個を認める社会とは
先週、母から聞いた話なのですが、とても考えさせられたことがありました。「夕方、小学生の女の子が3人、家に慌てて飛び込んできたんだよ」母は今までにないことで、かなり困惑したようです。その子達の話によると、母の家の裏手にあるスーパーに友人同士で買い物に来た帰りに、後ろにぴったりついてくる男の人がいて、怖くて我慢できずに近くの家に助けを求めに飛び込んだらしいのです。「変な男の人がついてくるんです。助けてください」5,6年生らしい3人の女の子が、口々に興奮して訴えてきたら、母も本当にびっくりしたことでしょう。とりあえず、女の子達を家に上げて、さてどうしたものかと考えた母。110番しようかと彼女達に言ったら、意外にも返ってきた言葉は「いいえ、学校に電話してください」というものでした。どうも、彼女達にはついてきた男性が誰かわかっているみたいだったそうで、母は言われるままに学校に電話したのだそうです。電話口に出た先生に事情を説明し、今生徒を家で預かっているので、迎えに来て欲しいと言いました。すると、またもや意外な返事が。「生徒に自分達で家に帰るように言ってください」母は、明らかに怖がっている彼女達にそんなことは言えないと、生徒と先生を直接話させました。結局は学校に残っていられた先生が、彼女達を迎えに母の家まで来て下さったらしいのですが。「先生もね、その男性が誰か知ってて、生徒対達にはそういう人がいるということを普段から説明してあるから、大丈夫だって言うんだよ」「そういう人」というのは、学区内に住んでいらっしゃる精神障害者の方なのだそうです。学校では、そういう人といわゆる「変質者」と呼ばれる犯罪を犯す人を一緒にしないようにと、子供達に指導しているのだとか。うーん。確かに。それは大事な事だと思います。偏見を持たないこと。きっと彼女達もそれはわかっていたのでしょう。でも、それでも、怖かった。たとえその人が、なんの悪意もなくただの純粋な好奇心やらなにやらで、彼女らの後ろをついてきていただけでも。だってさ、今の世の中、基本的には外で他人を見たら悪人を思えと言わんばかりの指導をしているわけでしょ。未熟な子供達にとっては、どう判断していいのか惑わされることばかりじゃないんでしょうか。とっても、センシティブな問題ですから。大事なのは、こういうことがある度に、ちゃんとまわりの大人が丁寧にフォローしてあげることなのではないかと思うのです。