" flewover the Great Red Spot, which is about 16,000 kilo-meters wide, and the Great Red Spot has depth, whichis just Jupiter. It was not a climatic phenomenon, but itwas found that it was 200 to 500 kilometers deep andinside Jupiter. The exploration method was a three-dimensional reconstitution of data from a microwaveradiometer listed in "Juno" by scientists on Earth. I am interested in this news because, of course, i wasable to "visualize" the origin of the universe by eluci-dating it with human intelligence. This is becauseI realize the will of science to continue to investigate,not just the "guess" thar the Great Red Spot may be shaped like a pancake.Tadami Yamada

Oct 30, 2021

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選挙公報をじっくり読む

　風が強い。隣家の夫人が庭を掃きながらそんな挨拶をする。　　垣超ゆる落葉の行き来御免請う　　青穹（山田維史）　衆議院選挙と最高裁裁判官国民審査とを31日に控え、公報をじっくり読む。　　帯襷みじかきままに掃く落葉

Oct 29, 2021

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灯油販売車が住宅街を巡回

　昨夕、この秋はじめての灯油販売車が住宅街を巡回していた。きょうも別の店の車が巡回して行った。流す音楽が異なる。方や「かあさんが　よなべをして〜」という、『かあさんの歌』。ただしメロディーだけ。そしてもう一方は童謡『おおさむこさむ』。こちらは歌唱で。・・・私は仕事場で、それらの大音量を聞いていた。その音に近所の建築現場の音が重なる。賑やかである。我家の駐車場にはその大工さんのバンが停まっている。　　建前のいよいよ忙（せわ）し秋の暮れ　青穹（山田維史）　大工さんたちは、年末前に完工してしまいたいのだろう。早朝から夕暮れまで、金槌を叩く音や、スクリュードライバーやハンドタッカーやらの音がしている。その音が私は嫌いではない。私もまた、大層小規模ながら、キャンヴァスを木枠に張ったりサンディング等で、トントン、ガーガーやっているのである。　きょう、新たな小品の塗りに入った。

Oct 27, 2021

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2ヶ月ぶり民生委員の地区会議

　午後1時半から民生委員の地区月例会議。月例といってもコロナ禍の最中なので、委員が顔を合わせるのは2ヶ月ぶりである。きょうも広いホールで、互いの距離をとってマスクをしての約2時間の会議。　私は会議に出かけるまで，午前中は作品制作。　寒くなってきたので、いつも頼んでいる紳士服専門店にジャケットを注文した。明後日、届けてくれるそうだ。　ここ4年間ほど、私の体型に変化がない。腹がへっこんでスッキリした。スーツをつくるときに、いつも言われていたのは、背がそりぎみで胸が張っているのだそうだ。この体型は上着を身体にフィットさせるのには作り手としては少々工夫がいるという。たしかに背中と布地の間にわずかながら隙間ができてしまうかもしれない。　私も歳をとってシャレ気が薄れた。自分の着るものに無頓着になった。既製服で満足するようになった。気をつけるとしたらトータルな色合わせくらいだ。その点は絵描きの自負かもしれない。　しかし、外出も少なく、仕事場にとじこもっているので、着ているものはひどいものだ。絵具だらけ、とびちったニスが生地にしみこんで固まってしまっている。しかたがないのだ。少し大きめの作品だと、一作完成するたびに着ていた一着を捨てなければならないのだもの・・・

Oct 26, 2021

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YouTube〈AIZUチャンネル〉

　車載動画で会津若松市とその近郊を、YouTubeでほぼ毎週更新しながら紹介している〈AIZUチャンネル〉というページがある。単なる観光名所めぐりではなく、会津若松市在住者でさへ滅多に行かないであろうような市内の路地をめぐったり、最近は戊辰戦争の戦跡やその戦死者の墓地をあちらこちらに訪ね、真摯で丁寧な解説をしていられる。　このチャンネルの主宰者「あきくん」は、どうやら会津若松市立第三中学校の卒業生のようで、おそらく50歳代と思われる。とすれば、私の後輩ということになる。尤も、私は昭和36年(1961年）の卒業生なので、当時の校舎は現在の謹教小学校がある場所。藩校日新館の天文台跡の真向かいが正門だった。「あきくん」が学ばれた校舎は、湯川べりの昔の第四中学の場所に新築されたものだろう。　「あきくん」の〈AIZUチャンネル〉を観る私の心情は少しばかり複雑である。　私は16年前、2005年8月、42年ぶりに会津若松市を訪ねた。第三中学校時代の恩師・清水先生の喜寿を祝う会を、第三中学校新聞委員会OB/OGが主催し、私も出席した。清水先生は顧問だったのだ。　じつはまったく偶然にインターネットを介して、先生と連絡ができ、私は訪問を約束したのである。先生は、私が42年ぶりの市内散策をする便宜にと、わざわざ新しい自転車をお買いになって待っていてくださった。「おめえのこと探して、あちこち手紙を出したけんじょ、みな返って来た。もしかすっと、死んだのかもしんねと思っていたよ」と。そして「あのころは、ヒョロヒョロしてたけんじょ、ガッシリして、これじゃあ街で出あってもわかんなかったべ。いやあ、たまげた、たまげた」と、先生は言われた。　その42年ぶりの訪問で、私は会津若松市が大変貌をとげたことを知った。42年前の面影はほとんど失われていた。私は歳月というものが濁流のごとく地形地勢を変えてしまうことを知らぬではなかった。お城の西出丸の西北の一本の老松が昔のままだったことが、かえって驚いた。私が中学2年生の時だったと思うが、三橋美智也の「古城」を主題歌とした映画の撮影が、その松の辺りでおこなわれた。その土手のすぐ下あたりで、木下恵介監督の「惜春鳥」の撮影もおこなわれた。私が訪問して数年後、その姿が美しかった老松も伐採されてしまったが・・・。　「あきくん」はご存知ないだろうが、なにしろ私は、お城の本丸が競輪場だったころを知っているばかりか、昭和28年ころの若松駅（当時はまだ会津若松という名称ではなかった）の駅前広場には人力車が客待ちしていたことを思い出すのだ。　そんなわけで42年ぶりの会津若松市訪問のときに、「わが青春の城下町」は、私の記憶のなかだけに存在するのだと思い知った。しかしながら、どういうのだろう・・・決してセンチメンタルからではないのだが、「あきくん」の〈AIZUチャンネル〉を観てしまう。いや、むしろ楽しみにしている。楽しみにしながら、同時に「歳月の残酷」を感じている。　　きょう、〈AIZUチャンネル〉について書く気になったのは、まったく忘れてしまっていたことを、思い出させてくれたからだ。　〈AIZUチャンネル〉が飯坂温泉を訪問していた。ほぼ冒頭近くで「若喜温泉」と「あきくん」が言われた（書かれた）。1994年に火災で焼失し、いまはその跡地が共同の足湯施設になっている、と。　「あっ、そうだった、若喜温泉だ」と、私は思い出した。昔は若喜旅館と称していたのではないか。　・・・あれは八総鉱山小学校の6年生のときだった。NHK合唱コンクールの福島県大会が福島市で開催された。それに八総鉱山小学校が出演することになり、福島市へ一泊の旅行をした。到着した当日、すぐに、たしか福島高校の教室を借りて発声練習と課題曲「若いおじさん」を歌った。その後、休息を兼ねて、飯坂温泉に行った。そして、入浴だけさせてもらったのが「若喜温泉」だった。　・・・旅館の名前をまったく忘れてしまっていた。それが、きょう64年ぶりに、〈AIZUチャンネル〉が思い出させてくれたのである。

