今日の国際ニュースから2件。
1)スイスの年配婦人約2,000人が、スイス政府が気候変動対策を怠ったために健康や生活の質が低下し、命の危険にさらされているとして欧州人権裁判所(ECHR)に提訴していた裁判で、欧州人権裁判所(ECHR)は、スイス政府が気候変動に対する適切な対応を怠ったことは人権侵害にあたるという判決をくだした。
この判決はスイス政府のみに適応されるが、欧州人権裁判所には他にも同種の訴訟があげられており、このたびのスイス政府に対する判決が、他の訴訟に影響をおよぼす可能性がある、と報道されている。
気候変動問題が人権がらみであるという判断は、もっともなことながら、非常に先鋭な思想であると私は思う。欧州人権裁判所の判決に瞠目した。
2)チェチェン共和国が実に奇怪な禁止令を出した。すべての音楽や歌、ならびにダンス曲のテンポ(速度)を制限したという。1分あたり80拍〜116拍でなければならず、それよりも速くてもダメ、遅くてもダメ。その理由は、チェチェン人の心と音楽のリズムが1分あたり80拍〜116拍だからだそうだ。
要するにロックやテクノポップスなどを禁止するためなのかもしれないが、他国のこととは言え、なんともアホらしい。行き過ぎた民族主義は、文化や芸術を狭い檻に閉じ込めるのである。
他国のことと私は言ったが、いやいや他国のことではない、我が日本にもこういう偏狭な民族主義者はいる。アホな政治屋はいる。要するに無教養な愛国主義者である。・・・ああ、思い出した。もう40年くらい昔になるだろうか、ある大新聞系列の民放ラジオが、いわゆる洋楽を排除して和楽ばかりを放送する方針を実行した。論評なども愛国主義者、民族主義者のみが代わる代わる出演していた。
聴取者をあなどっていたのだろう、その連中が言論人としてどんな発言をし、どんな本を書いているか、代わり番こに出演させれば放送がプロパガンダであることに気づかれないだろうと考えたに違いなかった。おあいにくさま、視聴者は敏感なのだ。朝から晩まで洋楽が放送されないことを気づかないはずはなかろう。
アホが文化を操作しようとしても、長続きはしないものだ。文化の命は一人の人間の寿命より長いということを知りたまえ。