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テーマ:猫のいる生活(138423)
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私は好きではないですが、あの映画「座頭市」での勝新太郎の殺陣(たて)。
あの凄まじさは、他の役者で演じることはできないでしょうね。 後年、ビートたけしが座頭市を演じましたが、やはり勝新に一日の長がある。 それに比べて映画「ゴッドファーザー」や「ジャスティス」に出演してたアル・パチーノなんてのは段違いに演技が上手ですね。 映画バイオハザード・シリーズでお馴染み、ウクライナの首都キーウ生まれのミラ・ヨヴォヴィッチが始めて注目された映画がリュック・ベッソン監督の1997年作品「フィフス・エレメント」です。 この映画、とてつもない額の予算で映画化寸前まで話は進行していたものの、資金面で実現不可能との結論に達してました。 そこでベッソン監督が解決案として低コストで別の映画を製作して、それを「フィフス・エレメント」の資金の足しにする計画を立てたのですね。 脚本を2日間で完成させて、たった3ヶ月でクランクアップしたのが1994年にジャン・レノとナタリー・ポートマンが主演した「レオン」です。 資金の足しにするつもりで製作された「レオン」は大ヒット。 そうして、「フィフス・エレメント」の制作にこぎつけたのです。 麻薬中毒者でもあるこの刑事は、いつが正気でいつがラリってるか分からないほど。 ナタリー・ポートマン演じるマチルダの家族を皆殺しにした恐ろしい男。 動画を観ると、ああ、あの男ね。きっと思い出すハズです。 最後には手榴弾かかえたレオン(ジャン・レノ)の道連れになっておっ死んぢゃうオッサン。 Leon - Best action scene この悪徳刑事役をやってたのは"ゲイリー・オールドマン"と云うイギリス出身の俳優です。 「レオン」で部下に対して狂気じみた叫びをする有名なシーン、実はベッソン監督がなんど撮り直ししてもOKださない。 それでアドリブで「いいかげんにしろ!」と叫んでしまったのがそのまま採用されたのです。 とにかくゲイリー・オールドマンはどの作品でもアドリブの連発。 台本なんて無いに等しい俳優なんですね。 オールドマンはその後のベッソン監督作品「フィフス・エレメント」にも悪の武器商人役で登場してます。 頭の半分を剃り上げて透明なカバーで覆うという奇妙な髪型のオールドマン。 足が悪く器具をつけている役柄だったので、不自然な歩き方の演技が堂にいってました。 ゲイリー・オールドマンは溶接工でアルコール依存症の父親のもとで育ちました。 イギリスにはインドのカースト制度みたいに、「上流」「中流」「労働者」と身分制度が厳然と残ってます。 例えば下級市民はどんなに頭良くても、良い学校に入学できないし、就ける仕事もそれなりのものしかありません。 オールドマンは、その労働者=下級市民だったのですね。 父親はオールドマンが7歳のときに家族を捨てて家をでていきました。 そんなオールドマンはアルバイトをしながら苦学して、ローズ・ブルフォード・カレッジで演劇の学士号を得て、舞台役者としてのスタートをきったのですね。 後にロイヤル・シェイクスピア劇団に入団が叶い、たちまち主役で活躍しました。 そんなオールドマンの演技力に惹かれた映画監督がいました。 アレックス・コックスと云う監督がオールドマンを主役に「シド・アンド・ナンシー」と云う、イギリスの人気パンクバンド「セックス・ピストルズ」のベーシストだったシド・ヴィシャスと恋人との破滅的な愛を描く物語のオッファーをしてきたのです。 ところがオールドマンは「オレはパンクなんてぜんぜん興味ない」と興味を示さなかったのですね。 結局、舞台出演とは比べものにならない高額ギャラに惹かれてオッファーを受けてしまうのですが、一旦引き受けると、栄養失調で病院に搬送されるほど徹底した食事制限で役づくりを続けたのです。 そのときのオールドマンのシド・ヴィシャス役と云ったら、まさにシド・ヴィシャス本人が出演してるのかと思わせるほどのスゴイ演技! この作品をきっかけに、オールドマンの演技力と名声はどんどん上がりましたが、なぜか演技力に見合った役が入ってこなかったのです。 それは...映画業界でさえ、イギリスの階級制度がネックになってたのです。 それがきっかけで、オールドマンはアメリカに引っ越していきます。 そしてハリウッドで1991年に象徴的な映画に出演するのです。 ケビン・コスナー主演映画「JFK」です。 ケネディ大統領暗殺を描いたこの作品で、オールドマンは犯人オズワルド役をやったのですが、これが一躍オールドマンをハリウッド俳優として有名にならしめたのです。 つづけて1992年には映画「ドラキュラ」でドラキュラ役を演じます。 このとき彼は35歳。 まさに絶頂期にさしかかりつつありました。 そして1994年の「レオン」、1997年の「フィフス・エレメント」と立て続けにリュック・ベッソン監督作品に登場するのですね。 下の画像は映画「レオン」の1シーンですが、この脇役の表情は演技ではありません。 オールドマンがアドリブで舐め回すようにマチルダの父親の顔に顔を接近させてる演技に呆れ返ってる表情なんです。 この直後にオールドマンはマチルダの父親を撃ち殺してしまいます。 こうしてゲイリー・オールドマンの存在力はますます増していくのですが、私生活の彼は父親と同じアルコール依存症に囚われてるすさんだ人生を送ってました。 彼は1日に2本ものウォッカを飲み、演技するときでさえ酔ってたし、飲酒運転で逮捕されたこともあります。 やがて身体はボロボロになり、ついに1994年、ペンシルベニアのアルコール依存症治療センターに入ることになります。 センターを出た後も、引き続き飲酒問題を解決したいと願う相互援助の集まり「アルコホーリクス・アノミマス」の集まりに参加していきます。 そうして今ではアルコール依存症を克服して、まっとうな生活に戻りました。 オールドマンには別の悩みもありました。 度重なる結婚、離婚の繰り返しで慰謝料がハンパない額になり、イクメンしてる彼が破産の危機に瀕したのです。 それで乗り気でなかった映画作品に出演してお金をかせいだのが、「ハリー・ポッター」シリーズでハリーの後見人シリウス・ブラック役と、「バットマン ダークナイト」シリーズのゴードン警察本部長役です。 ゲイリー・オールドマンの影響を受けたと公言する俳優は、ブラッド・ピット、クリスチャン・ベール、ジョニー・デップなど枚挙にいとまありません。 ところが「役者のなかの役者」とたたえられるゲイリー・オールドマンが、なぜかアカデミー賞とは無縁だったのです。 やっとオールドマンがアカデミー賞主演男優賞を受賞したのは、2018年の映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」で。 イギリスの元首相でもあり、英雄でもあるチャーチル。 イギリスの階級社会で最下位の労働者出身の俳優が、イギリス最高位の首相を演じ、最高の栄誉アカデミー賞を受賞してしまったのです。 この作品でオールドマンはデップリ太ったチャーチルを再現してますが、これは特殊メイクがほどこされたもの。 この特殊メイクを担当したのが辻一弘です。 辻は2012年に映画の仕事を引退しており、現代彫刻家として活動していたのですが、オールドマンから「君がメイクを担当するのであれば、映画に出演する」とオファーを受け担当することになったのです。 辻はこの作品で、アカデミー賞のメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞しました。 この作品で彼はトルーマン大統領役を演じてました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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