Oct 25, 2021

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草の実は風に吹かれて何処やら

　新作小品が午後4時20分に完成した。　次ぎの作品の準備にとりかかった。この準備はやや長くかかるかもしれない。　　　草の実や風に吹かれていずこかな　青穹（山田維史）　　　草の実や順繰りめぐる自他の庭　　　（改作）草の実の風とめぐるや自他の庭 The nw painting was completed at 4:20 pm. Started preparing for the next work. This prepa-ratio may take some time.【Haiku】 Kusa no mi ya kaze ni fukarete izuko kana Where did the grass fruits blow in the wind? Kusa no mi ya zyunguri meguru ji-ta no niwa From my garden where the grass fruits roll around to another garden　(adaptation) Kusa no mi no kaze to meguru ya ji-ta no niwa The grass fruit is going around with the wind from garden of mine and to other's Tadami Yamada

Oct 24, 2021

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影が引きはがされている！

　木枯というにはまだ早かろうが、強い風が一日中吹いていた。ただいま19時35分になるところだが、私の仕事部屋の軒下を唸りながら風が通り過ぎて行く。　弟が東京外での定例句会から帰り、「ことしの冬は長くなるかもしれない」と言った。鮨折を買ってきてくれたのだ。昼食はその鮨にした。　私はあいも変わらぬ制作である。明日か明後日には完成するかもしれない。小さな作品だ。これまで描いたことがないイメージ。いささか情緒的。装飾性も強い。　昨夜の夢で、深夜3時ころに目を醒まして思い返し、どうも死の淵にたたずんでいたのではないか、と思った。夢としてそのように自らの死を考えたとしても当然の年齢のだから、もう余命を期待せずに、頭に思い浮かぶイメージは年来追求の主題に添おうが添うまいが取捨選択せずに描いてゆくべきではないかと、制作しながら自らに言い聞かせた。　そういえば、その夢のなかで、私は街で何かの本を探していた。就寝前に、ナサニエル・ホーソン著『新アアダムとイヴ』のことを考えていたので、そこから派生した何かを捉えようとして夢の中で本探しをしたのかもしれない。　そうして街をめぐっているうちに、知り合いの或る小説家の蔵書を見せてもらい、そのなかにフランスから届いたばかりという大判の美しい本があった。表紙をひらくと、見返しは淡い竹色に淡いピンクの小紋散し、なにか献辞らしい文字が流麗な筆でしたためられていた。ああ、いいなあ、と私は思った。　私の横の広い床に、2畳ほどの真っ白な紙が数枚敷かれていた。私が見やると、紙にうっすらと墨色の滲みが出てきて、それが黒い人形（ひとがた）になったと見るや、寝たままの格好でむくりと起き上がった。数枚の紙から人形がつぎつぎに現われて起き上がった。「影が引きはがされている！」と、私はじっと見つづけた・・・ It was too early to say Kogarashi (chilly wind), but astorong wind blowing all day long. Now it's about 19:35, but the wind is passing by, roaring under theeves of my work room. My younger brother returned from regul meetingof Haiku at outside of Tokyo and said "This wintermay be longer." He bought me sushi. I had that sushifor lunch. I am still the same production. It may be com-pleted tomorrow or the day after tomorrow. It'sa small piece. An image I have never drawnbefore. Somewhat Japanese atmospherer. It is also very decorative. In last night's dream, I woke up at about 3 o'clock in the middle of the night and looked back the dream, and I thought that I was on theverge of death. Even if I think of my own deathas a dream, it's a natural age, so don't expect life expectancy anymore. I told muself that I should go the image that comes to my mindshould be drawn without selection, whether ornot it follows the theme of pursuit for years,while I was making the work. By the way, in that dream, I waslooking for a book in the city. Before going to bed, I wasthinking about Nathaniel Hawthorne's "NewAdam and Eve," si I mignt have searchedfor a book inmy dreams trying to capturesomething derived from it. ... While traveling aroun the city, I wasshown the collection of a novelist I knew,and among them was a beautiful large-sized book that had just arrived fromFrance. When I opened the cover, theback cover was a pale bamboo color with pale pink pattern scattered on it, andsome dedication-like caracters werestored in a flowing and elegant brush.Oh, I thought it was good. Several sheets of white paper of sizeof about 2 tatami mats were laid on thewide floor next to me. When I looked at it, a slight black bleeding appeared on the paper, and when I saw it turnedinto a black shape of human being, andit woke up ina lying position like a spring-board. The shapes of human being appeared one after another fromseveral sheets of paper and got up. "Theshadow has been torn off!" I kept staringat ...Tadami Yamada

Oct 23, 2021

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長渕剛さんの歌詞の「月」

　終日の雨。午後3時過ぎ、どうしても外出しなければならず、ちょっと小降りになったところで出かけた。用事はわずか1時間ほどですんだ。　出かけるまで、朝から制作をしていた。ヘッドフォンで聴いていたのは、長渕剛さんの歌。　私が制作中の作品がおとなしい静かなイメージなので、私の気持が沈みこまないように、長渕剛さんの燃え上がるような、あるいは他人を燃え上がらせるような、エネルギッシュな歌を聴いていた。　私は今の作品に「月」を小さくシンボリックに描いている。長渕さんの歌は、三人称の詞もあれば、一人称の詞もある。いずれも太陽に向かって駆け上るような歌であるけれど、じつは一人称の詞のなかにしばしば「月」が登場する。そこに私は長渕剛さんの精神の複層する巾を、勝手に「そうか、そうか」と感じ、おもしろい、と思っているのだ。　というわけで外出するまで、長渕剛さんを聴いていた次第。　

