仲秋の名月といっても連日の暑さではピンとこない。しかし実際、昨夜の月は美しかった。二階のベランダに立って仰いだ夜空は、童話の絵本に描かれているような雲のまんなかがポッカリ開いて、満月が金色に輝いていた。雲間に覗く空は、月の明かりでインジゴ・ブルー。とりかこむ雲の端はくすんだオレンジ色。絵描きの私が言うのも変だが、絵本の絵のようだった。
仲秋やビルの谷間の月明かり 青穹(山田維史)
仲秋や月影よぎる真菰舟
名月や筆を捨て置く絵描きかな
一夜明ければ、今日はうっとうしい灰色の空。昼過ぎには遠くで雷鳴がとどろいた。そのうちに雨となった。東京は週末まで雨がつづく予報がでている。