|
15の春がやって来る。
下の娘がいよいよ、受験だ。
今日の三者面談でほぼ、希望進路が確定した。
と言うのに、我が家は昨日の夜中まで親子で
『どうする?どうしよう?』の右往左往で
高校のパンフレットとにらめっこ状態だった。
悠長な親子である。
このごに及んで焦り始めた。
とりあえず、どこでもいいから推薦してもらおうと私。
すでにこの『とりあえず』が怪しいだが…
娘は小5の時からバドミントンのジュニアクラブに入り、
練習に励んできた。
本当にバドミントンが好きらしく、練習がきつくても
体調がすぐれなくてもほとんど休まず、
親の私がひいきめに見てもよくがんばってきたと思う。
が、残念ながら、おつむの方がいまいちで、
進路に支障をきたしていた。
夏の県大会後、引退したのだが、ある高校から声がかかった。
夏の合宿の練習に来ないかと
ここは娘のジュニアクラブの先輩も多くいて、
娘もすぐに馴染んで練習は楽しかったと言っていた。
これで進路は決まったか?と思われたのだが…
ところが問題が一つ
ここはかなりの進学校だったのだ。
到底、娘の頭では難しいのだ。
担任の先生も『もし、推薦で通ったとしても
ついていくのが難しいだろう』とはっきり言われた。
これで白紙状態だ。
2人でまた、進路先を考える。
バドミントンができる環境にあるところで
娘の頭に見合ったところ…
一校あったが同じ市内でもかなり遠い。
確かに先生もここを最初に勧めた。
ここだと推薦で確実に入ると言っていた。
が、やはり、女の子、部活で夜遅くなるのは
あまり、親としてお勧めできない。
で、却下だ。
12月に入るとすぐ、合同の推薦説明会があり、それに出かけた。
その時もらった資料の中に一つ気になる高校が…
全く私も娘も視野に入れてなかったのだが
ある結構近い高校に普通科体育コースというのがあったのだ。
スポーツ系の部活である程度の成績を収めた子を優遇して取るようだ。
しかも、部活で忙しいぶん、勉強を少人数制にして見てくれるとあった。
これはいけるかもしれない!
娘に『ダメ元だ、担任に推薦してもらえないか聞いておいで』と言う。
娘はその日、息を切らして帰ってくると
『その高校の先生が今度、日曜日に学校に練習においで』
と言ってくれたと言う。
どうやら、部活の先生が、高校の部活の先生に
娘のことを話してくれたらしい。
その日から、やめていた素振りや、腹筋、腕立て伏せなどを再開させた娘。
もう、勉強は二の次だ。
娘は勉強以外は何でも得意だ。
とにかく、まず、先生に自己アピールをしなければいけない。
先輩へのあいさつの仕方まで、練習を始めた。
こうなったら、得意分野である。
学業がダメでも、この手があった。
娘よ、がんばれ!
と、密かに応援する母だった。
で、今日、学校に行ってみると
向こうの先生に気に入られた娘は高校の校長から中学の校長を通して
ぜひうちにともう、話がまとまっていた。
ひょうたんから駒?
行き当たりばったり?
苦肉の策?
追い詰められたあげく?
嘘のような話だったが、担任は続けてこう言う。
『1月に向こうの先生が面談にきますので、お母さん同席して下さい。』
スケジュールまで決められていた。
驚く親子!思わず、顔を見合わせる。
昨日、寝ないで親子して悩んだのにあれがいったいなんだったのか?
今でも狐につままれたように思える。
明日になると『あれは嘘でした』なんて言われないだろうか?
と、いらぬ、心配までする。
しかし、言ってみるものである。
本当にあの時はダメ元で私は言ったのだ。
で、気のないような返事をして出かけた娘。
それがこの結果になるとは…
半信半疑であるが、とりあえず、推薦してもらえそうだ。
帰りに先生から、
『オイ、推薦が正式に決まるまで他言するなよ。
それと大人しくしていること。いらん、問題、起こすなよ。』と
注意を受けた。
がってん承知の助!
と親子で教室を出ようとしたら、娘の携帯電話が鳴り出した。
マズイ!
学校に携帯を持ってくることは禁止されている。
思わず、私は、動揺を隠しつつ、
『あら、すみません。私の携帯です。電源を切るのを忘れていました。』
と、先生に一礼をし、慌てて、娘と廊下に出た。
娘はかなりの小心者で推薦が取り消しになったら大変なので
『もう、絶対、学校に携帯持ってこん!』
と狼狽して宣言した15の冬だった。
| 蓮4044 |
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
エラーにより、アクションを達成できませんでした。下記より再度ログインの上、改めてミッションに参加してください。
x
Category
(211)
(5)
(3)
ペット(0)
(3)
(1)
(1)
(1)
(1)
|
|