カテゴリ:トレーニング
おはこんばんちは。 イタリアのELITE社が発売したダイレクトドライブローラー Turbo Muinの異音を修理して解決したので、ここに記したい。 まずは"おこり"から。 ワタクシは、毎日小一時間ほどローラーを回す。 なので月間1000km分以上はローラーの上で自転車が1mmも進むことなくモルモットのようにクランクを回している自転車バカである。 仮想現実世界の中で走っている気がするだけなのだから自転車未満かもしれない。 んなくらいローラーを回すのは、住んでいるところで実走しようとすると「危険が危ない」からである。 夜明け前のサイクリングロードは老人が横一列で塞がっているし、公道を走ればマイルドヤンキーのみならず、老若男女無茶苦茶な運転されるし、挙句に道路は穴だらけでついに落車して骨折10本であった。 流石に近所を走るのが嫌になったのでローラーを回すようになったのだが、あんまりにも回しすぎてローラーが壊れた。 壊れるくらい回せば本望である・・ なんてことはない。もう壊れるなよ。 なんせすでに3本ローラーを1台、ダイレクトドライブローラーを1台失っているからに他ならない。 またローラー買うのは嫌なので、修理して意地?でも使い続けるというハナシなのである。 で、今回は、ELITE社のTurbo Muinである。ダイレクトドライブのローラーとしては初期に登場したものだ。 これを会社帰りに立ち寄った自転車屋で中古品として1万円で購入し、散々に使い倒したところ、ゴロゴロと異音と振動が発生するようになった。 分解して原因を調べてみると、 ・ベルト張力を調整するテンショナープーリーの割損 ・フライホイールシャフトの摩耗 であった。2つも原因があるあたりにイタリアンっぷりを感じる。 シャフトの摩耗は定番トラブルのようで、youtubeでも修理動画を見つけることができる。 動画ではホイホイ脱着しているが、修理難易度は"高"かな。自動車の修理経験ある方ならなんとかできるけれど、自転車の整備くらいではちょっと難しい。何が難しいかというと固着したネジやナットを外す技術を持っていないと修理できないからだ。 ここからはお約束の自己責任で作業である。 それではまずはテンショナープーリーから。 樹脂製プーリーが割れている。これ割れるんですか。 型番書いてあったのでネットで調べてみたが見当たらず。こりは困った。 こうなると近しいものをあてがうしかない。 汎用品では見つからずミスミでようやく近しいものを見つけた。 左に見えるアルミのAFBD22-45である。 オリジナル樹脂プーリーの外径がφ50に対し、アルミはφ45なのだが、ベアリング内径や幅などを勘案するとこれ以外の選択肢がない。 あらシンデレラフィット。まるで純正品のように組み付けられた。 テンショナーの調整代が大きくて助かった。 」 赤色のファンにも干渉しない。このダイレクトドライブローラーは、テンショナープーリーの左右位置を調整できるので、ここでしっかり調整しプーリーの両耳が均等にしよう。 と、書けば簡単なように見えるが、プーリーは2個目。実は1個目はサイズ測定誤りで失敗したのだ。 続いてはフライホイールシャフト。 ベルトを外し、シャフトを手で回すとゴロゴロ鳴っている。 最大の難所はシャフトを外すこと。 プーリーにバンドレンチをかけるが、バンドの中でプーリーが滑ってしまう。(ウェスでプーリー保護するが) あれこれ頑張ったらあろうことかバンドレンチがひん曲がった。 1000円もしないバンドレンチだから仕方がない。 ちなみにフルード(鉱物油)は再利用できるので、トレーなどに貯めておく。 プーリーの反対側は黒い樹脂製羽が取り付けられたごっついステンレス製フライホイールが見える。 このナットに22mmのソケットを差し込み、長いスピンナーで緩めようとするとバンドレンチが滑る。 しかたがないのでホームセンターで一番でっかいウォーターポンププライヤーを買ってきて、プーリーの端っこを掴んでナットを緩めた。 ナットにはネジロック剤が塗布されていたから緩めるのに苦労したわけだ。 