カテゴリ:自転車
盛岡からはいよいよ国道4号線最高地点となる十三本木峠を目指して登るだけだ。
ご飯も食べたし、脚もまだ残っているので盛岡市内から続く上り坂をグイグイと漕ぎ上がって行く。 ところがだ。ご飯を食べて丸一日寝ないで走ってきたから当然眠くなってくる。追い抜いて行くトラックが妙に幅寄せするような気がするのでここはちょっと仮眠するかなと考えるが、上り坂ということで仮眠スペースになりそうな建物の軒先や公園は見当たらない。そもそも時刻は20時を過ぎているんだから見えるわけがない。 あぁこんなときに3つ星ホテル(屋根&ベンチ付きのバス停)があればいいのに・・ と願うがそれはどだい無理な話です。 ドブ川の近くだと蚊がいるので寝られないし、さりとて歩道でゴロンというわけにもいかない。 すると盛岡農業高校の入口が芝生っぽいなだらかな斜面になっていて仮眠するのにはちょうど良さそうな雰囲気であることに気がついた。 近づいてみると確かに寝転がるのにはちょうどいい。しかも国道からはちょっと入ったところだから車が突っ込んでくるこもなかろう。 おお、日頃の行いが100万点だからだよな。シューズをゆるめ芝生?の上にゴロンとするとストンと眠りに落ちた。 トラックの音で目が覚めたのだが寝ていたのはわずか10分程度のようだった。でもすごくスッキリした。やっぱり横になれると違うよね。 国道4号線を見るとデコトラがブリブリ排気音をたてながら何台も走っていく。今宵はそういうイベントなのかな? 水が切れそうなのでファミリーマートしぶたみ店で補給をする。 さぁここからが峠なので頑張らないと。 30kmくらいダラダラと上り坂が続くその先に十三本木峠がある。 辺りは暗くて山があるのかどうなのかもよくわからないし、GPSを持っているわけではないからキロポストと時刻表に書いてある距離だけが頼りだ。 標高400mを越えて涼しくなるかと思ったけれど上り坂なのでそんなことはない。ジャージもレーパンも汗を吸い込んですえたニオイすらする。 ここか?!ここか?!と峠を探って登るも標識すら見えないまま下りに入ったのでこの地点で十三本木峠登頂である。 自販機のそばにはクワガタがゴロゴロしていた。うむ、ここでは虫取りは網を持たなくても夜中に自販機のある場所にいけばよいのじゃな。教育上、あんまりよくはないけれども、それが現実なんだから。 時刻は23:10となんとか日付が変わる前に峠には到着できたようだ。 ここまで587km、経過時間は28時間20分というところか。 坂を下り始めるとウェアが吸い込んだ汗がひやっとしたものの、ペダリングを始めるとすぐにそんなことはなくなった。 下り坂なのに思った程スピードが出ない。登りはまだいいんだけれど、平地で使うハムストリングがへたれてきたようだ。 下り坂はやっぱり眠くなるのでカフェインでなんとか眠気を吹き飛ばしたい。 一戸に来て火照った身体を冷やしたいところにミニストップ一戸店が現れたのですかさずピットイン。 軽食とアイスコーヒーで目を覚まし、ガムを購入してこれからに備える。 一戸、二戸を過ぎて三戸に入るとようやく青森県だ。 ここからがアップダウンの連続するエリアで三戸から五戸、五戸から十和田と街と街の間に峠があって大変だ。 しかしコーヒーを飲んだお陰でドープされたのか調子は上々でへたれることもなく峠を越えては走るが下り坂でも30km/hしか出ないくらいヘタレているのはナイショだ。 十和田まで来ると腹が空いてきたのでサークルK十和田バイパス店で深夜食である。 カップラーメンとまたしてもアイスコーヒーである。 もう固形食は無理なので麺類を胃袋に流し込むしかない。 ついでにスティックメロンパンと水2リットルを購入してスタートである。 時刻は午前三時半なのでうっすらと空が明るくなってきた。二度目の夜明けだ。 このまま野辺地まで出れば海なので平坦路になるはず・・ と期待して走るがその前に連なるアップダウンですでにヘロヘロ。