耳（ミミ）とチャッピの布団

ヨメ見舞いの帰り道、住んでる地域の公園の草藪で都会では珍しい生き物を見ました。
イタチがいたのです。
実は大阪府内では糞害などによるイタチの苦情がカラスより多いのです。
これは固有種ぢゃなくて、シベリアイタチと云う外来種。

コイツらがなぜ関西に多いかと云うと、もともとは尼崎や明石の業者が毛皮採取目的で繁殖させたのが始まりです。
それが、ど～云うワケか昭和初期に野外に放ったと云うらしい。
今では近畿一円から四国、中国地方を始め、岐阜や静岡以西の西日本が生息域になってます。
第１次大戦終結～第２次大戦勃発までを「戦間期」と云います。
具体的には１９１９年～１９３９年のことです。
この時期は戦勝国でさえ、倒産と大量失業で経済と生活がどん底に落ち込んだ時代なのです。
そんな時代に敗戦国ドイツは「ヴァイマル共和政」と云う共和政体をとってましたが、しだいに国家社会主義ドイツ労働者党政権下のアァシスト＝ヒトラーが大頭してきたのですね。
そんなヴァイマル共和政時代、具体的には１９２６年に公開されたモノクロサイレント映画がありました。
映画のタイトルは「メトロポリス」。
この作品は２０６年のある未来都市を描いたＳＦ作品なんですが、これ以降のＳＦ映画の原点と云うか、ずっと影響を与え続けた作品なんです。

例えばジョージ・ルーカス製作の「スター・ウォーズ」の１９７７年に公開された最初期の「エピソード４/新たなる希望」から「エピソード５/帝国の逆襲」「エピソード６/ジェダイの帰還」の旧三部作に登場するロボット、Ｒ２-Ｄ２とＣ-３ＰＯのうち、Ｃ-３ＰＯはこの「メトロポリス」に登場するロボットから着想を得たのですね。
「メトロポリス」の監督フリッツ・ラングは、オーストリア出身の監督です。
脚本家である夫人テア・フォン・ハルボウとのコンビで、サイレントからトーキー初期のドイツ映画を代表する作品を手がけた人物です。

ラングが「メトロポリス」を制作したきっかけは１９２４年に初めてみたニューヨークの圧倒的なビル群です。
妻に映画化したいと相談すると、妻も大乗り気。
この映画は富裕層階級と過酷な労働に耐える労働者階級を対比したものです。
そこでラングは労働者の勝利で終わるストーリーを考えてたにも関わらず、妻は労働者と富裕層の指導者が和解するストーリーの方が興行受けすると譲りませんでした。

実は、妻のハルボウは当時台頭し始めたナチスに傾倒していて、楽観的な結末の方にこだわったのですね。
結局、ラングは妻の意見を受け入れざるを得ませんでした。
これが発端となって、思想の違いから後にふたりは離婚に至ります。
そしてラングはナチスから逃れるため、アメリカに亡命することになるのです。
物語はこんなストーリーです。
富裕層は近代的で高層ビルが立ち並ぶ大都市に住み、貧困層は暗く湿った地下都市で富裕層の暮らしを支える労働に従事していたのです。
ある日、支配者の息子フレーダーは偶然迷い込んだ労働者階級の娘マリアと出逢い、初めて抑圧された地下社会の実態を知ることになります。
フレーダーは父親に労働者階級の人たちも同じ人間、もっと待遇を考えてくれと訴えますが父親のけんもほろろな態度に激怒してある労働者階級の男と身分を交換して、自分も労働者階級として働き初めます。
そんなある時、同じ労働者階級の男が「今夜、会合があるから参加しろ」と耳打ちします。
「会合」？？？
とにかく行ったら、そこにマリアがいました。
マリアは階級社会の矛盾を説き、富裕層階級と労働者階級の調停者を必要とすると説くと、労働者達にストライキの気運が高まってきます。
マリアはフレーダーがまさに調停者になる存在だと見抜き、フレーダーもまた美しいマリアに心を奪われるのです。
ところが、そんな様子を盗み見てた男がいました。
フレーダーの父親です。
父親は危機感をもって、都市トップの学者ロトワングに命令。
マリアを誘拐して、マリアに似せたアンドロイドを作り出し、アンドロイドをマリアとして地下社会へ送り込み、労働者の団結を崩そうとしたのです。
ところがアンドロイドを作り出した科学者、実は昔 父親の恋敵だったのです。
科学者の真の目的はアンドロイドを使って労働者階級を扇動。
階級闘争をおこなわせ、メトロポリスそのものを壊滅しようと云うものでした。

暴徒となって工場へ押し寄せた労働者達はメトロポリスの心臓である中央発電機を破壊しますが、それがために水道システムが破壊されて、どっと水が地下都市に流れ込んできたのです。
取り残されたのは子供たちばかり。
科学者からやっと逃げ出したマリアは、子供たちを高台に避難させますが、人数が多すぎて避難しきれません。
そこに駆けつけたのがフレーダー。
彼は秘密の通路からマリアや子どもたちを救助するのです。

フレーダーとマリアが子供たちを救うのを見て、労働者は自分たちを扇動したマリア（実はアンドロイド）を糾弾し火あぶりにします。
そしたら炎の中でアンドロイドに戻り、労働者は自分たちを扇動していたものの正体を知ることになるのです。
いよいよエピローグ．．．が、ラング監督がもっとも希望してなかった終わり方。
フレーダーが調停者として父と労働者達との仲介を図り、支配階級と労働者階級は和解するに至るのです。
偽マリアに変身する前のアンドロイドは「映画史上最も美しいロボット」と云われてます。
それがジョージ・ルーカスを動かして、スターウォーズのＣ-３ＰＯの原型となったのですね。
この作品はスターウォーズのみならず、キアヌ・リーブス主演映画「マトリックス」など数多くの映像作品に影響を与えたＳＦ映画の傑作のひとつです。