新宿駅西口を中心とした都市改造計画が2018年に発表され、すでに小田急百貨店と西口広場前の明治生命ビルは解体された。新宿駅構内も改造されてすでに4年になる。今後、京王百貨店が解体され、ルミネも解体される。これらの新建造を含む改造計画は2040年代の竣工を目指しているという。
2040年といえば私は95歳である。16年はアッという間に過ぎてしまうが、その時間の速さは私の過去の人生でのことだ。時間はこれまでと同じ速さで過ぎてゆくにしても、私が2040年のその頃まで生きているかどうか分からない。
思えば、私が大学に入学して東京住まいを始めたのは東京オリンピックが開催された年, 昭和39年(1964)だった。受験のために上京したころは新宿西口の第一回の大改造が始まったばかりで、あの地下吹き抜け青天井の西口広場は建設中、地上一帯は厚い鉄板が敷きつめられていた。同時進行で小田急新宿駅の地上部分に小田急百貨店新館が竣工開業したのが昭和39年9月。オリンピックの一ヶ月前のことだった。そして、隣接して京王百貨店が竣工して開業したのが同年11月。オリンピック開催中だったような気がしているが、いや、そうではないか。オリンピックの期間は2週間だから。しかし京王百貨店の屋上にはオリンピック開催年を記念したのか五つの巨大な照明装置が建造されてい、五色の巨大光線がまっすぐに天空に伸びていた。
また西口とは反対側の新宿駅東口でも新宿ステーションビルディングが建設中だった。たしか西口に建設中のビル群より3,4ヶ月早い開業だったと思う。このビルの前の新宿駅東口広場は、間も無く学生たちの政治デモの演説広場となり、ヒッピーと言われた若者たちがたむろする広場となった。各大学での大学紛争の季節、そしてベトナム戦争問題やアメリカの原子力潜水艦の横須賀寄港問題に関する政治の季節だった。
あれからちょうど六十年が経った。
開業当初から10年ほどの間の百貨店は、各種の展覧会が企画開催されていたものだ。しかも美術館の企画とはいささかならず異色の展覧会だった。私の所蔵する展覧会図録のなかにそれらの展覧会図録が何冊か残っているはずだ。
・・・いま、ちょっと探して・・・画像を掲載してみよう。
小田急百貨店 東京新聞主催「刺青展」昭和48年(
1973) 6月
小田急百貨店 国立博物館・朝日新聞共催「日本人類史展」昭和48年10月
新宿ステーションビルディング(昭和39年5月開業)
(1978年マイシティに改称、2006年ルミネエストに改称)
読売新聞社主催「オーストラリア原始美術展」昭和40年5月
画像は図録表紙と裏表紙。展覧会の題名を背表紙にも記していないのが珍しい。
新宿ステーションビルディング
前田育徳会主催「加賀百万石大名展」昭和41年1月
新宿ステーションビルディング
読売新聞社主催「鉄砲六百年展」昭和41年8月
【番外】
昭和39年当時、長い伝統を有する百貨店・日本橋「白木屋」はいまだ存在していた。その白木屋で棟方志功展が開催された。私は10月4日に観ている。その1週間後の10月10に東京オリンピックが開催された。
日本橋・白木屋 朝日新聞社主催「棟方志功板業代表作展」昭和39年10月
この展覧会は、棟方氏の「東海道棟方版画六十八点」が完成し、朝日新聞社から出版されるのを記念して、板業37年間の代表作を展示したものである。展覧会はその後、各地の8会場で開催された。