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山田維史の遊卵画廊

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2021年12月の記事

全35件 (35件中 1-35件目)

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駄作愚作拙作戯作

　今年の大詰めである。ここは、おおつごもり（大晦）と言い直そうか。私はこの言葉の響きが好きだ。樋口一葉の短編小説の題名にもなっている。そのせいではないのだが、明治の香りがすると私は感じる。　ついつい昔の歌謡曲『隅田川』や『明治一代女』、あるいは『湯島の白梅』をくちずさみたくなる。それぞれの歌詞に、「春を待つ夜の歳の市」とか、「月に崩れる影法師」とか、「青いガス灯境内を出れば本郷切り通し」等等の、イマジェリー（心象）でもある風景を描ききってみごとだ。　さて、私は絵画作品を制作しながら句作もしてきた。駄作愚作拙作戯作・・・自分の作品を評する言葉は幾つもあるが、2021年の成果を数えてみた。　俳句526句。英訳俳句311句。短歌1首。英訳短歌1。詩2篇。英訳詩2編。非俳句（落首）8句。・・・全849作（あっ、数え間違いだ。851）。　あとで一句詠み、850作と切り良くしようか（851の間違いだった）。819（はいく）でも良かったなー（あと8句詠んで、859；はいく、といくか）。【追記】というわけで、35分間で8句を詠み・・・　　行く年や来る年もまた一流れ　青穹（山田維史）　　年の暮追うもならずの運行（めぐり）かな　　歳をとり喜寿とは吾のことなるや　　宗印寺近くて遠き除夜の鐘　　高幡の不動に参る年籠り　　餅搗きや機械まかせの去年今年（こぞことし）　　年忘れ忘れてならぬ疵の痕　　晦日蕎麦茹でる香りと湯気のなか

Dec 31, 2021

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疲れた。一日、料理にかかりきり

　さすがに疲れた。ほぼ一日、おせち料理にかかりきり。朝8時半に始め、午後7時まで。途中で昼食30分以外は立ちっぱなしだった。予定のメニューは、明日つくる幾つかを残すだけだ。　何を作ったか、ですか？　ハハハハ。　ちょいと書いてみましょうか。　黒豆。身欠鰊昆布巻（24本）。豚肉角揚（24個）。スコッチエッグ（12個）。甘煮（山海産物17種：里芋、大根、人参、牛蒡、蓮根、筍、椎茸、結び干瓢、慈姑、蒟蒻、栗、銀杏、鶏ささみ、結び昆布、紅白蒲鉾、鳴門蒲鉾）、紅白膾、松前漬。　（明日つくるもの）　有頭海老鬼殻焼き、五目ちらし寿司、茶碗蒸し、すまし吸い物。　（既製品でまにあわせたもの）　数の子（味付）、伊達巻、栗きんとん。　（菓子）　和菓子（ぎゅうひ、ねりきり）、果物盛合せ（りんご2種：さんふじ、王林／洋梨：ル・レクチェ／蜜柑／苺：べにほっぺ）。　料理人としては弟一家が来ないのはいささか残念。例年だと、帰りにたくさん料理を持たせてやるのだが。

Dec 30, 2021

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おせち料理の下準備

　おせち料理の下準備にとりかかった。まだのんびりやっているが、私の今年の最後の大忙しになる。　長年、すべての料理を一手に引きうけてきた。先日、私の体調が少しかんばしくないと家族に言うと、「それじゃあ、パーティーもやらないし、今年は特別料理をやめましょう」と提案してくれた。「そうだね。そうしよう」と、私は言って床に就いていた。　ところが、二日後、「すっかり回復した」と言うと、たちまちたくさんの食材を買って来た。「おやおや」である。「いつもより少ない材料」と言うが、どうしてどうして、10品は作らなければならない。両親の時代は全15品と決まっていたので（それも私が作っていたのだが）、それに比べるとたしかに少ない。まあ、一年に一度、家庭の伝統祝賀料理が卓にならぶのは楽しいのだろう。それを心待ちにしてくれるのは、料理人としても嬉しい。　と、こうして書きながら、黒豆が炊きあがった。夕食は帆立貝のクラムチャウダーと野菜サラダにするとして、その後に、身欠鰊の昆布巻をつくろう。

Dec 29, 2021

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門松飾る

　昨27日、正月迎えの松と注連輪を門に飾り付けた。我家の長い伝統で、12月29日と31日の飾り付けを忌む。つまり暮れが押し詰まってからだと、27,28,30日だけが良しとなる。玄関内に鏡餅も供え終わった。　ことしも大晦日恒例のホームパーティを中止することにした。2年連続の中止である。その旨を次弟が末弟に伝えた。顔を見なくとも、みな元気に暮らしていれば、それで良い。　買い出しを急ぐ母子（おやこ）の師走かな　青穹（山田維史）　年用意仏花手にして跳ね行く児（こ）　　　ともかくもあなたまかせの年の暮　一茶

Dec 28, 2021

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法務省は回答すべきです

　12月27日、朝日新聞朝刊の社会面に、大見出しで〈色鉛筆を・・・死刑囚の訴え〉とした記事が載った。小見出しは、〈「償いに絵を」許可求めて提訴〉〈国が内規変更　今年から使えず〉とあった。　記事は、次ぎのとおり。　義母から虐待されつずけていた末に、赤ん坊の長男を含む家族3人を殺害して、死刑が確定し、福岡拘置所に収容されている奥本章寛が、絵を描くことによって償いをしたいと、死刑判決が下された頃から拘置所の中で色鉛筆で絵を描きはじめた。現実には実現しなかった親子3人の温かい家庭像。これらの絵は支援団体によりカレンダーや絵葉書として販売され、その売り上げ金200万円以上が弁済金として遺族に支払われてきた。　しかしながら、法務省は昨年、訓令を変え、2021年2月から色鉛筆が使えないことになった。代わりにカラー・シャープペンシルを使えることにした。奥本死刑囚は、シャープペンシルでは色の濃淡が表現できないため、以後、絵を描くことを中断している。　奥本死刑囚は、訓令の取り消しを求めて提訴した。一方、国は、訓令取り消しは訴訟対象ではないとして、訴えの却下を求めている。また、法務省は色鉛筆を不使用にした理由について、「回答を控える」としている。　以上が、朝日新聞記事からの要約である。　さて、私がこの記事に注目したのは、私が画家であるからでもあるが、法務省の「回答を控える」という答弁に、「また始まりやがった」とカチンとなったからだ。いままで禁止品でなかった物を突然禁止にするには、それ相応の理由がなければならない。私がカチンと来たのは、「さほど重大な理由はなかったのではないか」と疑うからだ。ほとんど「思いつき」だったのではないか。そして、「回答を控える」というのは、あわててもっともらしい理屈をつくりあげるためではないか。詭弁を弄するための時間稼ぎではないか。　まあ、私の疑念は、各省庁の「堕落」ゆえであるが、下司の勘ぐりと言いいたければ言うがよかろう。　しかし、法務省は回答すべきだ。奥本章寛死刑囚は訴状において『憲法が保証する「表現の自由」を侵害されたと指摘』（朝日新聞記事による）しているからである。この提訴を、国は訴訟になじまないと言っているのだから、前例を破棄して色鉛筆を不使用にした訓令改変についての説明を回避すべきではない。　ところで、奥本章寛のような死刑囚や他の犯罪者が拘置所の中で描く絵は、犯罪学のみならず人間研究にとって格好の資料になる（だろう）。私は、統合失調者の絵や創作物について研究してきた。現在、日本でもアウトサイダー・アートなどと称して公立美術館が展覧会を企画し、一般の人たちの目にも触れるようになている。アメリカではアウトサイダー・アート・フェアが毎年恒例で開催され、アート・ビジネスとして成立している。　しかしそのようなビジネスライクな思潮に私の関心はない。統合失調者の絵が、当該者の精神病理学の言葉であるところの「超越」した世界を我々に開示していること、あるいは急速に増悪（ぞうあく）し崩壊してゆく精神が必死になって自己回復を希求しているのだということ。私はそのようなことを彼らの絵によって知った。彼らは芸術家ではない。しかしながら、われわれには知り得ない「描かざるを得ない」衝動と熱意・エネルギーに動かされている。「回復」へのエネルギーである。実現はしないことが多い「回復」ではあっても、絵を描くことが人間的な希望になっているのだ。　私のような職業画家は、いくら願っても彼らのように「無心」になることは決してない。技法ということがすでに研鑚を積んだ極めて意識的なことだ。その技法を駆使して、仕掛けがいっぱいの作品を造りあげてゆくのである。芸術家の作品に対する人間研究は、私が上述した「奥本章寛のような死刑囚や他の犯罪者が拘置所の中で描く絵」からの人間研究とは異なる。究極点においては同じであろうが、学問としてはとっかかりが違うだろう。それゆえにこそ、死刑囚や他の犯罪者の描く作品は収集するべきなのだ。法務省が奥本章寛死刑囚から色鉛筆画を描く機会を取り上げたことを、私は残念に思う。　もういちど「色鉛筆」に話を戻すと、下に画像を載せるが、ナイフで削らなくてもよいクレヨンがある。これならば濃淡が表現できる。細部はカラーシャープペンシルを併用するのだ。　奥本章寛よ、あなたがこの記事を読むとは私は思わないが、このクレヨン使用の上訴をしたまえ。そして、私はこうも助言しよう。絵を描きたいという気持が本物ならば、道具にこだわるな。道具など何でも良いはずだ。そうじゃないか？　君は死ぬ身なんだ、謝罪の気持があるなら、道具ごときに四の五の言うんじゃない。