Oct 22, 2021

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新蕎麦を打つ手

　　掃きもせで落葉拾いし二三枚　　青穹（山田維史）　　椿の実割れんばかりに割れずあり　　末枯（うらがれ）や行き交う人は足早に　　新蕎麦を打つ手うれしき美男かな　　コロナ禍や口に出されぬ秋祭　　

Oct 20, 2021

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単純な理屈

　この秋一番の寒さ。ただいま夜の9時を少し過ぎたところだが、室内の気温が19℃である。北海道では雪が降っているようだ。例年よりほぼひと月早い降雪だとか。　私は一日中、作品制作。一年一日のごときほとんど変わらぬ日常だ。　先日，主治医に「制作を離れる時間をつくったらどうです」と言われた。しかし、40年50年と変わることなくやってきた暮しぶりを、76歳になって変えるのは無理というもの。何をしてよいかわからず、かえってストレスとなるだろう。　76歳の他人がどんな日常をおくっているか知らないが、私は苦しんでいるわけではまったくない。むしろ、私自身が楽々と呼吸できる暮し、・・・精神が自由な暮しを、つくりあげてきた。そう、若いときの様々な葛藤を経て、そのような環境を「獲得」したのだ。　もちろん一日24時間ずっと制作しているわけでない。しかし、睡眠時間以外の時間は、ほぼすべて作品をうみだすための時間である。読書の時間、思索の時間、自然を感じるための時間、他人のすぐれた作品・・・クラシック音楽や大衆歌謡、あるいは映画や演劇や古典芸能（能や歌舞伎や落語や講談）等々を楽しむ時間。私にはジャンル分けをする感覚がまったくない。　しかしながら、私はアマチュア作品は観ない。聴かない。非常にすぐれたアマチュアがいることは充分承知している。けれどもその能力が、その人の生涯を決定するほど持続するかどうかは、私には判らない。つまり作品がその人の人生をどう支えているかが、私には重要な観点だ。　精神の問題のみならず、芸術・芸能にとって作品で金を得ることは大変重要である。作品に対する作家の責任という問題が出てくるからだが、しかし、金を稼いだからといって必ずしも優れているわけでもない。売れるということは大衆性や通俗性と関わっていて、作品の大衆性とはその作品が扱っていることがすでに既製化していることを意味する。作品と金とは、カネあいが難しいのである。　私にとって、へなちょこプロフェッショナルの作品など一層論外だ。観るも聴くも、私の時間の無駄。・・・他人の作品に対する私の一貫したこの態度は、じつのところ私自身の目と耳、五感を鍛えなければならないことを、自らに突きつけるのであるが。・・・昔から質屋の小僧の修行について、「一流品だけを見よ」と言われている。事実かどうかはともかく、その言葉には真実がある。目や耳は汚れるのだ。五感は鈍るのだ。小僧の私は出来るだけそれを避けようと思っている。　私は主治医に言った。「毎日、きちんと三食料理することで、息抜きしているのだと思います」　まあ、私は「料理」を人間の創造の原点と考えているし、生物はあらゆる生物が食わなければ死んでしまう。だから私は、自分が生きるために、自分の食う物は自分で料理する。単純な理屈である。私はじつに単純な人間だ。ハハハハ、である。 The coldest this fall. Now it's just past 9 o'clock at night, but the temperature inside the room is 19 degrees Celsius. It seems that it is snowing in Hokkaido. It snows almost a month earlier than usual. I made works all day long. It's almost the same everyday life as every day of the year. The other day, my doctor told me, "Why don't youmake time to leave the production?" However, it isimpossible to change the way of life that has beenunchanged for 40 years or 50 years untill the age of 76. I don't know what to do and it will be stressful. I don't know what kind of daily life a 76-year-old stranger has, but I'm not suffering my lif atall. Rather, I have created a life where I can breathecomfortably, and ... a life where my spirit is free. Yes, I "acquired" such an environment through vari-ous conflicts when I was young. Of course, I don't produce 24 hours a day. However, the time other than sleep time is almostall the time to produce the work. Time to read,time to think, time to feel nature. Time to enjoyexcellent works of others, ... classical music, pop-ular songs, movies, plays, Japanes classical enter-tainment (Noh, Kabuki, Rakugo, Kodan/storytelling),etc. I have no sense of genre classification. However, I don't watch amateur works. I don't listen them. I am fully aware that there are very good amateurs. But I don't know if that ability will last long enough to determine the person's (the artist's) life. In other words, how the work supports the person's life is an important point of view for me. It is very important to earn money from works notonly for mental problems but also for arts andentertainment. It raises the issue of the artist's re-sponsibility for work, but making money doesn'tnecessarily mean it's good. Selling is related topopularity. and the popularity of a work means thatwhat the work is dealing with is already ready-made.It is difficult to make money between a work andmoney. For me, the work of bungler professional is evenmore out of the question. Watching and listeningthem is a waste of my time. ... My consistent attitudetowrds the work of others tells me that I really haveto train my own eyes, ears, and senses. ... It has longbeen said that "see only first-class products" about the training of pawnbroker kid. Whether it is true or not, the word has truth. Your eyes and ears get dirty. The five senses are dull. As a ki, I try to avoid it as much as possible. I told my dotor, " I think i'm a taking a break bycooking three meals every day." Well, I think "cooking" is the origin of human creation, and living thing die if all living things donot eat. So I cook my food for myself to live. It's asimple reason. I'm a really simple person. Hahahaha.Tadami Yamada

Oct 18, 2021

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小雨降る日曜は

　　アラウ弾く月光ソナタや林檎食う　　青穹（山田維史）　　剪定をとりやめ眺める秋時雨　　過去消してストリートヴュー破芭蕉（やればしょう）　　車載画が歳月へだつ破芭蕉　　無花果（いちじく）や老いの弓張る弓筈（ゆはず）掛け　　　　