フライホイールがクソ重いので慎重に取り外す。 シャフトにはちゃんとしたオイルシールがつけられていた。これは外さない。 シャフトは叩いて取りはずさない。 プーリー側に簡易プーラーを仕掛ければスルスルシャフトは抜ける。 ベアリングの外周と筐体にはこれまたネジロックが塗布されているのだ。 シャフトを摘出。 左側のベアリングがガタガタする。 ベアリングをプーラーで引き抜く。写真はプーラーが安定せず、筐体でシャフトを保持させただけ。 プーラーはフトコロの深いのが必要。ネット通販で2000円程度で見つけることができるぞ。(写真はサンプル) 自動車やっている方なら様々なプーラーを所有しているだろうし、プレス機あればプーラーなんぞいらないだろう。 念の為に交換用ベアリングを購入しておいた。 型番は左が6004Z、右が6203Z。ネット通販で購入できる。 問題箇所はここ。シャフトが摩耗している。ベアリングあるのにシャフトが摩耗するのか? フランス語で解説する最初の動画にあったSimon saysのシャフトも摩耗していた。 ベアリング径に対してシャフトのマイナス公差が大きすぎるのだろうか? ベアリング径に対し、わずかにシャフト径が小さく、フライホイールの重量でシャフトが振れて摩耗してしまったりして。。 流石にシャフトは作り直せない。また、製造元のELITE社にシャフト欲しいと言っても相手にしてもらえないだろう。 ではどうするのか? シャフトとベアリングの間にステンレスの薄板を挟む。 ネット通販なら厚さ0.01mmから入手できるので、何枚か挟み込めばいいだろう。 ワタクシは0.1mmを挟み込んだ。 ベアリングを圧入し、Cリングでベアリング抜け止めして完成。 シャフトのネジ部分に付着しているネジロック剤は剥離してから組み込もう。 シャフトを挿入し、フライホイールを組み付ける。 フルードは回収した分を全量戻せないので少し補充する。 しなくても問題ないし、出力が上がるか?というとそうでもない。 余談だが、フルード抜いてローラー回すとどうなるのか? すんげぇ勢いで回る。出力1000Wも簡単だ。だが、まったく面白くない。スーパーマリオでスターを取って永遠に無敵になってピーチ姫を救ってもつまらないのと同じだ。チートしてZWIFTしてもツマラナイのと同じである。 また、ベルトのテンションを緩めると出力が上がるか? それはない。ベルトがスリップして逆に踏んだ瞬間のパワーが伸びないし、一定出力状態でも出力に差異はない。 閑話休題、フルードの補充だ。 フルードとあるが、中身はミネラルオイル。鉱物油だ。 透明なミネラルオイルってあるのか? 身近にあるんですよ。ドラッグストアに。 それがジョンソンベビーオイルだ。 自転車とベビー用品はなぜか仲が良い。タイヤとチューブの摩擦低減にタルクの代用品としてベビーパウダーはつとに有名だ。 ELITEのフルード代用品はベビーオイルであるのはナイショだぞ。 成分にミネラルオイルって書いてある。 前述のSimon saysさんもpersonnelleの人体用のミネラルオイルを補充していた。 ちなみに全補充するとなると300mlである。このボトル丸ごと一本だ。 補充したら最後にフライホイール側の蓋をネジで締めるが、ネジを同じトルクできっちり締めないとオイル漏れするので注意だ。 無事に完成し、異音も振動もなく回るようになった。 問題発生から解決まで一ヶ月以上を要した。調べて試してやりなおしての繰り返しだった。 部品や工具代が膨らみ、別のローラー買えばよかった・・・ と何度思ったことか。 それでも修理できたことにより、どんなローラーでも直せる(ような)気がする。 いまどきこのタイプのローラーを使用している御仁がいかほどいるかわからないが、修理の参考になればと思う。 ほいじゃーの。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.07.18 20:12:27
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