Dec 27, 2021

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『一茶全集』信濃毎日新聞社刊をめぐって

　先日も書いたが、陰暦11月19日は俳人小林一茶の命日「一茶忌」だった（宝暦13年5月5日―文政10年11月19日：1763.6.15ー−1828.1.5）。陰暦を陽暦に直して2021年は、12月22日にあたった。　この日を前にして、私は、末弟が数年前にプレゼントしてくれた『一茶全集』に目を通していた。この『一茶全集』全8巻は信濃毎日新聞社刊行、信濃市教育会（長野市旭町）編集、尾沢善雄監修のじつに見事な全集である。信濃毎日新聞社の一大事業であっただろうことは容易に推測できる。　　一巻の総ページ数がA5判平均600ページ。すべて一茶直筆の句帳を底本としており、その編集方針はあらゆる労を厭わない厳密な校訂・校注ならびに索引を付すというもの。一例が、巻頭に書影が掲載されている一茶直筆の句帳は、半紙を和綴じにし墨書しているが、全集ではどの句で丁が変わっているかを示している。凡例記号によって、34丁の表、あるいは裏、というぐあいにわかるようにしてある。これはなかなかの事。この全集は、巻頭の解説と索引以外は、一茶の俳句がほぼ500ページずらりと並列しているだけで、途中に余計な現代文は一切はいっていない。つまり一茶の句帳を時系列に活字本にしていると言って良い。　・・・全集編集のお手本のような本だと、私は感じ入る。というのも、私自身が、『湯浅泰雄全集』を300篇におよぶ全論文読破と雑文収集にはじまり、企画および全巻目次構成（これによって私は湯浅博士から全幅の信頼を得た）・各社からの出版権譲渡交渉・監修・編集・版組・校正・校訂・索引・造本・装丁デザイン・帯コピー執筆・各大学図書館をめぐっての受注、都内の大書店を巡っての受注等々を、コンピューター・オペレーター1人を傍らに置いて、たったひとりでやった経験があるからだ。他の誰の手助けも入っていない。この全集での私の編集方針は、私の自負するところだ。将来の湯浅泰雄学研究の底本にしなければならないと考えていたのだ。私が企画したこの『湯浅泰雄全集』は湯浅泰雄博士ご存命中の初めての全集であるが、この後新たな湯浅泰雄全集が企画されるとしても、少なくとも論文の校訂に関するかぎり、私の編集方針を超えるものはないだろう。　・・・しかし、私は慚愧に堪えない。私はついに身体を壊し、私が企画した巻数までいかずに退いたからだ。数年後に、桜美林大学の倉澤幸久教授や、私以外の全員が大学教授だった監修者が指揮をとって、出版社を変えて一巻を刊行された。　『一茶全集』は、ことほど左様に見事であり、各巻毎に数人からなる校注者の苦労も察してあまりある。　と、ここで筆を止めても良いのだが・・・　じつは私がこの記事を書き出したのは、その校注に首をかしげることが散見したからである。　一茶の原句に誤字が在る場合、その語の右傍らに（）で正語を示している。ほとんどの場合、校注者の読解どおりだと私も思う。しかし、私はたまに、そこは一茶が書いたままで良いのじゃないか、と思うことがある。校注者の読み違いというより、言葉の解釈の違い。しかも一茶が書いたその言葉が一茶の表現をじつは「深く」しているのだとする，私の解釈である。いくつか例示してみよう。校注者が改めた語は元の語の後に（）で示す　　　山寺や炭つく臼も（と）かんこ鳥　校注者は、「炭つく臼」「かんこ鳥」を「と」によって並列して解釈した。そのためこの句は、山寺に在る「炭つく臼」と「かんこ鳥」という、単なる情景になってしまった。　ところが、一茶の書いた「も」は、誤字ではないとしてみよう。すると「炭つく」は「住みつく」の掛詞。「かんこ鳥」が炭のようにしだいに暮れなずむ臼に住みついているのだ。それはまた、山寺が暗く暮れて行く中で、まるで閑古鳥が鳴いているよう、つまり閑寂だという意味となろう。暢閑な山寺の様子が浮かんでくる。それだから「山寺や」と詠嘆したのである。　校注者は、何の注釈もしていないが、「炭つく臼」という言葉の意味について私の解釈を述べなければならない。炭を砕く臼とのみ解釈できなくもないが、私は、倒叙法による合成語であると思う。すなわち「臼づく」という古典的な言葉があり、日が落ちて夕暮れになることを言うのだが、一茶は臼に閑古鳥が「住みつく」ことを言わんがために、暗く暮れなずむ表現として「炭つく」とした。この倒叙合成造語によってわずか7字で、暮れなずむ小さな山寺の庫裡の外に置かれた臼の中に閑古鳥が住みついている、閑寂暢閑な一夕の光景を表現した。これが私の読解である。　　　　ねんね（ぶ）こ（つ）を申しながらにきぬた哉　女が砧を打っている。校注者は、一茶が「ねんねこ」と書いたのを「ねんぶつ（念仏）」の誤りと解釈した。すなわち、女は念仏を唱えながら砧打ちをしている、と。　私は、一茶の書いたままに読解してみよう。女は赤ん坊を背負って、「ねんねこ、ねんねこ」と、あやしながら砧打ちしているのだ。「砧打ち」という言葉には、秋の物淋しさと共に能『砧』に謡われているように、帰らぬ夫を待つ女の内に秘めた情念をあらわす。砧は布をやわらかくするために杵で叩くこと。その女の務めを、女の隠忍や恋情や嫉妬や憎悪など、すなわち女の情念の表現とする日本の伝統的文化意識があることは充分考慮しなければならないだろう。　校注者が「ねんぶつ」と解釈したのは、たぶん「申しながら」にという献上語に依拠しただろう。しかし、念仏を唱えながら砧を打つ女ではイメージがぼやける。ここは一茶の生まれ育った境遇を勘案しつつ、私は、赤ん坊を背負って「ねんねこ、ねんねこ」と言いながら、砧を打つ女をイメージする。　　　草となる小草も露の御世に（話）哉　校注者は、「に」を誤字とし「話」と改めた。すなわち、「御世話」と解した。いまは小さな草も大きな草となって露を置き，露の御世話をするのだろうよ、と。あるいは、露の御世話になって小草は大きな草となるのだろうよ。そのいずれかに読解したのであろう。　しかし、私は一茶の書いたままに、素直に読んでみる。「御世（みよ）に」と。するとこの句は次のように読解できる。すなわち、小さな草も儚い露のような此の世の草となるのだなぁ、と。　校注者と私との読解の違いは、一茶という俳人が如何なる感性を持ち、如何なる視点に立って自然を含めた世の中を見ていたかという、一茶の人間像にかかわってきそうである。1字の正誤で片付けられない問題も含んでいる可能性は、決して少なくはない。文学をするとは、そういうことではあるまいか。　と、例示は三つだけにしておくが、古典文学の読解には、ややもすると私たちの現代感覚がまぎれこむおそれがある。特に俳句は、とかく情景の花鳥風月描写のみを「日本風」などと賞賛する向きが現代においてないわけでもない。かつて第二芸術と揶揄された由縁でもあろう。私は現代俳句をほとんど鑑賞しないので知らないが、しかし、古典俳句はその17字に鋭利な批評性を詩に昇華したものが少なくない。そしてまた、その句がいわゆる呻吟しての句作、ひねりだし、作り込んだ俳句ではなく（和漢古典籍・謡曲・説話・俚諺についての教養の深さにはおどろくが）、いうならば現代のツゥイッター（さえずり）に近かったかもしれない。尤もツゥイッターは、軽薄な誹謗中傷者にとっては格好な発信媒体かもしれないが・・・。それはともかく、一茶の膨大な数の句に圧倒されながらの私の思いである。

