あじさい(雪毬)
雪毬や雨の簾をすかしみる* 青穹(山田維史)
日野市宗印寺
長雨や鐘の音消ゆる宗印寺
高尾山遠望
長雨や高尾墨絵に白牡丹
さみだれの音に迷える夢の中
長雨や三途の川音ゆめのなか
永田町
さみだれやちーっと汝が田の泥の舟**
さみだれに盗っ人どもの談義哉***
【言わずもがなの自註】
(*) 白居易の「香炉峰の雪は簾をかかげて看る」のもじり。清少納言が「枕草子」のなかで、この詩に倣い簾をかかげて中宮定子に雪をご覧にいれたことは、誰でもご存知。
(**) 古来さみだれの「さ」は稲の植付けの意味、「みだれ」は雨の降るさまを意味し、田植えの時期の雨を「五月雨」と称した。拙句は「みだれ」に「乱れ」を掛け、「汝(な)が田」は貴方の田んぼということだが、もちろん「永田町」すなわち政界の意である。さらに田植え前の代掻きの状況、しかし田舟が泥舟ではカチカチ山ではないが沈んでしまう。「ちーっと」は「ちょっと」の俗語。私はいたずらっぽく英語の「cheat(チート;騙す)」を掛けた。掛詞だらけの雑俳である。
(**) 政党政治の「悪事」を取り締まるための法律を、その当人たちがつくるという滑稽。国民を欺き,税金をちょろまかすことを「政治」と心得ている奴ら。雨後に繁茂する雑草のようにオレもオレもと出てくる奴を、選ぶほうも選ぶほうだ。人間を見抜く目が曇ってしまった日本国民。ハハ、のんきだね〜