午前中に主治医のクリニックに行きインフルエンザ予防注射をした。一ヶ月ほど前に予約しておいた。
もう半年もすれば80歳だが、この歳まで寝込むような病気らしい病気もしないで来た。60歳半ばまで自分の身体を気遣わなかった。亡母の看護に明け暮れ、送り出し、その後になって母の主治医のアドヴァイスもあって自分の身体に幾分かの気を使うようになった。母の主治医には引きつづき私の主治医になっていただいた。以後12年間、毎日欠かさず血圧測定を記録し、1日3食の記録もしている。食事記録は、水一杯も記録している。他人から見ればいささかマニアックに映るかもしれないが、1日の時間割に組み込んでしまえば流れ作業のようなもので何と言うこともない。・・・と言うわけで、インフルエンザ予防注射も毎年いまごろの時間割に組み込まれているのである。
クリニックには自転車で行った。帰りに、ついでだとばかりそのまま自転車を走らせ、やや遠出になるが画材店に向かった。油彩画用の油壺を新しく変えよう、と。20歳代から50年以上も使って来た油壺を今更取り替えることもないのだが、80歳を迎えるに気分一新である。
そしてこれから取り掛かる作品に、三人の「朝顔の精」が登場する。下書きはできあがっている。
ところで、自転車を走らせていると、路傍の或る家の庭先、鉄柵にからまって朝顔が咲いているではないか。「えっ! この時季に朝顔?」と、私は驚きながら青色の朝顔を見た。
朝顔は俳句の季語としては八月も末、晩夏の花である。私の感覚ではもっと早く、浴衣や線香花火によく似合うのだが、それはともかく、暦の上では立冬も過ぎてなお活き活きと咲き誇っているのは、やはり驚きである。
私は準備している作品を思い、妙な「因縁」を(無理やり)感じ、「これは幸先いいぞ!」とゆかいになった。