Dec 25, 2021

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私の御用納め

　さて、きょうはほぼ一日がかりで、事務仕事を片付けた。世間の御用納めより4.5日早いが、まあそれも良かろうと自分自身で納得。　　冬木立青竹の直ぐ喜びぬ*　青穹（山田維史）　　　　（別句）　　　　冬木立真竹の直ぐを喜びぬ【自註】「直ぐ」は、真っ直ぐなこと。

Dec 24, 2021

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体調不良時の無気味な俳句

　体調不良時の寝床のなかでのちょっと無気味な俳句。　　夜も更けて赤児泣き止まず冬ざるる　青穹（山田維史）　　冬颪（おろし）抱いてやりたき泣く赤児　　幻の小（ち）さき子居たり冬座敷　　よろよろと童子まぼろし冬座敷　　いざ給え幻想湧きて風邪の床*　　屁をひれば熱も下がらむ風邪ツ引き　　極月や人の世笑い屁をひりぬ　　山下の列車の音や冬時雨　　木枯やわが魂の吹きさらし【自註】「いざ給え」は、「さあ、おいでなさい」という古典的ことば。【23日追加6句：風邪引き】　　昼寝ともちと違うぞよ風邪ツ引き　　起きて寝て寝ては起きるや風邪の床　　風邪引きを言い訳にするなまけ哉　　笑いおる鬼の霍乱（かくらん）風邪ツ引き　　極月や締まりの悪い風邪ツ引き　　あらよっと愚作駄作も風邪のうち

Dec 23, 2021

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やや体調不良

　気のゆるみなのか、やや体調不良。こんなことは今までほとんどなかった。一日中、こんこんと眠りつづけた。　どうも私は毎日毎日、なんらかの作品を創っていないと駄目なのかもしれない。そんなふうに身体ができあがってしまったのだろう。

Dec 22, 2021

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初めて聴いた従姉の恋愛話

　1年ぶりに従姉から電話がかかって来た。ちょうど私も彼女に電話しようと思った瞬間だったので、ベルが鳴ると即座に応答した。その早さに従姉は少し驚いたような気配が伝わって来た。　2年以上も前から、私の弟家族もいっしょに彼女の家でパーティをしようと言っていた。ところがCOVID-19禍のためにそれができなくなった。　彼女は20代前半は我家に同居して父の会社に勤めていた。そのため私たちは姉弟のようだったのだ。彼女は我家から嫁に行ったのである。私は小学校卒業と同時に単身、会津若松に行ってしまったので、じつは彼女の結婚は母からの手紙で知った。中学3年の修学旅行で東京に行ったとき、宿泊先の会館に新婚のふたりが面会に来てくれた。会館の名称はまったく憶えていないが、大広間で会った。写真も撮った。じつはこのとき初めて彼女の夫に会ったのだった。　「ああ、そのときだったんだわ。私、何を着ていこうかと迷ったことを思い出した。紫の花柄の服にしたんだった。そう，大広間で会ったわねー」　きょうの電話で、思い出話ついでに、私が知らない彼女の結婚にいたる経緯や彼のプロポーズの話題に水を向けてみた。するとまったく思いがけないことに、純情大恋愛について長い話を聴かせてくれたのである。　いや、夫となる彼の一方的とも言える恋愛感情。彼女の行く所行く所に静かにたたずんでいる。彼女の退社時間になると、すっと車で近づき、「乗ってください。送ります」。車のなかでは二人とも無言。彼女は、我家の前で降車するときだけ、「ありがとうございました」と言う。　あるとき、やはり車を降りるときに、「こんど北海道に行くことになりました」と彼は言った。短期の転勤だった。「そうですか。お気をつけておいでください」と従姉は言った。　しばらくして転勤先から彼の手紙が、会社気付で彼女にとどくようになった。会社宛のたくさんの郵便物のなかに混じっていたのだ。　そんな事がつづいて、やがて彼は、結婚の申し込みをしたいので仲立ちをしてほしいと、彼の伯父に打ち明けた。その人は、北海道に在住の彼女の父親に手紙で彼の気持を伝えた。父親は彼に手紙を書き、彼の意志と、将来設計について尋ねた。それに対する彼の返事の文面を「精査」して、人格的にも仕事（彼は建築家だ）の面でも「誠実で堅実」な人物と判断したようだ。娘にそのように知らせて来た。　しかし、従姉の気持は定まっていなかったようだ。きょうの電話でこんなことを言った。　「あるとき、パパ（彼）が家（我家）に遊びに来たのよ。帰る時になったら叔父さんと叔母ちゃん（私の両親）が、彼に泊まっていきなさいと勧めたの。私は叔母ちゃんといっしょの部屋で、別々の部屋で寝ながら、私、そのときに、パパ（彼）と結婚してもいい、と心が決まったのだと思うは・・・」　私の両親もふたりの結婚を勧めているのだと思ったのだろう。　彼からの結婚にあたっての誓いと結婚後の決意をしたためた、いわば文書によるプロポーズの手紙は、現在も所持しているという。子どもたち（もう60歳になるけれど）にも、読ませたことがあるそうだ。　「そうだったか。僕は何にも知らなかったからね。家に帰ったときは、もう、居なかった」　「そうだったわねー。結婚後、東京に住み、沼袋のアパートに、タダミちゃん来てくれたわね」　「あれはね、大学受験のために上京し、宿舎代わりに泊めてもらったんだ。その後もお邪魔したけれどもね。まだよちよち歩きだったNちゃんが、試験場へ出かける朝、戸口のところで右の掌をパッとひろげて、ガンバッチャッテねと言って送り出してくれたんだ」　「あら、そうだったの」　と、お互いの元気を確認しながら、私も制作を終了した気楽さから、あれこれの話を1時間半もしゃべっていた。「お互いに元気でいようね。コロナの心配がなくなったら、きっと来てちょうだい。会いたいからね。食べ物はたくさん用意するわよ」と言った従姉の声は、「楽しかった！」と言いながら涙声だった。従姉は85歳になる。

Dec 21, 2021

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2021年の最後の作品完成

　さあ、描きつづけてきた作品が完成した。2021年は、これが最後の作品だ。10点のシリーズになった。一旦この連作から離れて、来年の最初の作品は、別のテーマにしよう。すでに構想はできている。取りかかるのが楽しみだ。　　古暦かわるを待つや待たざるや　青穹（山田維史）　　絵道具を洗いきよめて春仕度

Dec 20, 2021

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「寒灯」で七句

　朝に書く日記は、例によって昨夜灯りを消したベッドのなかで手探りしながら走り書きした俳句。「寒灯」で七句。　　寒灯や赤児泣く声細ぼそと　青穹（山田維史）　　寒灯や我が影映す石畳　　　　寒灯や躓きて知る脚の老い　　寒灯や付かず離れず二つ影　　寒灯や面影起（た）たぬ細明り　　　そら耳　　寒灯や死んだ愛猫の戻り声　　寒灯や死んだ愛猫がいちど鳴き　下は、暗がりで手探りで走り書きした原稿。ふと思い出したが、私の癖だろうか、ずいぶん若いときから就寝後の暗がりで思い出しては手探りで書いていた。紙が無いときは、シーツに書いた。若かったとばかり言えないなぁ、76歳になっても同じようなことをやっているぜ。

