早朝から雨がかなり激しく降っていた。風も強い。しかし私は一ヶ月半も前からの約束があり、篠突く雨をついて外出。風が前から吹くのでズボンが雨に濡れる。
東京は昨年より15日遅れで桜が咲いたというが、通り道の桜はいまだしというところ。ただ、ある家の門前に、盆栽というには大きすぎるが鉢植えの桜が一本、咲いているのを目にした。この風雨で散ってしまわなければよいが。鉢植えとはいえ屋内に取り込むには大きすぎた。
筍が店に並んだ。一本買う。先端を見て、すっかり土に埋もれていたことがわかる。こういう筍はアク抜きをしないほうが香り高く、美味い。さて、どう調理しようか。
春野菜も上手い季節。水菜(地方によって京菜あるいは壬生菜ともいう)、蕗、そしてみずみずしいアスパラガスも買った。
小庭の文旦の実が地に落ちていた。中身はすっかり鳥に喰われ、皮だけがまるで栗のイガが三つにはじけるように割れている。このところ鳥たちが文旦を喰いにくる。中身はすっかり食い尽くし、皮だけが残っている。
じつは鳥たちが文旦を喰い始めたのは今年になってからである。というのも、我が家の文旦は毎年たくさんの実をつけていたが、私がためしに食ってみると苦味があった。マーマレードを作ってみたことがあるが、苦味は抜けなかった。そのマーマレードの苦味は私は意外に好きだったが、一度きりの試みに終わった。ところが鳥がすっかり喰っているので、また私は食べてみた。苦味がないのである。酢っぽさは、夏蜜柑ほど。・・・なるほどなぁ、と野鳥の食い物をみつける鋭い感覚に感心したのである。100個ぐらいも生っている、どうぞどうぞ喰っておくれ、というわけである。
雨に打たれているからっぽの皮を私は拾い集めた。