●雑誌『星座・歌とことば』7月号
『書-こころのかたち』より『一以貫(いちいかん)』
金澤泰子(文)、金澤翔子(書)
「一以貫」 ~ひとつを以って貫く ◇ 金澤泰子
祖父は教師であったけれど書に非常に憧憬が強かった
と聞く。父も夜な夜な懐素や王鐸の書を臨書していた。
私も四季の折々に床の間に飾られる祖父の書いた掛け軸を
日がな眺めては「この線はウソだ」「この字の角度は少し
おかしい」等と小さい頃から書に魅せられて60有余年が
経った。祖父も、父も、私も本職の蔭で秘かに書に費や
した時間は膨大であった。が、遂に書家として世に問わ
れることはなかった。そして今、いつの頃からか環境に
より書の世界に引きづり込まれてしまっている我が子・
翔子に、私の見果てぬ夢、成し得なかった書への想いが
引き継がれた。
もし、万が一、翔子が書家として世間に認められる様
なことがあるとすれば、それはひたすら書によって貫か
れた我々の血、DNAの祈りにも似た願いなのであろう。
※別紙で泰子様から頂いた上記「一以貫」の書の印刷です。
送付状態の関係で少し折り目がついておりますが
より詳細に分かると思い下記に掲載いたします。