Dec 20, 2021

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作品制作しながら社会のことを

　一日中、作品制作。　わが日本を政治の中枢において破壊しようとするバカ者たちを、作品化できるかと、頭の隅で考えながら。　バカ者と言って悪ければ、要するに「幼稚」と言うことだ。トップがいい加減だと、あらゆる省庁の官僚もいい加減になろう。官僚「的」な人間は、そのような抜け穴には抜け目がないものだ。おのれの「公僕」としての本質的な役目が如何なることであるかを、幼稚な「利口莫迦」には認識できないのだろう。　かつて東京都知事だった人物・・・こせこせとした私腹のための公私混同が落とし穴となり、辞任せざるを得なかった男・・・が、TV出演したときに、「日本の官僚は国際的に非常に優秀だ」と嘯いていた。彼が何をもってそのように言い切ったか，私にはわからない。　正鵠を射抜く批判の矢面にさらされている政治家や各省庁の問題を、ここに列挙して精査するのは小生の任ではない。ただ、私は「正義感」を云々しているのではない。各自が己の「職業人」としての何恥じることない自覚を期待しているだけだ。首相を始めとして国会議員も官僚も、国民につくす「公僕」である。この呼称は使われなくなったが、彼らの本質が公僕であることに変わりはない。しかし、おのれらは、各自のトップの隷従者ではない。それは断じてちがう。　この点を私が念をいれて強調するのは、ファシズムがじわりと台頭してくると、・・・ファシズムを全体主義と翻訳しているけれども・・・その本質は主従関係であり、要するに国民に格差を設けて「一般国民全体」を隷従化することにほかならない。社会的構造格差をつくることが、最も支配しやすい施策なのである。経済的貧困と飢餓状態は人間から矜恃と誇り（プライド）を失わせしめるのだ。そして個としての自由を奪い奪われた関係は、心理学的にはサド・マゾヒズムの関係である。極端な愛国論者というのは、絶対者を戴いてそれに拝跪する者が、奴隷の頭として他の奴隷（一般国民）を痛めつけるのである。「親方日の丸」という表現がある。極端な愛国論者の思想は、まさにそれである。　現在、日本社会で極端な愛国論を振り回す団体、あるいは個人、あるいは地方政治や行政をみれば、みなその心性に身勝手な絶対者を戴いて拝跪していることがわかる。決して知的ではない。自他の区別がつかずに、自己の身勝手で他者を支配しようと強制する、それは一種の狂気である。　小は市井の悶着や新聞だねとなる事件、大は国の中枢で起きている忌まわしい問題まで、じつは関連性がなくはないのだ。　日本は良からぬ方向に動いている。内部腐敗によって、日本国民は、悲劇的な結末を迎えるかもしれない。社会全体をおおってしまう暗黒は、ふくらみきった風船が爆発するように、カタストロフィ（catastrophe; 悲劇的結末）がなければ、気がつくことはないのである。 Work production all day long. While thinking in the corner of my head, I could makea work of stupid people who are trying to destroy Japanat the center of politics. If it's a bad to say stupid people, it's basically"childish". If the top is sloppy, the bureaucrats of everyministry will be sloppy. Bureaucratic persons are savvyin such loopholes. The childish "smart idiot" may not be able to recognize what the essential role of "publicservant" is. A man who was once the governor of Tokyo ... a manwho had to resign because of a pitfall due to public-private confusion due to his sullen stomach ... when heappeared on TV, he say, "Japanese bureaucrats are veryexcellence in the world." I don't know on what basis hemade such a statement. It is not my responsibility to enumerate and scrutinizethe problems of politicians and ministries and agenciesthat shoots through the sword. However, I am not say-ing " a sense of justice." I just expect their own "pro-fessional" awareness of what they are not ashamed of.The prime minister, members of the Diet, and bureau-crat are all "public servants" to the people. This wordis no longer used, but their essence is still a publicservant. But they (we) are not their top's slaves. That isdefinitely different. I emphasize this point with all my heart, when fascism gradually emerges ... although it translatesfascism as totalitarianism ... its essence is a master-slave relationship, in short, to the people. It is nothingbut create a disparity and enslave the "general peopleas a whole". Creating social structural disparities is theeasiest measure to control. Economic poverty andhunger cause humans to lose their pride. And therelationship deprived of individual freedom is psycho-logically a relationship of sadomasochism. An extremepatriot is a person who receives an absolute personand worships it, and as the head of a slave, hurtsother slaves (general people). There is an expression "master Hinomaru (the Nationalflag of Japan)". The idea is of an extreme patriot is exactlythat. Currently, if you look at the groups or individualswho wield extreme patriotism in Japanese society, orlocal politics and administration, you can see that theyare all worshiping with a selfish absolute person intheir spirit. It's never intelligent. It is a kind of madnessthat forces you to control others by your own selfish-ness, indistinguishable from yourself. Small is the affliction between the people of the town, the incident that becomes a newspaper, andthe large is the abominable problem that is occurringin the center of the country. Japan is moving in the wrong direction. Internalcorruption may have tragic consequences for theJapanese people. The darkness that covers societyas a whole would not be noticed without catastrophe,just as a bulging balloon would explode.Tadami Yamada

Dec 19, 2021

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昨夜は冬の嵐

　昨夜、私の住まいがある辺りは、猛烈な風が唸りながら吹き荒れた。小庭で何かが壊れる音がした。今朝、見ると、植木鉢の木が倒れて、鉢が割れていた。深大植物園由来の紫陽花である。あたらしい鉢に植え替えをしなければならない。　そんなわけで、灯りを消した寝室のベッドのなかで、手探りで書き留めた六句。　　寒風や荒ぶる今宵なんぞある　青穹（山田維史）　　寒風や山さわがしく朽ち木飛ぶ　　寒風や山駆け上る川の音　　冬荒れてサイレン街に鳴りやまず　　寒灯や行く人もなく町の辻　　寒灯や魂も凍るや草の庵

Dec 18, 2021

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魅力的な女の顔になった

　朝、俳句を記載した後、すぐに作品制作にとりかかった。　下塗りの段階からどのように描写し、どのような色使いをしたらよかろうとずっと考えながら、さしあたって背景や周辺の塗りを進めていた。そしてここに来て、もう考えあぐねているわけにもゆかず、その主要部分の人物描写を始めた。　ところが、まず初めに人物の額に3色ほどを重ねたところで、「あっ、これはうまくいきそうだ」という確信に似た思いがでてきた。3,4種類の筆を使い分けながら数時間、さきほど午後5時まで描いて、その人物像を描きあげてしまった。　うまくいったのではないかと、細部を点検しながら、思っている。人物の目に力があり、自分で言うのも気が引けなくもないが、知的な魅力的な女の顔になった。そう、この人物像は女性である（そういえば、ここ3,4年、男性像は絵描いていないなー）。　というわけで、あとはダダダーっと周辺を描写して完成へ・・・ってなわけには行かない。　じつはちょっとしたアイデアだけで、文字通りひどく簡単なスケッチだけで始めたので、どこに進むかもわからず、考え考え絵を組み立てている。しかも段取りとして、手数を要する七面倒なことをやろうと思っている。吉幾三さんの歌だと記憶しているが、「今年ももう少しで終りですね」だというのに。 Immediattely after writing the haiku in the morning, Istarted working on the painting. I ontinued to paint the bakground and surroundings for time being, wondering how to discribe it from theundercoating stage and what color to use. And when Icame here, I couldn't even think about it anymore, andI began to portray the main part of it. However, when I first put three colors on the person'sforehead, I came up with a feeling similar conviction that "Oh, this seems to work." I used three or four typesof brushes for several hours, drawing until 5 pm, anddrew the figure. while checking the details, I thought it might haveqworked. The person's eyes are powerful, and altoug Ican't help but say it myself, it has become an intellec-tually attractive woman's face. Yes, this figure is afemale (by the way, I haven't painted a male figure inthe last three or four years(. That's why, after that, Iontinued to draw vigorously and depict the surroundings to complete it. ... No, that's not the case. Actually, I started this work with just a little idea and literaly a terribly simple skech, so I didn't know where to go, so I was assembling a thought-and-think picture. Moreover, as a setup, I'm thinking ofdoing some troublesome things that require timeand effort. I remember that it was Ikuzo Yoshi'ssong, but he said, "It's almost over this year." Tadami Yamada