Oct 17, 2021

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こおろぎが座敷にあがり

　わが門（かど）に小雨も寒し薄紅葉　　青穹（山田維史）　こおろぎの座敷にあがりて鳴き音かな　栗飯を合鹿（ごうろく）に盛る十三夜　

Oct 16, 2021

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インフルエンザ予防ワクチンを接種

　朝のうちに主治医のクリニックへ行き、予約しておいたインフルエンザ予防ワクチンを接種してもらった。　長らくつづいた一連の作品制作が一段落したので、今後の制作に向かう体調管理のために、心肺の簡単なチェックもしていただく。　私の場合、病気、ないし体調不全が、即座に絵の「弱さ」となって現われる。これは作者である私だけが気付くことで、他人は気付かないことだが、私は、先日書いたように、ごくつまらない私の個人的なことがらを作品にするつもりは一切無いので、私の一時的な体調不全が作品を「弱く」することを自らに許さない。そういう自分の精神のゆるみを嫌う。したがって主治医にはしょっちゅうお世話になっている。主治医の診断によって、私の自己管理のメニューをつくっているのである。　フフフ、私の中にある無頼のウジャケタ精神は、歌謡曲のヤクザ歌をくちずさんで吐き出す。「赤と黒のブルース」とか、「大利根月夜」とか、「落葉しぐれ」「浪曲子守唄」「錆びたナイフ」「昭和枯れすすき」「船頭小唄」「涙の酒」「ネオン川」・・・日本の歌謡曲にはたくさんありましょう？　ハハハハ　さあ、そういうわけで、夜8時30分に新作の制作にとりかかった。最初の段取りとしての塗りをして一晩置けば、明日の午前中の作業にちょうどよい半乾きの状態になるだろう。その作業がうまくゆけば、この作品の背景の準備ができたことになる。

Oct 15, 2021

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ジョセフ・キャンベル著『フィネンガンズ・ウェイクの鍵』

　先日の日記で触れた、ジェイムズ・ジョイスについての最も批判的な論考といわれているジョセフ・キャンベル、ヘンリー・M・ロビンソン共著『フィネンガンズ・ウェイクの鍵』について、私の所蔵本を参考のために画像を掲載する。　ついでに、表紙に使用されているイメージについて。　アイルランド・ダブリンのトリニティー大学図書館所蔵の『ケルの本（The Book of Kells)』の中の「トゥンク（Tunc)」からの画像のデティールである。

Oct 14, 2021

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ちょっと寒い日

　　重ね着を鏡でちらとやゝ寒し　　青穹（山田維史）　　やゝ寒しくぐもる声が過ぎて行き　　身にしむや遠き電話の訃報聴く　　やゝ寒し月も籠れる雨つづき【Haiku】 Kasanegi wo kagami de chira to yays samushi A glimpse of wearing clothing over another in the nirror It's a littl cold toay Yaya samushi kugumoru koe ga sugite yuki It's a little cold Muffled voices passed by Mi ni shimu ya tooki denwa no fuhou kiku The air is a nippy Listen to the obituary of a distant by phone Yaya samushi tsuki mo komoreru ame tsuzuki As continued rain it is a littl cold today, The moon is also confined to cloudsTadami Yamada

Oct 13, 2021

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雨の一日の俳句

　　文机に頬杖つけば秋の雨　　青穹（山田維史）　　筆をとる手をとめるのか秋の雨　　静こころ聴くや草戸に秋の雨【Haiku】 Fuzukue ni hoozue tsukeba aki no ame Putting my elbows with cheek on the writing desk, I listen to the rain of autumn Fude wo toru te wo tomeru no ka aki no ame Does it stop my hand taking the brush? Autumn rain Shizukokoro kiku ya kusado ni aki no ame I listen with a quiet heart autumn rain falling on my poor houseTadami Yamada

Oct 12, 2021

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NY・オフ・オフ・ブロードウェイ舞台作品と『フィンガンズ・ウェイク』

