●雑誌『星座・歌とことば』11月号
『書-こころのかたち』より『孤 雁』
金澤泰子(文)、金澤翔子(書)
「孤 雁」
金澤泰子
孤雁・群れを離れてただ一羽だけでいる雁。 どの様な
理由で、 どの様な想いで一羽だけになったのか。群れを
離れると云う事は自然界では生死に関わる一大事であろ
うから、 きっと緊迫した事態があったのでしょう。 千人
に一人の割合で出生するダウン症児を授かった私も、又
ある時期、深い諦念と共に健常者の連帯から離れなけれ
ばならなかった。 今は知らず二十数年前は皆と同じ様に
手を携えて生きるのは難しい事であった。 自らの狭い思
い込みの中で、追い詰められ、悲嘆にくれ、 苦しみの極
みで、 遂にある一線を越えた・・・・・・ 果たして、そこには
思いがけず安穏な素晴らしい地平が展けていた。
大空を一羽だけ飛ぶ雁も、 きっと苦しい刻を過ぎ、 今
は誰も知らない世界を味わっているでしょう。
(以上転載許可済みです)
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下記リンク先の中に全て入っています(^^)
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