Dec 17, 2021

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絵の制作に入る前に、今朝の句

　絵の制作に入る前に、今朝の俳句。　　寒椿となりの垣を越えきたり　青穹（山田維史）　　わが庭に散るは隣家の寒椿　　おもむろに寒雨の音や山下る　　戸を叩くぽつりぽつりと寒雨かな　　蒲団寄せ寒雨の音を聴きにけり　　雨樋の紅葉流して寒雨かな　　冬枯れや我が絵にひとつ花を染む　　　遠くにサイレンを聴きて　　寒い朝急（せ）いてくだされ救急車

Dec 17, 2021

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中央公園にて

　朝のうちに民生委員の仕事を1件。　昨日、中央公園にて詠む。　　　冬日射す伐られし椎は五十歳　青穹（山田維史）　　　年輪を五十まで数え冬木立　　　冬こだち古株触るゝ共白髪　　　

Dec 16, 2021

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歳を取るのも悪くない

　今年を締めくくる日野市の全民生委員・児童委員協議会総会が、午後2時から４時まで開催され、私も出席。コロナウィルス禍が依然として終熄していないので、会場はコンサート等に利用される大ホールを使用。約300名が互いの距離をとっての着席。もちろん全員マスク着用、手指の消毒をして。　この2年間は、担当地区における銘々の活動も、とにかくウィルス感染に注意に注意を重ねながら、出来（しゅったい）するさまざまな問題に対して支援してきた。きょうの総会が終わったからと言って、私たちの活動が年末年始の休暇にはいるわけではない。福祉活動に休みはない。すくなくとも私個人は、過去8年間の経験から、そのように思う。　たとえば、きょうも総会からの帰り道で、独り住まいのご老人の家の前を通り、もう夕暮れの町灯りがともるころなのに、その家の窓は暗い。「どうしていられるかな？」と私は思う。2,3時間後に、もう一度来てみようかと、考えながら通り過ぎた。・・・この8年間のうちに、私の慣い性となってしまった観察である。・・・何日分もの新聞がポストに溜まっているぞ。洗濯物が2日間、取り込まれていないぞ。近頃、散歩の姿を見かけないぞ。・・・じつはそんな観察から、悲しい発見をしたり、食事も摂れずにいる高齢者に気付いたこともあったのである。　そのような私の民生委員としてのボランティア福祉活動も、来年一年間で任期を終了する。そんな話も総会で出た。しかしどんな事体に遭遇しても、私がストレスを抱えなかったというのは、私自身にまったくマイナス思考がないという脳天気なせいもあるが、「年の功亀の甲」かも知れない。私なりに、いろいろな事をかいくぐって来た。歳を取るのも悪くないのである。　　白鷺や冬を漁（すなど）る七羽かな　青穹（山田維史）　　沈みゆく冬日川面に敷く錦

Dec 15, 2021

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今年最後の絵となりそうだ

　きょうは終日、作品制作。この作品が、どうやら今年最後の絵となりそうだ。もう1点いけるかなと思っていたが、今年も残り2週間となり、新作に取りかかるのはちょいと無理だ。　　指折りて数えなおすも師走かな　青穹（山田維史）

Dec 14, 2021

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出先でちょっと嬉しい知らせ

　きょうも午前中は私用で外出。出先でちょっと嬉しい知らせを受けた。いや、大層嬉しいと言うべきだろう。　　閑話休題　　昨日書いたように、ここ数日、一茶全集に目を通しているが、古典俳句で私が好んで繰り返し読むのは与謝蕪村の句である。蕪村が自作俳句においてしばしば敬意をもって偲んでいる芭蕉を、私はあまり好まない。はっきりした理由があるわけではない（あるかな？）。私の感覚の問題に過ぎない。もちろん芭蕉のほぼ全作品に目を通しているし、書籍も所蔵している。上手いなぁとも思う。しかし、好きでもない作品について殊更に述べる趣味は、私にはない。　そして、蕪村であるが、・・・そうだ、私がどのように味わい感じているか、幾つか述べてみよう。と言っても、私が好む作はあまりにも多い。「遺稿」とされている作の中から「冬」の季を選んでみる。　　　草茎（くさぐき）を失う鵙（もず）の高音かな　草茎は、いわゆる鵙の速贄（はやにえ）である。鵙が獲物を枝先に突き刺しておいたのだが、再び飛来してみると、ほかの鵙に奪われてしまたのか、それとも人間に枝刈りされてしまったのか、せっかくの獲物を失ってしまった。そこで鵙は一声、「無いー！」と叫んだのである。可哀想だが、なんとなく可笑しい。人の世の営みにもありそうなことでもある。そんなところを見ている蕪村の目に、私は感じ入る。　　冬川やほとけの花の流れ去る　凍てつくような冬の川に、どこかの家の仏壇に飾られていた花が、新しい仏華に替えられたかして、捨てられた。あるいは、路傍の地蔵尊に供えられていた花かもしれない。枯れ花の宿命と言ってしまえばそれまでだが、なにか哀れでもある。・・・私は、先祖と亡父母の仏前の花を取り替えるときに、ちらとヘンな気持が過ることがある。「花の命は短くて・・・」である。　　寒月に木を割る寺の男かな　この句については、まったく私の個人的な思いが重なってくる。　亡き伯父が住職だった寺で下働きをしていたという男のことだ。この人は村の道で行き倒れになっていたのを村人に発見された。そして、「お寺に行ってみなさい」と言われて、伯父の寺にやってきた。男の話を聞いた伯父は、下働きの寺男として庫裡に部屋を与え、住まわせた。それ以来、男は風呂炊きや薪割りなどをして、長い年月、その死のときまで誠心誠意働いた。臨終をまじかに控え、しかし伯父はやや遠方の法事に行かなければならず、死の床にある男を気にかけながら出かけた。男は亡くなった。伯父が帰ってきて、死顔に「よく仕えてくれた」と声をかけた。すると、寝ていた死体の上体がガバッと起き上がり、目を見開き、ドッと血を吐いた。「そうか、そうか、儂の帰りを待っていてくれたか」と伯父は言い、男の目を閉じさせた。・・・・　さらに個人的な感慨だが、この句の「寒月」という季語は、寺を詠んでいるだけに、私はその音から曾祖父の名「顕月（けんげつ）」を連想する。のみならず、上述の伯父が亡くなる前に、私の父母生前のうちに二人に贈り名をしてくれた。いわゆる謚（いみな）、一般には死後に付けられる戒名である。父の謚は「蓮生院釋顕月」である。曾祖父の名を入れてくれたのだ。ちなみに母には「光徳院釋尼恵心」が贈られた。私は二人のこの謚を、彼らがまだ生きているうちに墓石に刻ませた。彼らは墓参りで、自分たちの謚を刻んだ墓に合掌していたのだ。・・・そんなことが、蕪村のこの句を読むと思い出すのである。　　雪の旦（あした）母屋（もや）のけぶりのめでたさよ　夜中に雪が降った。朝日にキラキラきらめいている。そして何事もなかったように、朝餉の煙が藁葺き屋根から立ちのぼっている。なんとめでたいことだ。　　雪折も聞えてくらき夜なる哉　深夜、しんしんと雪が降っている。その静けさのなかに、ときどき、降り積もった雪の重みで枝が折れる音が聞える。その音が一層、雪の夜の静寂と闇の深さを感じさせる。　　我骨のふとんにさはる霜夜かな　この句の実感は若い人には判らないかも知れないなぁ。　・・・老いて痩せて、骨が浮き出た身体。綿蒲団に寝ても、蒲団に尻の骨が触る。霜柱のように白く尖った骨。霜が降りたように白髪頭に年老いてしまった。霜降りるほんとうに寒さ身に染む夜だなぁ。　　落水（おとしみず）田ごとのやみと成りにけり　冬が近づく前に、刈田の水は抜いてしまう。秋には、水をたたえていた幾枚もの田それぞれに、月影が映っていた。しかし水を落とした田は、田毎（たごと）の闇となってしまった。　・・・と、七句、蕪村の遺稿から私なりの味わいを述べてみた。