　昨日の日記で触れたジェイムズ・ジョイス『フィンガンズ・ウェイク』だが、私は、この小説を原案としてあらたに創作されたニューヨーク・オフ・オフ・ブロードウェイの前衛的な舞台劇『六人を乗せた馬車』の日本公演を観ていた。1964年5月のことである。私が大学に入学した年で、私は東京に出て来て1ヶ月しか経っていなかった。たくさんの芸術作品を観ようと、アンテナを張ってはりきっていた。『六人を乗せた馬車』は、私が東京で最初に観た舞台芸術だった。　このことについて私はこのブログを開始した翌年の2008年12月3日の日記に書いている。当時の劇場パンフレットの画像を掲載して。　きょうは、その日記をそのまま以下に再掲載してみようと思う。【ジエイムズ・ジョイスを読み始める　2008年12月3日】　　ジェイムズ・ジョイス（James Joyce; 1882-1941）の『A Portrait of the Artist as a Young Man』を読みはじめる。　・・・と、書いて、思い出した。私が大学に入学し、上京して初めて観た芝居が、赤坂の草月会館ホールで上演されたニューヨーク・オフ・オフ・ブロードウェイの来日公演『6人を乗せた馬車』だった。これはジェイムズ・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』を下敷きにして創作された、前衛実験的なダンス・パントマイム・音楽劇である。男女5人の俳優が、平土間ふうの開放舞台でつぎつぎに役柄が変わってゆく。舞台装置はない。衣装もタイツのような単純なもので、たしかフラフープのような小道具ひとつで状況をつくりあげていったと記憶する。なにしろ私は18か19歳になったばかりで、前衛芸術に飢えるように鋭意注目していたので、ジョイスの難解な小説がこのようなステージ・ワークとして成立するのかと、驚嘆したのだった。・・・そうだ、資料箱のどれかにパンフレットを保存してあるはずだ。明日にでも探して、見つかったなら画像をお目にかけよう。『6人を乗せた馬車（The Coach with the Six Insides）』の日本公演パンフレット　表紙デザイン：細谷巌1964年5月1日～24日、東京・草月会館ホールジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク（Finnegans Wake）』による脚本・演出：ジーン・アードマン。作曲：テイジ・イトウ。出演：ジーン・アードマン、アニタ・ダングラー、ヴァン・デクスター、レナード・フレイ、ゲイル・ライアン。　ついでに記せば、演出のジーン・アードマン女史の夫は、ジェイムズ・ジョイス文学についての最も批判的評論として知られる『ジェイムズ・ジョイスの鍵』の共著者のひとりであり、神話学者のジョセフ・キャンベル。名著『千の顔を持つ英雄』や『神の仮面』の著者である。　さらに余計な追記でもあろうが、ロバート・キャンベル東京大学名誉教授はジョセフ・キャンベルの御息子でいられる。（20211011）・・・・・・・・・・・・・・・　私自身の上掲の過去の日記をあらためて読み返し、思想史としてもっと重要なことについて、私の見解（解釈）を書き留めておかなければならないと気付いた。　私は上掲の日記の末尾に、神話学者のジョセフ・キャンベルについて、「ジェイムズ・ジョイス文学についての最も批判的評論として知られる『ジェイムズ・ジョイスの鍵』の共著者のひとり」と紹介している。なぜジョセフ・キャンベルは、ジェイムズ・ジョイス文学に批判的だったのか。その点についての私の見解である。　それは私が昨日の日記に書いた『フィネガンズ・ウェイク』の夢見る人イアウィカーの言葉「O foenix culprit! ex nickylow malo comes nicklenassed bonum.」に、おおいに関係する。私はとりあえずと自己弁解する気持で日本語に訳し、「おお、不死鳥のごとく幸いなるかな！　悪魔は結局のところ広大無辺の虚無なのだから・・・罪を犯した者は不死鳥のように復活し、それゆえ悪から善が生まれるのだ。悪人は幸いなるかな。」とした。　このジョイスの思想は、キリスト教における「原罪」すなわち原人アダムの「堕落」と神による楽園「追放」、そして死ぬべき「運命」の付与、さらにその死とともにイエスに仮託された「復活」と楽園への「昇天回帰」に比する思想、ないしは依拠した思想と言えなくもない。事実、ジョイスの言う「善」は、キリスト教の聖ミカエルの祭に象徴されて現れている「善」と同じである、という説がある。　しかし、私はそのように思わない。まったく似て否なる思想だと思う。どこが？　　・・・ジョイスは神を当てにしていない。いや、神すら見てはいない。ジョイスが見ているのはただただ広大無辺の虚無であり、そこから善として新生する希望としての人間である。アダムに負わせた原罪を認めていない。人間が原罪を負った悪として大天使ミカエルに討たれる存在ではないのだ。　ジョイスの思想についてのこの解釈は、もちろん私の解釈である。　しかしながら、ジョセフ・キャンベルは、ジョイスに対して、もしかすると私と同じような解釈をしたのではあるまいか。そして神話学者として、あるいはキリスト教徒であったかもしれないキャンベルは、聖ミカエル祭に付与されたキリスト教教義に依拠してジョイスの思想を難じたのではないか。　ジェームズ・ジョイスはアイルランドの敬虔なカトリック教徒を母として生まれた。そして将来、聖職者になることを期待されていたという。たしかにジョイスの著作にはキリスト教に起因する言葉が使われている。しかし、彼はキリスト教文学の伝統を引き継いでいるのだろうか？　私はまったくそうは思わないのだ。その点が、ジョイスの思想に対するジョセフ・キャンベルの見解と私の見解の徹底的な違いである。　私自身は、私の解釈が正しいとして、ジョイスの思想に現代の世界を方向付け切り拓いてゆくヒントがあるのではないかと考えている。それは、原罪などという人間を卑屈にする思想を離れ、あくまでも目覚めた人間として、この世界に新生するということだ。　さらに付け加えれば、大江健三郎の「壊す人」とか、「新しき人」とか、「Rejoice!」という言葉とそのイメージに、私は夢見る人イアウィカーの言葉と重なる思いを押しとどめることができない。（20211011記）

Oct 11, 2021

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ジョイス『フィンガンズ・ウェイク』と『歎異抄』

　『歎異抄』の一節「善人名をもて往生を遂ぐ、況や悪人をや」は、悪人正機説の人口に膾炙する句である。　ところでジェイムズ・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』に登場する夢見る人イアウィカーの言葉として、こんなことが書かれている。原文のラテン語で書くと、　「O foenix culprit! ex nickylow malo comes nickle-nassed bonum.」　このごく短い言葉を、しかし日本語に翻訳するのは非常に難しい。というのは、幾つにも重なりあった暗示と組合せが引き出せるからである。たとえば nickylow という言葉は nick (悪魔）と nihilo（虚無）とのジョイスによる合成語であり、その語はまた次に出てくる nickle (広大無辺）という意味の言葉と呼応している。そして最初の foenix（フェニックス；不死鳥）は felix（幸い）という言葉を喚起せしめる。　つまり、夢見る人イアウィカーの言葉は、　「おお、不死鳥のごとく幸いなるかな！　悪魔は結局のところ広大無辺の虚無なのだから・・・罪を犯した者は不死鳥のように復活し、それゆえ悪から善が生まれるのだ。悪人は幸いなるかな。」　・・・と訳すことができるのではないか。　私が『歎異抄』の悪人正機を引き合いに出し、ジョイスの思想と比較検討してみる気になったしだい。　　「希望」とは、如何なることを基底に据えた考え方であるか。そして、「希望」は果たして人間に生まれてくるのであるか。そのことが、『歎異抄』の著者とされる唯円あるいはその師の親鸞の思想と、『フィネガンズ・ウェイク』の著者ジェイムズ・ジョイスの思想とに、共通する「解答」なのではあるまいか。

