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テーマ:猫のいる生活(138413)
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第1次大戦前に始まり、ファシズムの台頭が始まった1920年代に最盛となった芸術運動で「ドイツ表現主義」と云うものがあります。
客観的表現ではなく、内面の主観的な表現に徹した運動で不安の感情などを表現している芸術運動です。 絵画から小説、モダンダンス、映画と幅広く展開した活動で、先日ご紹介したSF無声映画「メトロポリス」もそのひとつなんですね。 ルイス・ブニュエルとサルバドール・ダリによって1929年に公開された衝撃的なフランス映画「アンダルシアの犬」にもドイツ表現主義の影響が見て取れます。 そんなドイツ表現主義映画でもっとも有名なのがドイツの映画監督ロベルト・ヴィーネが監督した1920年公開のサイレント映画「カリガリ博士」です。 ロベルト・ヴィーネもまた映画「メトロポリス」の監督フリッツ・ラングと同じようにナチス政権樹立後はドイツを出国しパリに移り住んでます。 そしてジャン・コクトーと共に「カリガリ博士」のトーキー版リメイクの構想を練っていたそうですが完成前に彼は亡くなってしまいました。 映画「カリガリ博士」のストリーは、精神に異常をきたした医者カリガリ博士と、その忠実な下僕である夢遊病患者チェザーレが引き起こした、ドイツ山間部の村での連続殺人を描いたものです。 それを登場人物の一人フランシスの回想を軸に展開するのですが、実はフランシスは精神病院の患者で、彼の回想は妄想だったのですね。 物語に登場する人物もまた同じ精神病院の患者。 そしてカリガリ博士は、精神病院の院長だったのです。 1990年にティム・バートンが監督して、ジョニー・デップが主演した映画「シザーハンズ」の主人公エドワードのメイクや衣装は、映画「カリガリ博士」に登場する夢遊病患者チェザーレを参考にして作られてます。 奇抜で歪んだセットは、柱、ドア、壁、煙突、屋根などがすべて平衡感覚が狂って歪んでるのです。 このセット作りに携わった人々は、ドイツ表現主義の画家たちだったのですね。 この不安や恐怖と云った表現はヒッチコック足品を始め後の多くの映画作品に取り入れられてます。 こっちの作品はヒッチコック監督の映画「サイコ」の原作者ロバート・ブロックが、脚本づくりに参加してます。 物語は自動車の旅してたジェーンと云う女性が、人里離れた土地でタイヤパンクで動かなくなった車を捨てて、見知らぬ屋敷に助けを求めて訪問するとこから始まります。 屋敷のオーナー、カリガリ博士は快くジェーンを招き入れ、気のすむまで滞在していいと告げます。 これがジェーンの恐怖の始まりでした。 一夜を屋敷で過ごした彼女は、カリガリ博士が帰してくれないことに不安になります。 さらにカリガリ博士は、根掘り葉掘り個人的な質問をしたり、気味の悪い絵を見せたりするのです。 電話もできない状態に置かれたジェーンは、屋敷に滞在してた客たちの中から協力者を見つけようとします。 やや年配のポール、ジェーンが心惹かれることになるマーク、快活な年配女性ルースの3人が候補にあがりました。 そんな中で入浴中の彼女を天井から覗き見するカリガリ博士に気づきます。 もはや一刻の猶予もありません。 他人に頼らず自らカリガリ博士と対峙します。 そしたらカリガリ博士は驚くべきことを告げるのです。 同宿してる年配のポール、実はカリガリ博士の変装だったのですね。 つまり親切そうにしてたポールとカリガリ博士は同一人物だったのです。 驚嘆したジェーンはカリガリ博士の部屋から逃げ出します。 そこは荒々しく光景が変化する回廊に様変わり。 そこを走り抜けて逃走しようとするのです。 そこは病院の一室でした。 そしてカリガリ博士がこっちを見据えてるのです。 実は、ジェーン自身が妄想に苛まれた精神病患者だったのです。 そしてカリガリ博士はジェーンの担当医。 親切にしてくれてたポールはその助手、ルースは看護師、そして青年マークはジェーンの実の息子。 彼女が体験した恐ろしい出来事の全ては、ジェーンの脳が生み出した妄想だったのですね。 そして若く美しいジェーンのホントウの顔が映し出されます。 それは...シワだらけの老婆だったのです。 つまり若かったジェーンはその時から現在までずっと精神病院に入院してたのですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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