Dec 13, 2021

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陰暦11月19日の一茶忌の前に

　陰暦11月19日は一茶忌である。すなわち小林一茶が文政10年（1827）のその日、65歳で江戸に没した。信州柏原の人。墓は柏原にある。陰暦を新暦（太陽暦）に直すのはなかなか厄介だが、陰暦11月19日は今年2021年は（たぶん）12月22日。　ここ数日、末弟が数年前に贈ってくれた全7巻の大部の「一茶全集」に目を通している。　かつてこのブログに書いたが、私は小学2年生のときに音楽劇「一茶とこども」で一茶を演じた。その衣装は、宗匠頭巾に袷（あわせ）、もんぺ、茶羽織と・・・近所の水野夫人と母が本格仕立てで縫ってくれた。末弟はたしか生まれたばかりだったはずだから、私が子どものころに一茶を演じたことなど知りはしない。ただその1年前まで私たち一家が、一茶ゆかりの信州に住んでいたことは、後に知っただろう。彼が「一茶全集」をなぜ私に贈ってくれたのか、古書店でみつけたのらしいが、理由も彼の気持も私は訊かない。ただ「ありがとう、ありがとう」と言っただけ。　その末弟もいまや65歳を過ぎた。毎年大晦日に家族連れで我家に挨拶を兼ねてやって来るのだが、コロナ禍のためにこの2年間は来訪を止めている。　さて、明日のスケジュールがあるので、そろそろ寝室に入る。その前に駄句を。　　一茶忌やその日を控え読む句集　青穹（山田維史）　　　　一茶忌や全集を末弟送りくる　　一茶忌や吾小二で老匠を演じたり

Dec 12, 2021

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強い地震だ！

12日午後12時31分現在、東京、かなり強い地震発生。詳しい情報は不明。

Dec 12, 2021

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まずは今朝の一句から・・・

　まずは今朝の一句から・・・　木枯や湯に瘦躯埋（う）む日の仕舞い　青穹（山田維史）　さて、作品制作にとりかかろう・・・

Dec 12, 2021

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それ見たことか！現代落首（らくしゅ）

それ見たことか！　先日内閣官房参与に登用された者が、雇用助成金の不正受給を批判されて引責辞任した。　一週間前の12月3日に，私はこのブログ日記の題名を「落選は、国民の審判」として、先般の衆議院議員選挙で落選した人物を、よりにもよって内閣官房参与に登用した政府を批判した。とかく軽薄不埒な言辞を発した男だからだ。　言葉というものは、生まれたときからの積み重ねで、血肉となっているもの。たとえどんなに取り繕っても、その人物がどんな生き方をしてきたか、あるいは現にどんな生き方をしているかが、傍の目には判るのだ。国会議員として多くの人を痛めつけたその言動に無頓着に、返って重用するのは、重用した人物も「同じ穴の狢（むじな）」と見て、ほぼ間違いはあるまい。「類は友を呼ぶ」である。　国民万人（地方政治ならば地方の人々）のための政治に、「おともだち」重用など、子どもの遊びじゃあるまいし、もってのほか。しかも、国民の審判を受けた議員落選者に対する、首相の身びいきな失業対策としての内閣官房参与登用で、この者に今後”日当”2万数千円が税金から支払われるはずだったのだから、この政府（前々・前の政府も同様に）、いい気になって国庫（国民の財布）に手をつっこむ盗人のようではあるまいか。　なぜこうも日本の政治には、人格も口も共に卑しい者が蝟集するのか。日本社会の摩訶不思議である。【現代落首】　国会に白浪のごとき議員ども　　　　　国庫の盗み知らぬ存ぜぬ*　人格の卑しき者の職とする　　　　　政治となりぬこの日本は　二世三世白浪男女永田町　　　　　天下取ったり民下におろ　詐欺盗み恐喝不倫　　　主人気取りに隷従扈従　　　　　禁裏政界くんずほぐれつ　　　　　　　　　　　日本安泰安泰【*註】「白浪」は盗賊のこと。【気をとりなおして今日の俳句】　無人店（たな）売るのは大根ばかりなり　青穹（山田維史）　大根を子どもに持たす母子（おやこ）連れ Have you seen it! The person who was promoted tothe Cabinet the other day was criticized for illegally receiving employment subsides and resigned from re-sponsibility. A week ago, on December 3rd, I named the title ofthis blog diary "The defeat is a referee of the people",and the government who appointed the person whowas defeated in the recent House of Representatives election as a special adviser to the Cabinet. I criti-cized it. It's because he's the man who made frivolousand unscrupulous words. Words have been accumulated since they were bornand have become blood and flesh. No matter how much he repairs, the people beside him can see how the person has lived or is actually living. The uncriticaluse of a person who was a member of parliament whohurt many people with his words and deeds wouldhave to be regarded as the same as the person whoused him. There is almost no mistake in my observ-ation. "Birds of a feather flock together" is. In politics for all the people (similarly to local peoplein the case of local politics too), it is not a play forchildren, such as the heavy use of "friends". Moreover, due to the prime minister's appointment as a cabinet advisor as a measure against unemployment due to thedefeat of a member of the Diet, this government wassupposed to pay a "daily allowance" of 20,000 yen andmore over from taxes in the future, it seems to be a thief who feels good to take advantage and puts hishand in the national treasury (the people's wallet). Is itdifferent? Why do people with sneaky personalities gather inJapanese politics? I think that It is a mystery of Japanese society.Tadami Yamada

Dec 11, 2021

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隅田川を行く

　午前中、私用で外出。　きょうの俳句　　都鳥寄せては返す墨田潭（すみだふち）　青穹（山田維史）　　行く人や道連れもなき枯野かな　　冬の雁刈田の袖の溝のなか　　ひとつ消え五つ六つ消え冬ざるゝ　　あれ忘れこれも忘れて師走かな　　日夜無く救急車急（せ）く大根焚*【自註】　「大根焚（だいこたき）」は、京都の鳴瀧了徳寺の12月9日の行事。昔、親鸞上人が鳴瀧に足をとどめたときに、土地の人たちが日夜、大根の塩煮を供した故事に由来する。

Dec 10, 2021

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太平洋戦争開戦76年目の（非）俳句

　昨日12月8日は、太平洋戦争開戦76年目だった。　世界は引き続いてキナ臭い。戦争好きが大手をふって跋扈しているかのようだ。それに「乗り遅れまい」と、日本政府は軍国へ舵をとろうとしている。外交力が欠如する政治家の常道である。己の精神の脆さを狂的な愛国心によって隠蔽する、・・・あるいはその弱さを集団化（ポピュリズム）によって糊塗する者たちが常に進んで行く道である。彼らは己に気付くことはきわめて稀である。彼らは暴力だけが唯一の頼りだ。家庭内暴力発生の精神的・心理的メカニズと同じである。まずは同胞（国民）を痛めつけるとこから始まるのだ。他国との戦争がその後につづく。戦争の悲惨さは筆舌に尽くし難いが、戦争を遂行した精神は、精神病理学的には弱さのカリカチュア（戯画）である。戦争の結果には、勝者も敗者も無いのが現実だからである。　【12月8日の（非）俳句】　　十二月貧して鈍して開戦に　青穹（山田維史）　　開戦や莫迦が指揮する十二月　　汝臣名をもて狂え十二月　　弱き者汝愚将の十二月*　　（フレイルティ、ズィ・ネイム・イズ・スチュピド・コマンダー。ヒズ・デッセンバー）【自註】　シェイクスピア『ハムレット』の台詞「フレイルティ、ズィ・ネイム・イズ・ウーマン（Frailty, thy name is woman) ; 弱き者、汝の名は女」のもじり。　近年、日本の高齢者福祉行政において、（いいきになって）盛んに使っているフレイルという言葉がある。あらゆる国民に理解されなければならない政策において、何故外国語を使うのか、私にはとんと理解がいかない。何かマヤカシがあるような気がする。日本の政治・行政において外国語を使用している事柄には、そのバカバカしさだけではなく、問題の内状に注意する必要がある。私の今日のこの句は、過去の開戦に対するのみならずそんなことに対するカラカイも含んでいる。　 December 8th yesterday was the 76th year of thePacific war. There's smells of something burning in the presentworld. It's as if war lovers are swearing at the big guys.In addition, the Japanese government is trying to steerto the military nation, saying, "Don't miss it." It is theusual way for politicians to lack diplomatic ability. It isthe way for those who conceal their fragility in spiritswith crazy patriotism, or glue their weaknesses by populism. They rarely notice themselves. They relyonly on violence. It is the same as the mental andpsychological mechanics of domestic violence. Firstat all, it starts from the point of hurting a fellowcountryman (a people). The war with other countriescontinues after that. The misery of war is hard todescribe, but the spirit of carrying out the war is apsychopathologically weak caricature. The reality isthat there are no winner or losers in the outcome ofthe war.【(Non) haiku on December 8】 Ju-ni gatsu hinnsite donnsite kaisen ni December, Poverty dulls the wits, And start the war Kaisenn ya baka ga shikisuru ju-ni gatsu The war started Under the command of an idiot At 8th December 1941 Nanji shin na wo mote kyouki ju-ni gatsu Nation! Be crazy in the name of vassal At 8th December 1941 Yowakimono nanji gusho no ju-ni gatsu Frailty, thy name is stupid Commander* In 8th December 1941【*Note】 Shakespeare's "Hamlet" line "Frailty thy name iswoman". My phrase is this parody. In recent years, in Japan's welfare administration for the elderly, there is the word "frail" that is being actively used. I have no idea why foreign languagesare used in policies that must be understood by all people. I feel like there is something wrong with it.It is necessary to pay attention not only to the ri-diculousness of things that use foreign languagesin Japanese politics and administration, but also tothe inside of the problem. The above phrase (Non-haiku) of mine todayincludes not only the opening of the WW II in thepast, but also a banter for Japanese politics and administration.Tadani Yamada　　

