作曲家・新実徳英氏が作品CDをプレゼントしてくださった。収録曲3曲。「ヴァイオリン協奏曲第2番〈スピラ・ヴィターリス〉」。「太陽風 〜オーケストラのための」。「沈黙(しじま)へ 〜弦楽オーケストラのための」。新実さんは、私がヴァイオリン協奏曲第2番〈スピラ・ヴィターリス〉に耳を集中することを望まれている。〈スピラ・ヴィターリス〉は「螺旋生命」と訳せば良いだろうか。
プレゼントしてくださった事の経緯は、私が新見さん宛のメールに、全拙作絵画に込めた主題のいわば在処は作品の「底の底」、外形には見えない、と述べた。新実さんは、その「底の底」という私の拙い言葉に気を止められたようだ。そしてヴァイオリン協奏曲第2番〈スピラ・ヴィターリス〉について述べられている。この曲は楽理的には氏が「螺旋形式」と名付けた作曲法で、I~III楽章がいずれも螺旋状にひろがってゆく、と。そして各楽章の構造を作曲者として解説するならば二層構造である。一層は、いわば「外形的」のこととして解説できる。二層は、作曲者新実徳英の発想の根本にあったことである。と。
・・・発想の根本にあったこととは、新見さんの「思い」であるが、もっと深いところにある「哲学」である。その哲学は大乗仏教論に通じるものであるようだが、私はさらに生命存在の根源的思想として宇宙量子論に通じるお考え、と理解した。
ヴァイオリン協奏曲第2番〈スピラ・ヴィターリス〉は新実さんの15年前の曲であるが、私はあらためて耳を傾けることにする。