夜明け前の眠気も混ざって速度も25km/hが精一杯という体たらくだ。 いかんなぁ・・ と思っているとどうやらいつのまにか視界が効かなくなっている。 いや視界が効かないのではなくアイウェアに水滴がたくさんついていて見えないだけだ。 アイウェアを外してみると雲の中というか霧の中にいることがわかった。そして身体も自転車も雨に濡れたようにビショビショなんですよ。雨なんか降っていないのにね。 とにかくアイウェアは外して進むしかない。 七戸町から東北町にかまえる最後の峠を登りきると霧も晴れたので一気に気持ちよく坂を下る。 ここで謎の体力回復が発生し通常速度で走れるようになったものの、手持ちの補給食ではどうやってもゴールの青森までは足りそうもない気がしてきた。 人間、速度を上げて走るのにはより多くの燃料が必要になるのは飛行機も新幹線も一緒なのだ。 東北町にサンクスがあってそこが最後のピットインになるはずで走っていたのだが、どういうわけだか通り過ぎてしまった。 イカン・・・ 野辺地を抜けた後は浅虫までコンビニをまったくチェックしていなかったから、その間でハンガーノックになるとかなりマズイぞ。 途中にコンビニがある事を願いながら野辺地を過ぎて海岸沿いをひた走る。ホタテの直売所があるので焼きホタテでも食べさせてもらえないかと眺めてみるがそういうのはなさそうだ。 それでも30km/h巡航で海沿いの街を抜けて行くとサークルKサンクスを見つけた。 サークルKサンクス平内口広店に到着したのは朝5:43。出発からおよそ36時間50分ほどである。 ここからなら二時間もあれば青森に到着できるはずである。ということは午前8時くらいには青森着ということか。 ようやく先が見えてきたな。そんなことをツイートしてまずはトイレ・・・ とトイレを借りたのだがトイレが汚い。コンビニのトイレで圧倒的に綺麗なのがセブンイレブンであることに違いはなかろう。セブンイレブンのトイレはキレイだし、ウォシュレットも完備している。 それはそうとしてここはまったくダメだ。股間にワセリンを塗って最後の一踏ん張りに備える。今回はリスキンも使ってみたがワタクシには合わなかったが、ワセリンは実によい。股擦れしないのでとてもいいぞ。 おにぎり2個とゼリーを購入。ゼリーとおにぎり1個をすぐに食べて残りはバックポケットへ。 ちなみにこのコンビニ、外も汚い。店の周囲を掃除するのに水をまいただけでゴミがアッチコッッチに散らばってサイアクだ。 さっさとコンビニを出発してゴールの青森を目指す。 浅虫温泉を過ぎたところで大きな橋を越え久栗坂トンネルを抜けるとると坂道は終了だ。 街が広がり都会の空気の匂いがする。朝6時を過ぎたところで人々の活動が始まり車が動き出している。 ススだらけのgoogleジャージに反射タスキをした自転車乗りが交差点で信号待ちをするとドライバーの視線を感じる。 よもや東京から走ってきたとは思うまい。 少し高いビルが見えて来てゴールである青森がもうすぐだと感じる。青森市内の道路は路肩が広く取ってありエスケープゾーンとしては十分だが、自転車を走らせるのにはあまりにも路面状態が悪くスタンディングで漕いでいないとケツが痛くなりそうだ。 青森中央郵便局が右手に見えた。あとで立ち寄って荷物を受け取る郵便局である。 県庁前に国道4号線の終点があるはずなので県庁を探しながら進めるとようやく右手に県庁が見えて来た。 県庁前の交差点で反対車線に移り国道4号線の終着点に到着。 出発から38時間17分 実走距離は752.07kmでした。 しばし公園のベンチで放心でした。 つづく
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最終更新日
2013.08.26 22:25:56
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