Dec 9, 2021

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寒雨、今朝の一句

毎度のことながら、今朝の一句。　　深更の山眠られぬ寒雨かな*　青穹（山田維史）　　幾星霜きょうは寒雨で老い重ね【自註】　「山眠る」は、冬の山がすっかり精彩を失ってまるで眠りに入ったような様をいう冬の季語。その眠りを醒ますような冷たい雨が深夜に降っている。

Dec 8, 2021

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絵を描く前に12月7日朝の句

　12月7日朝の句　　明鴉(あけがらす)鳴けば潜りぬ綿蒲団　青穹（山田維史）　　北の雪攻めくるときか今朝の息　　心離(か)る恋それぞれや枯芙蓉　　鯛やきの焼けるを待てり冬椿

Dec 7, 2021

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きょうも朝から

　きょうも朝から民生委員としての仕事で外出。帰宅後、新作のためのキャンヴァスを準備。私的な用事で急遽自転車を駆り、往復10kmばかり走ってきた。　　冬ざれやきのうの家も今日は無く　青穹（山田維史）　　餌をくわえ羽は緑に寒鴉　　餌を銜え飛ぶもうれしや寒鴉 I went out to work today as a member of the civil welfare committee. After returning home, I prepared a canvas for my new painting. I hurriedly ran a bicycle for private affairs and ran about 10km round trip.【Haiku】 Fuyuzaré ya kinou no ié mo kyou wa naku Winter withering everything There was a house yesterday but there's nothing there today É wo kuwae hane wa midori ni kangarasu With a food in his mouth The feathers turned deep green A crow in cold winter É wo kuwae tobu mo uresi ya kangarasu With a food in his mouth Flew away joyful A crow in cold winterTadami Yamada

Dec 6, 2021

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クリスマスの眠れない街路樹

　12月5日の俳句　　短日や往く人もなくオメガ株　青穹（山田維史）　　浅川の橋に影落つ冬日かな　　電飾の並木眠れぬ聖夜かな【Haiku】 Tanjitsu ya yuku-hito mo naku omega-kabu A short day of winter Without people going The Omega of COVID-19 disaster Asakawa no hashi ni kage otsu fuyuhi kana A winter day It casts a shadow over the Bridge of the Asakawa River Denshoku no namiki nemurenu seiya kana Illuminated road side trees that can't sleep in the Holy nightTadami Yamada

Dec 5, 2021

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若人の電話は、ほがらか

きょうの俳句　　冬の日や枝伐りし幹に触れてみる　青穹（山田維史）　　　朝夕に聞く宗印禅寺の鐘の音　　寒日や禅寺の鐘は鋭し　　若人の電話ほがらか十二月【Haiku】 Fuyu no hi ya eda kirishi miki ni furétemiru A winter day Try touching the trunk of the tree I have pruned branches someday 〈The sound of the bell of Soin-zenji Temple heard in the every morning and evening 〉 Kanjitsu ya zendéra no kané wa surudosi Cold days Zen temple bells' sound are sharp Wakóudo no denwa hogaraka jūnigatsu The voices Young people's phone call cheery melodious in DecemberTadami Yamada

Dec 4, 2021

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落選とは国民の審判だ

　それにしても「病膏肓に入る（やまいこうこうにいる）」とは、日本の政治のことだ。総選挙でコイツは駄目だと国民が審判を下して落選した奴を、よりによって内閣参与に据えるだとヨ。この人物、議員時代は軽佻浮薄の発言をくりかえしていたではないか。　日本の政治家は、まあ、与野党いずれも、どいつもこいつも日本語が苦手らしく、日本語で哲理を政治の言葉として語れないらしい。まともな議論が国民の耳に聞こえてこない。そんな奴らの何が政治力だか知らぬが、岡目八目、選挙民はそうそう我慢してはいられまい。落選というのは、その結果だよ。いらない者はいらないのだというこただと，私は思うがねェ。　　野は枯れてただ風の音竹の音　青穹（山田維史）　　寒風に自転車少年ひらすらに　　冬のうた風のまにまに聴こえくる　　息白し媼（おうな）の杖は重たきか　　着ぶくれにマスクで覆えば誰ぞ誰 Even so, "being in the illness" is Japanese politics. Itis said that the person who was rejected by the peopleafter the referee said that he was not good in the gen-eral election will be appointed as a special adviser tothe cabinet. This person, when he was a member ofthe Diet, has repeated foolish his remarks and hurtmany people. Japanese politicians, well, both the ruling andopposition parties are not always good at Japanese,and it seems that they cannot speak philosophicalprinciples as a political word in Japanese. No decentdiscussion can be heard by the public, I don't knowwhat those guys are political, but "lookers-on seemore than the players", the electorate can't stand itthat much. Losing is the result. I think that's thecase that you don't need those who don't.【Haiku】 No wa kare te tada kaze no oto take no oto The field is dead Just only the sound of wind the sound of bamboo Kanpū ni jitensha shōnen hitasura ni Bicycle boy earnestly in the cold wind Fuyu no uta kaze no manimani kikoe kuru It can be heard The winter song in the mercy of winds Iki shiroshi ouna no tsue wa omotaki ka Breath is white in the cold The old woman's cane Is it heavy? Kibukure ni masuku de ōeba tarezo tare If you swell with thick winter clothes and a mask who willTadami Yamada

Dec 3, 2021

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中村吉右衛門さんのご逝去を悼みます

　中村吉右衛門さんがお亡くなりになった。享年77。　ご逝去の報に接して、思い出したのだが、私がたしか21歳の法学部の学生で、もちろんイラストレーターになるとも画家になるとも考えていないころだ。私は「萬之助」時代の吉右衛門さんのお顔をスケッチブックに描いている。もちろんご本人と対面して写生したのではない。また、お写真を手本にして描いたのでもない。記憶にあるお顔を描いたのである。描く動機が何であったかまったく憶えていないが、何か気がかりな存在ではあったのだ。そのスケッチブックは、探せば出てくると思うのだが、随分昔，55年前のことである。　中村吉右衛門さんのご逝去を悼みます。 Kabuki actor Nakamura Kichiemonn-san has passedaway. He is 77 years old. When I heard the news of his death, I remembered that I was a 21-year-old law student, and of course Iwasn't thinking of becoming an illustrator or a painter.I draw the face of Mr. Kichiemon when he was named"Mannosuke" in a sketchbook. Of course, it wasn't taken face-to face with the person himself. Nor was itdrawn based on a photogtaph. I drew the face in mymemory. I don't remember what the motive for drawing was, but I paid attention to the Kabuki actorwho was one year older than me, and I notice for his excellence. I think the sketchbook will come out if Ilook for it, but it was 55 years ago. I mourn the passing of Mr. Kichiemon Nakamura.Tadami Yamada