Oct 10, 2021

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ノーベル平和賞受賞のお二人のジャ−ナリストを祝す

　ノーベル平和賞受賞のお二人のジャ−ナリスト、フィリピンのマリア・レッサ氏ならびにロシアのドミトリー・ムラトフ氏を祝します。　ノルウェー・ノーベル委員会のライスアンデシェン委員長は「民主主義と恒久的な平和の前提である表現の自由を守るために努力してきた」とお二人の実績を讃えた（朝日新聞10月9日朝刊）。　いま世界のいたるところで、強権によって言論封殺がおこなわれ、権力者のほとんど恣意のままに国民を逮捕勾留するのみならず殺人までおこなわれている。　権力者は国家の安定のためと名目を掲げている。経済活動のグローバル化の中で優位に立つためというのも、国民に対する表向きの政治姿勢である。それを押し進めるための極めて狭量な愛国思想を、洗脳的な手段により国民に強制する。その姿勢を認識したうえで、しかし私は、強権による言論弾圧や国民の自由を奪うことの真の目的は、権力的地位の維持および何らかの腐敗の隠蔽にほかならないと、ほぼ断言してよいと思っている。つまり人間の豊かな種々の可能性の発現とそれに依って実現する万人の幸福を否定してめざす世界の安定・国家の安定とは何だということだ。国民が人間的自由を失い、権力に隷従するロボット化した国家社会が、国家の理念であってよいはずはない、と。　そのような国にあるのは苦悩を押し隠した偽の愉楽であろう。欺瞞のなかで自己を失い、人間関係は悪意を抱いた疑心暗鬼の関係になるだろう。権力者は自己の地位を永続的に国民が仰ぎ見るようにするために、社会の格差をひろげ、みせしめのための人種をつくりだすことに腐心する。権力者である彼/彼女によって惨めさを味わわなければならない人たちが存在することが、彼/彼女にとって重要であり、彼/彼女の人生の秘めた愉悦なのだ。　このような「事実」が、私がいま述べたような簡単な言葉で論評されたことはないかもしれない。あるいは私の言葉を「うがちすぎ」と批判するかもしれない。しかし、ノーベル委員会のライスアンデシェン委員長の言う「民主主義と恒久的な平和」が破壊されて、あげくに実現する国家社会の実体とは、私が述べた言葉に要約されてしまうのである。それ以外に強権による言論封殺・民主主義破壊から立ち上がってくる世界像・国家像はないはずだ。　ジャーナリズムの本質は、権力に対する監視および批判である。ジャーナリストと称しながら、ジャーナリズムの本質に悖る、政権扈従のやからは現代日本にうようよいる。日本のジャーナリズムは政権扈従の苦い歴史を通過している。その痛みをバネにして、権力に対する監視および批判の役目を担って行ってほしいと、私はマリア・レッサ氏ならびにドミトリー・ムラトフ氏のノーベル賞受賞を祝しながら、痛切に思った。10月9日の5句　　自転車で挨拶つづく街は秋　　青穹（山田維史）　　家こぼち生死はめぐる菊籬（きくまがき）　　茶の花や数えば十四咲いてあり　　才無きを絵の具にまよう柿の赤　　秋聲や百鬼夜行のまつりごと Celebrate two Nobel Peace Prize-winning journalists Maria Ressa and Dmitry Muratov Congraturations to the two Nobel Peace Prize-winningjournalists, Maria Ressa of the Philippines and DmitryMuratov of Russia. Norwegia Nobel Commission Chairman Rice Andeschen praised the two for their achivements, saying, "They have endeavored to protect freedom of expression, which is the premise of democracy and permanent peace." (From the Asahishimbun, Morning edtion, 0910,2021) In all parts of the world, speech is being slaughteredby power, and detained, but also murdered, almost atthe discretion of those in power. Powerful people claime to be the for stability of the nation. It is also an open political attitude toward thepeople to gain an advantage in the globalization ofeconomic activities.The extremely barrow patriotismto push it forward is forced on the people by brain-washing means. Recognizing that qttitude, however,I alpst assert that the true purpose of suppressingspeech by power and depriving the publiv of freedom isnothing more than maintaining power status andconcealing some form of corruption. I'm thinking. In other words, what is stability of the world and the nation, which aims to deny the manifestation of various human abundant possibilities and the happiness of all people realized by it? Arobotized national society in which the people lose their human freedom and are submissive to power cannot be the idea of the nation. In such a country, it would be a fake pleasure that hide anguish. Losing oneself in deception, relationshipswill become malicious suspicious demons. Powerfulpeople are enthusiastic about widing social disparitiesand creating people for showing, in order to allow thepeople to look up their position permanently. It isimportant for him/her that there are those who have to experience some people's misery by him/her in power,and it is the hidden pleasure of him/her life. Such "fats" may not have been commented on in thesimple words I just mentioned. Or My words might be criticized as "too apt." However, the substance of thenational society that will be realized by destroying the"democracy and permanent peace" that Nobel Commit-tee Chairman Rice Andeschen says is summarized inthe words I have stated. ... Other than that, ther shouldbe no world image or national image that emargesfrom the slaughter of speech and the destruction ofdemocracy by power. The essence of journalism is surveillance and criticismof power. Although he/she is called a jounalist, he/sheis enthusiastic about the essence of journalism. Japanese journalism has gone through a bitter history of government obedience. I sincerely hope that the pain will be used as a springboard to monitor and criticizepower, celebratin Maria Ressa and Dmitry Muratov'sNobel Prize.Tadami Yamade【Haiku】 Jitensya de aisatsu tsuzuku machi wa aki My town is now in autumn I am greeting one after another by bicycle Ie kobochi xsjshi wa meguru kikumagaki Ruining the house, which the life and death come around, where a chrysanthemum fence is left at Cha no hana ya kazoeba jushi saite ari Tea flowers I examined number of those Fourteen there are! Sai naki wo enogu ni mayou kaki no aka Let's wear paints that are used while squeezing the talentless. Persimmon's red Shu-sei ya hyakkiyagyo no matsurigoto Voice of autumn However, politis is always a hll of a sightTadami Yamada

Oct 9, 2021

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秋晴れ俳句

　　秋晴れや駐車場貸せと大工来ぬ　　青穹（山田維史）　　秋晴れや山鳩が鳴く我が廂　　栗を煮て昼餉とやせん湯の煙【Haiku】 Akibare ya chushajo kase to daiku kinu Fine autumn day A carpenter came and says, rent me your parking lot, please Akibare ya yamabato ga naku waga hisashi Fine autumn day A turtledove came and cries on the eaves of my house Kuri wo nite hiruge to ya sen yu no kemuri Let's boil chestnuts, Which I'll take lunch with them, that is steamingTadami Yamada

Oct 8, 2021

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10月7日の俳句

　小鳥来てふわり綿羽の置きみやげ　　青穹（山田維史）　山栗やイガは枯れ葉に色そえて　蔓あけび故人の庭で伐られけり　亡きひとの面影消すか秋の風　ともしびに一層（いっそ）静やか菊膾（きくなます）小鳥の置きみやげ【Haiku】 Kotori kite fuwari men-u no okimiyage A small bird comes a soft cotton feather her souvenir Yamaguri ya Iga wa kareha ni iro soe te Mountain chestnuts it's green of bur spiced up with dead leaves Tsuru-akebi kojin no niwa de kirare keri An akebi vines in the garden of the deceased's house had been cut down Nakihito no omokage kesu ka aki no kaze Erase the visage of the deceased The autumn breexe Tomosibi ni Isso sizuyaka kikunamasu More quiet hrysanthemum salad under the lamp autumn nightTadami Yamada

