8月に小庭の楮(こうぞ)の葉陰にセグロアシナガバチが団子状になって巣をつくった。人が出入りする門際ということもあり殺虫剤を散布した。ところが昨日になって再びセグロアシナガバチが今度はナンテンの葉陰に巣をつくりはじめているのを見つけた。
昨年、ヒロヘリアオイラガの幼虫(毛虫)が柿の木に大発生し、柿の葉をほぼ全滅状態に食い荒らし、柿は生らなかった。じつはセグロアシナガバチはこの蛾の幼虫を食う。つまり柿にとってセグロアシナガバチは益虫なのである。もしかすると大発生した蛾の幼虫に蜂はかっこうの餌場を発見したのかもしれない。また、我が家の小庭の場合だと、柿のほかに土佐文旦の受粉にも役立つ。しかしながら、なかなか気の強い蜂で、巣に近寄ろうものなら猛烈な攻撃性を発揮する。ところがこのセグロアシナガバチの捕食者がいる。オオスズメバチである。これは危険だ。もしもセグロアシナガバチを狙ってオオスズメバチが飛び交うことにでもなれば・・・
私は小学生のときに蜂の大群(ジスガリ)に襲撃され、文字通り九死に一生を得た。近所の小母さんたちが一生懸命になって私の頭や体から数千匹の蜂の死骸とその針を取って、手当をしてくれた。まあ、そんな経験をしても私の虫好きは変わらなかったし、その後もちょっとやそっと虫に刺されたくらい平気な子供だった。
団子状になって、おそらく産卵の準備に入る女王蜂を囲んで営巣するセグロアシナガバチを駆除することは、私は内心にいささか躊躇いがあったのだが、しかし他人に害がおよばないとは限らない。ナンテンの赤い実を見て、誰かが手を伸ばさないとも限らない。いつぞやは花好きの子供がひょこりやってきて小庭の植物を見ていた。
・・・と言うわけで、私はカメラを持ち出して撮影し、夕方、蜂の行動が鈍くなるのを待って駆除した。ごめん、ごめん。