Dec 2, 2021

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3期目の最終年に入った

手がけていた作品は二日前の30日に完成した。完成予定日は30日だったが、2,3日遅延すると思った。しかし予定どおり、30日、コンサートへ行く前に仕上がった。すでに次ぎの作品を模索している。今朝方、夢のなかで、その作品のイメージにぴったりの女性に出会い、モデルになってくれるように頼んだが、断られてしまった。ガッカリした夢だった。　午後、民生委員としての仕事で外出。今後2週間、連日の忙しいスケジュールだ。　私の民生委員としての任期が12月1日から3期目の最終年に入った。残り1年。ひょんなめぐり合わせで9年間のボランティア仕事だった。さらいねんからは、私自身の始末を考える。どのくらいの時間が私にのこされているものやら。　　短日や白鷺一羽暮れなずむ　青穹（山田維史）　　水鳥やただつくねんと浅川に The painting I was working on was ompleted on the30rh, two days ago. The planned completion date wasthe 30th, but I thought it would be delayed by a fewdays. However, as planned, it was finished on the 30thbefore going to the concert by Mr. Niimi and his friends. I am already looking for the concept of the next work.This morning, in my dream, I met a woman who fit theimage of the work and asked her to be my model, butshe refused. I had a disappointing dream. In the afternoon, I went out to work as a civil welfareofficer. It's a busy schedule every day for the next twoweeks. My term as a civil welfare officer has entered the finalyear of the third term from December 1st. 1 year left.It was 9-year volunteer job for me. From a year later, Iwill think about the end of my own life. I wonder howmuch time has been left for me.【Haiku】 Tanjitsu ya shirasagi ichiwa kurenazumu Short days in winter A snowy heron is dyed at night fall Mizutori ya tada tsukunento Asakawa ni A water bird alone absent-mindely in Asakawa RiverTadami Yamada

Dec 2, 2021

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東京大再開発。100歳まで生きてみようか！

東京は、現在、都心部を中心にいたるところで大きな再開発が計画が進行している。日比谷公園真ん前の帝国ホテルや東京電力等の大手企業の本社ビルが林立する内幸町一丁目から二丁目界隈。東京駅の日本橋側一帯。その日本橋の上空を無様に塞いでいる高速道路の地下化、および日本橋川岸のビル群の再開発。虎ノ門および麻布台の再開発。TBSがある赤坂二丁目・六丁目再開発。品川駅周辺の再開発。浜松町駅周辺。渋谷駅周辺の再開発。国立競技場に隣接する神宮球場および秩父宮ラグビー場とその周辺の再建再開発。新宿駅西口および東口周辺の再開発。そして私が上京して最初に住んだ中野の中野サンプラザの再建築計画。・・・すでに数年前に着工し、一部は竣工したところもある。いずれも計画通りの完全竣工まで今後20年から30年以上を要する巨大プロジェクトである。完成後のビルは高さ260mとるを優に越すようだ。　現在のその地域の景観はおよそ60年前、東京オリンピックの頃にできあがったものだ。私にとっては、その時点から東京が実質的に存在する。私は決して美しい街だと思ったことはないが、醜いなりに親しさも増した東京の景観だった。新宿西口広場の建設工事は、私が東京の住人になったときはまだ進行中で、その地下工事のために地上の道路は厚い鉄板が敷きつめられていた。新たな再開発は現在の小田急百貨店を取り壊して巨大ビルを建設することを中心に据えたプロジェクトだそうだが、完全竣工は2045年だというから、私は100歳だ。生きていればの話だけれど。進行中のいずれの東京再開発もその完成を私は見ることはあるまい。　さて、こんなことを書いたのは、じつは昨夜、新実徳英さんとお仲間の新作発表コンサートへ上野の東京文化会館へ行った。2年ぶりの上野の山だったが、JRの公園出口が，駅構内をはじめとしてまったく新造されていたのでびっくりしたのだ。　2年前までの景観こそが、文化会館や西洋美術館、科学博物館、国立博物館、東京都美術館、あるいは動物園へ幾度通ったかしれない私のなじみだった。そして新実さんとお仲間にとっては、芸大への通いなれた道であったはずだ。　この上野駅公園口周辺の改造は、上述の大再開発にくらべれば物の数にもならないだろう。だが、人間のこころ（私のこころ、と言い直してもよいが）は、見慣れた風景が失われることに、口で表現できないような不思議な「痛み」を感じるのではあるまいか。「哀傷」と言えば、センチメンタルが勝ち過ぎる。そうではない。土とやわらかく結びついているような想い。風のにおいや木々のそよぎ。人々の流れやそのざわめき。・・・ふだんはほとんど気にもとめないことが、こころに光と陰影をのこしていたことに、すべてが消失したときに初めて気付くのだ。　私は昨夜、駅から文化会館までのわずか3,40mの距離をあるきながら、「ああ、あの木のところで、某事件の犯人として逮捕された青年の冤罪を告発する書名運動をしていた。・・・ミロのヴィーナス展へ入場を待つ人が長蛇の列をつくっていたっけ。・・・オーレル・ニコレ氏のフルート演奏会、スヴャトラフ・リヒテル氏のピアノ演奏会、・・・すばらしい夜の香りだったなー」と、思い出したのだった。　100歳まで生きてみようか！ Tokyo is currently undergoing major redevelopmentplans throughout the city center. The area from 1-chome to 2-chome, Uchisaiwaicho, where the headoffice buildings of major companies such as the impe-rial Hotel and TEPCO in front Hibiya Park stand. Thearea on the Nihonbashi side of Tokyo Station. The planto rebuild the the expreeeway that ungly covers thesky above Nihonbashi underground, and redevelop-ment of the buildings on the banks of the NihonbashiRiver. Redevelopment of Akasaka 2-chome and 6-chome with TBS. Redevelopment around ShinagawaStation. Around Hamamatsucho Station. Redevelop-ment Shibuya Station. Reconstruction and redevelop-ment of Jingu Stadium and Prince Chichibu RugbyStadium adjacent to the National Stadium and theirsurroundings. Redevelopment around the west andeast exits of Shinjuku Station. And the reconstructionplan of Nakano Sunplaza in Nakano where I first livedin Tokyo. ... Construction started several years ago, and somehave been completed. Either are huge projects thatwill take 20 to 30 years or more to complete as plan-ned. The completed buidings seem to be well over260m high. The current landscape of the area was completedabout 60 years ago around the time of Tokyo Olympics1964. For me, Tokyo really exists from that point on. Inever thought it was a beautiful city, but it was an uglyand familiar view of Tokyo. Construction work on theShinjuku West Exit Square was still underway when Ibecame a resident of Tokyo, and the roads above the ground were covered with thick iron plates for theunderground work. It seems that the new redevelop-ment is a project centered on the demolishing thecurrent Odakyu Department Store and buiding a hugebuilding, but since it will be completed in 2045, I am100 years old. I wish I were alive. I never see the com-pletion of any of the ongoing redevelopment of Tokyo. By the way, I wrote this, but I went to the concert byTokuhide Niimi and his friends last night at the TokyoBunka Kaikan. For me, it was the firt time in two yearsI went to Ueno. But I was surprised because the JR'sUeno park exir was completely new, inculuding thestation yard. The scenery up to two years ago was my familiarity that I might have visited the Tokyo Bunka Kaikan, theWestern Art museum, the ßcience Museum, the Na-tional Muaeum, the Tokyo Metropolitan Art Museum,and the Ueno zoo many times. And Mr. Niimi andhis friends, it must have been a familiar road to Tokyo University of the Arts. The remodeling around the exit of Ueno Stationwill not be as many as the above-mentioned majorredevelopment. However, the human mind (whichmay be rephrased as my mind) may feel a mysteri-ous "pain" that cannot be expressed by mouth dueto the loss of familiar scenery. Speaking of "sadness,"sentimental wins too much. It is not that. Feelingsthat are softly connected to the soil. The smell of the wind and the swaying of trees.The flow of people and their buzz. ... It's only wheneverything disappears that you realize that you usually don't care about the the light and shadow inyour heart. Last night, while walking only 3,40 meters fromthe station to the Bunka Kaikan, some young people were doing a title campain to accuse the young man arrested as criminal of a certain incident atthat tree. ... There was a long line of peoplewaiting to enter Miro's Venus exhibition. ... OrelNicole's flute concert, Svyatlav Richter's piano concert, ... it was a wonderful night scent. I re-membered. Well, let's up to 100 years old!Tadami Yamada

Dec 1, 2021

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