Oct 7, 2021

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作品における自己投影をめぐって

　来年2022年を通じて今から1年間に制作するための作品の構想を練り始めた。　浮かんでくるイメージを手早くスケッチしてゆく。尤も、それらがすぐに作品になってゆくわけではない。つまりそれらは備忘録のようなものである。私の思想，・・・私の精神の弦を掻き鳴らす現代社会の事体ないし現象を、私がどうしても言わなければならないと、私自身の確かな言葉（絵描きである私の場合はイメージであるが）を発見するためのメモである。　しかしながら、私の絵は、何かしらの社会運動に組み込まれるたぐいのものではない。ましてや政治的プロパガンダではない。私はまた自分の作品を「自己」の投影と考えたことがない。ここでの「自己」とは、私個人に帰するような・・・私の人生の卑小な悩み、時間とともに忘れてしまうような悲傷や愛憎ではない。作品が私のものである以上、それは自己の投影であるが、私はそんな当たり前のことを言っているのではない。私は、私をとらえて離さない何かわからぬものに突き動かされているようだ。「ようだ」等と，他人事みたいな言い方だが、実際、私をとらえているものが何であるかわからないのだ。　私には睡眠中の夢に、あるパターンがある。そして，目覚めてから思い当たるのは、私の人生の「迷い」である。76歳の老人が、この後におよんで人生に迷っているなんて馬鹿なことだ。しかし、夢はあきらかに私の意識の底にある迷いを表出している。　その私の夢のパターン。　・・・目もくらむような高架橋の上にある駅から列車に乗った私は、行く先もわからぬままに超高速で連れて行かれる。　・・・見知らぬ田舎の小駅でキップを買ったが、路線地図にはどこを探してもその駅がない。　・・・乗った列車が、まったく知らない路線を走っている。どこかで乗り換えなければと思うが、どこで乗り換えると私の目的の駅に着くのかまったくわからない。　・・・どこか動物園らしい裏道を歩きながら、正門への道をみつければ動物園前の駅に出られると思う。　・・・私が買った家が鬱蒼とした林のなかの小道のはずれにある。しかし、私は何年もその家に引っ越しができないでいる。それが何故なのか私自身にわからない。　・・・その家は小高い山の斜面（あるいは崖の上）に建っていて、一室は全面ガラス張りで、遠くに白々と川原が見えるのだ。しかし私はその家に引っ越せない。　・・・その家に行くためには、たしかバスに乗らなければならないはずだが、何だか新造成地のような斜面を赤茶けた道路が大きくUの字に廻っていたような気がするが、場所がさっぱり思い出せない。　・・・繁華街があのビル群の向こうに見えるのに、どこをどう間違ったのか寂れたところに出て来てしまった。このままあのビル群をめざして行けば・・・　長々と列ねたが、これが私の夢の繰り替えし見るパターンだ。夢の地形図である。私は先述したように、私の意識の底にある「迷い」とそれへの「不安」だと思う。そして、その基本形を成しているのは、13歳のときから親元を離れて身寄りがない土地で独りで暮らして来たこと。そして、長い休暇に帰郷したり学校に戻ったりするたびに、バスに乗り，列車に乗り、船や飛行機に乗っていた。そのことだろう。　そうして私は絵を描かざるを得なくなった。それで自らの糊口を養ったので、なおのこと、描かざるを得なかったけれど、それが表現における「自己」の投影という問題に、ひねりが入ったかもしれない。　新作の構想を考えながらそんなことを思った。何、他人にとっては由無しごとである。 I have begun to devise a work oncept for throughout 2022 next year. Quickly sketch the image that comes to mind. However, they do not become woeks immediately. Sothey are like memorandums. The skechs are my owndefinite words (in my case as a painter, an image) thatI must say about the things or phenomena of modern society that strumming the strings of my mind. In short, it is a memo for disovering my thoughts. However, my painting is not something that is incorporated into any social movement. Not tomention political propaganda. Of course, the concretesocial movement and the message of my work mayoverlap. I have never onsidered my work as a projection of"self". The "self" here is not something that is attrib-uted to me personally ... the humble worries my life,the sadness and love and hate that I forgot over time.As long as the work is mine, it's a projection of self,but I'm not saying that for granted. I am to be drivenby some thing I don't know that cathes me. It's likesomeone else's affairs, suh as "like", but in fact, Idon't know what's catching me. I have a ceryain pattern in my sleeping dreams.And what omes to my mind after waking up is the"confusion" of my life. It's ridiculous for a 76-year-old man to get lost in his life after this. But the dream clearly reveals the hesitation that lies at thebottom of my consciousness. The pattern of my dream is ... , ... I got on the train from the station on the izzyingviaduct, and I was taken at super high speed withoutknowing where to go. ... I bought a tiket at a small station in a strangecountryside, but I can't find that station anywhere onthe route map. ... The train I got on is running on a route I don'tknow at all. I think I have to change trains somewhere,but I have no idea where to change trains to reach mydestination station. ... If I find a way to the main gate while walking getto the station in front of the zoo. ... The house I bought is on the edge of a path in adense forest. But I haven't been able to move to thehouse for years. I don't know why. ... The house is built ona small mountain slope (oron a cliff), and one room is entirely covered with glass,and you can see the riverbank in the distance. But Ican't move to that house. ... I'm sure I had to take a bus to get to the house,but I feel that the reddish-brown road on the slopelike a new land was turning in a U shape, but the place I can't remember at all. ... Although the downtown area was visible beyondthe buildings, I came out in a lonely place where I waswondering what went wrong. If I continue to aim for that group of buildings ... I lined up for a long time, but this is the pattern Is repeatedly inmy dreams. It is a dream topographicmap. As I mentioned earlier, I think it is the "con-fusiom" at the bottom of my onsciousness and the"anxiety" about it. And the basic form is that sinceI was 13 years old, I left my parents and lived alonein an unaffilated land. And every time I went homefor along vacation or returned to school, I took a bus, a train, a boat or an airplane. That would be it. Then I had to draw a picture. That's why I culti-vated my own body and soul together, so I had todraw it, but it may have been a twist on the prob-lem of projection of "self" in expression. I thought about that while thinking about theconcept of the new work. For others, this is anuninteresting story.Tadami Yamada

