虫害の葉柄だけの柿落ち葉
今の時季、例年だと柿落ち葉と鳥が啄ばんだあとの半欠けの落柿の始末に、毎朝夕それぞれ2,30分の庭掃除をしていた。ところが今年はほとんどしない。わずか数枚の落ち葉を拾うだけだ。つまり、それほどヒロヘリアオイラガによる被害がすごかったわけだ。鬱蒼と茂っていた緑葉は食い荒らされてほとんどなくなってい、殺虫剤散布後に落下した幼虫は塵取りいっぱいになったのだった。それは長年の間、一度もなかったことだった。それで虫害にまったく気づかずにいたのである。 私は紅葉した柿の葉が好きだ。鞣し革のような照りと厚手の質感が好きだ。毎年紅葉の度合いがことなる葉を数枚拾って机の上に置く。ただ置くだけ。ときどきスキャンしてプリントしてみることもあるが、文庫本などのダスト・カヴァーに作れないかなどと思う。 ダスト・カヴァーは自作することがある。亡母が昔人形制作をしてい、浅草橋の人形材料問屋からたくさんの金襴を買っていた。それが死後に遺された。日本の織物の伝統柄なので、私は参考資料として処分しないで保存していた。その金襴で本のダスト・カヴァーを幾つか作り、弟にプレゼントした。 弟もそろそろ死ぬことを考えなければならないはずだが、本の購入はいっこうに止めず、本に埋もれて読書している。読んだ蔵書の数は私にはおよばないが、日本古典文学のなかには立派な本も所蔵している。じつは私が現在読んでいる『西行全集』は久保田淳編、日本古典文学会が昭和57年に刊行。A5判、1,268ページ。定価24,500円。おそらく原本翻刻西行歌集の既刊本のなかで最良の本だと思うが、これは弟から借りているのである。 ・・・柿落ち葉から横道にそれた。ヒロヘリアオイラガの幼虫が食い荒らした落ち葉も、よく見ると、よくぞここまで食ったとヘンな関心をしているが、硬い葉柄だけが残った残骸をスキャンしてプリントしておくのもよいかもしれない。