私は無宗教者であるが、一つの歌曲としてシューベルトの「アヴェマリア」を歌ってみたくなった。楽譜を取り寄せた。楽器無しで、譜読みだけで、しかもラテン語で覚えようと言うわけである。
先日、朝日新聞の「天声人語」に、記憶がどのくらい保持できるかという、確かアメリカの大学教授の実験について書いていた。実験方法は、まったく意味のない造語を被験者に記憶してもらい、時間ごとにどれくらい記憶しているかを調べるというもの。
ラテン語は意味のない言葉ではないが、私にとってはまったく知らない言語である。2,3の単語は聖像画に関する美術史の文献に出てくるので知らぬものでもないが、しかし意味をなす一連の言葉としては無知である。したがって私がラテン語でシューベルトの「アヴェマリア」を覚えよう、歌ってみようというのは、某大学教授の実験に臨むようなものだ。心中には認知症試験あるいはその予防などという思いもちらついている。
何度も繰り返して楽譜を見、まあ、歌えそうだな・・・というところまで来た。短い曲だし、作り込んで歌うにはそう簡単ではないが、覚えやすいことは覚えやすい。ただ、私の音感だけで楽器の音に合わせているのではないからなー。いつの日にか、ちゃんと歌えるようになりたいものだ。
シューベルト「アヴェマリア」の楽譜の一部分