Oct 6, 2021

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人を騙して快感を得る社会

　今日は朝から民生委員として高齢者から不審電話に関する相談が寄せられ、その情報を共有するために、警察署・市の消費者相談センター、包括支援センターなどと連絡しあい、ちょっと慌ただしかった。　とにかく近年、このような不審電話（そのなかには明らかに詐欺犯罪の電話も決して少なくない）に関する相談や情報が毎月数件寄せられる。警察署は、「家に鍵をかけるように電話にも鍵を！」と指導しているが、人間には「うっかり」ということが付きもので、電話のベルが鳴るとつい受話器を取って、「はい、◯◯です」と名のってしまう。　私もだんだん人が悪くなって、電話に出てもこちらから名のらないようになった。　じつは，私にはこういう事があったからだ。・・・電話に出て名のると、相手が「山田さん、私です」と言った。そのような電話のかけかたをする人物にまったく心当たりがなかった。それで、「どうも私は貴方を存じ上げません。これ以上、お話しをお聞きするにはおよびません」と言って、私は電話を切った。　しかし、その人物からの電話はそれだけで終わらなかった。一ヶ月に数度、数ヶ月にわたってつづいた。　「山田さん！　私のことを憶えてくれましたか？」と言うのである。毎回毎回、そう言うのである。　私はついに堪忍袋の緒が切れた。　「貴方がどういうつもりで私に電話をかけ、貴方のことを憶えろとというのか判らない。いいかげんに止めなさい。今後、貴方がこのような電話をしてきたら、私はしかるべき措置をとります」　私はゆっくり噛んで含める口調でその見知らぬ相手に言った。　相手は恐れをなしたのかもしれない。「わかりました」と、意外に素直に言った。　・・・そして、以後、その人からの電話はかかってこなくなった。　私はその件があって以後、電話口で名のらないことにした。　じつは私に相談を寄せてきた事例のなかに、こんなのがあった。電話の相手から先にこちら（つまり私に相談してきた人）の名前を言った。「△△さん！」と。ところが実はこちらは◯◯さんだ。そこで「いいえ、◯◯です」と返答した。すると相手はすかさず「あっ、失礼しました、◯◯さんでした！」　・・・ここから相手の芝居が始まったのだ。　犯罪者（あるいは犯罪的素質者）というのは、なぜか実直な仕事を嫌い、犯罪計画には実に身を入れてしっかり練り上げるものだ。あまつさえ、弁舌さわやかな芝居の練習までする。まことに不思議な人種であるが、これは当人たちは気づいていないのかもしれないが、おそらく快感中枢と連結しているのではあるまいか。他人を騙し、労せずして大金を得る。それが成功することがおもしろくて堪らないのだろう。人を騙して快感を得るのは、一概に詐欺等の犯罪者ばかりではない。ちかごろでは社会のいたるところに、・・・国の中枢にも、・・・こういう人物が跋扈している。　まあ、私は今朝の相談事例から、そのような現代社会に私は身を置いているのだと、つくづく嘆息したのだ。

Oct 4, 2021

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樹木の生命力に託して愛の諸相

　新作の絵、第２団の出荷を完了した。構想期間を含めてほぼ6ヶ月間の制作にひとつの区切りがついた。背中に疲労感がどっと表われた。　今回の作品の構想。・・・私は、樹木の生命力に託して、愛の諸相を象徴的に表現した。それは、意識の表層の下に隠れた根の問題であり、情熱であり，執着であり，また優しさであり，いたわりであり，あるいは闘争でもあり、痛みであり、結合であり、互助作用であり、生殖の欲望であり、絆であり、豊かな稔りである。・・・しかしながら、個体としての二本の樹木は、決して一本になることはない。生命は常に悲しみを内包しつつ、黄金のはなびらを散らすのだ。・・・と。 The shipment of the new paintings, the second group,has been copleted. There was a break in the productionfor almost 6 months including the period of thinking the oncept. I felt tired on my back now. The concept of this work. ... I entrusted the vitality ifthe tre to symbolically express the various aspects oflove. It is a root problem, passion, attachment, kind-ness, compassion, or struggle, pain,cohesion, mutualid, hidden beneath the surface of conciouseness. ¥es,reproductive desire, bond, rich fertility. ... However,two trees as an individual never become one. Lifelways contains sadness and scatters golden flowers.Tadami Yamada

Oct 3, 2021

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工具の唸りと蜂

　おもしろいなー。昼前、仕事場で工具を使って作品を制作していた。防塵マスクにゴーグル、厚手の長袖シャツという完全防備。工具がブーン、ブーンと唸りをあげる。すると私の顔のまわりに何やらまとわりつくものを感じた。防塵マスクとゴーグルで視界が狭いので、気配だけを感じるのである。が、ゴーグルの上端にとまったものを見て、それが蜂である事がわかった。朝方、空気を入れ替えるために窓を開け放っておいた。蜂はそのときに部屋に飛び込んだにちがいない。　私が「おもしろい」と思ったのは、蜂はどうやら工具のブーン、ブーンという唸りに引きつけられているらしいのだ。敵だと思っているのか味方だと思っているのかは判らない。が、機械の音がひどく気にかかるらしい。　「ふーん、この音がねー。しかし、敵味方いずれにしろ、大軍だぜ。君の手にはおえないとおもうがなー。まあ、君の勇気には感心した。」　私は作業を中断し、窓を開け、この勇敢な蜂を外に出してやった。　昆虫の羽音と我等人間が創り出す音とが、波長が一致するかして生理的共振関係が生じるのかもしれない。　犬にはしばしば見られることだが、他の動物・・・馬、牛、羊、山羊、象、キリン、猿、鳥類、その他多くの動物が人間による器楽音楽に積極的関心を示すことは、多くの実例で知られている。　きょうの蜂君にリムスキー・コルサコフ作曲『熊蜂の飛行』を聞かせてみたかった。カナディアン・ブラスによる「熊蜂の飛行」 It's interesting. Before noon I was making works witha motor tool at studio. Fully protected with a dustproofmask, gogles, and a thick long-sleeved shirt. The tool screams, screams. Then I felt something xlinging around my face. Since the field of vision is narrow withmask and goggles, I can only feel the sign. But when Isaw what was perched on the top of the goggles, I knew it was a bee. In the morning, I left the windowsopen to replace the air. The bee must have jumpedinto the room at that tome. I thought it was " interesting", it sms that the beewas attracted to the screaming of the motor tool,Boon boon. I don't know if the bee think I'm an enemyor an ally. However, it seems that the sound of themachine is terribly annoying. "Hmm, this sound isn't there. But anyway, it's a largearmy. I think it's out of your hansa. Well, I was im-pressed with your oourage." I interrupted my work, opend the window, and let this brave bee go out. the sound of insect wongs and the soun created by humans may have a ohysiological resonance relation-ship depending on whether the wavelengths match. As is often the case with dogs, other animals ...horses, cows, sheep, goats, elephants, giraffes,mon-keys, birds and many other animals often show a positive interest in human instrumental musi. Knownfor its examples. I wanted to tell today's bee the music "Flight of theBumblebee" ompose by Rimsky Korsakov.Tadami Yamada

Oct 2, 2021

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