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ポムブログ~ポム・スフレの名曲大百科

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2008.06.25
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テーマ:洋楽(3395)
カテゴリ:80年代洋楽
1978年9月7日、The Whoのドラマーであるキース・ムーンが死んだ。
享年32歳。死因は薬物(ドラッグではない)の多量摂取だった。
曲を書くわけでも歌えるわけでもなかったが、ドラマーとしても人間としても得がたい個性を持っていたキースは、The Whoにとってなくてはならない存在だった。
それを一番分かっていたのは、おそらくピート・タウンゼンド自身だろう。

だが、The Whoは解散しなかった。
キース・ムーンの後釜に元Small Faces/Facesのケニー・ジョーンズを迎えた彼らは、'79年に活動を再開する。
同時期(正確には少し後)、ジョン・ボーナムを失ったことにより解散を決めたLed Zeppelinとは対照的な選択だった。


「You Better You Bet」は、ケニー・ジョーンズ加入後初のシングルである。
'81年発表のアルバム『Face Dances』(上ジャケット)に収録。
プロデュースは、イーグルスなどで知られるビル・シムジクだ。
作詞、作曲はもちろんピート・タウンゼンド。
この前年に発表された自身のソロ・シングル「Let My Love Open The Door」(全米9位)の流れを汲む、テクノ風ポップ・ソングとなっている。

ケニー・ジョーンズ期のThe Whoを「らしくない」「The Whoとはいえない」という声は今でも多い。
自分も基本的にそう思う。
もちろん、誰もケニー・ジョーンズに恨みがあるわけではない。
だが、彼はそもそもキース・ムーンとはタイプの違うドラマーだった。
破天荒で独自のリズムを持ったムーンに対して、ジョーンズはオーソドックスなビートをあるがままに叩き出す人だった。
曲を聴くと、ドラムの感触がそれまでと違うという事は、素人耳にも一聴して分かる。ビート感はもちろん、スネアの音ひとつとってもだ。
なによりもクレイジーな要素が希薄なのが痛い。

だが、"それまでのThe Who"にこだわらなければ「You Better You Bet」は良質なポップ・ソングとして聴けると思う。
楽曲にピートらしさは充分出てるし、メロディはキャッチーで覚えやすい
ロジャー・ダルトリーの歌声には張りがある。
ピートとジョン・エントウィッスルのコーラス・ワークはそれまで以上に洗練されており、耳に心地よく響いてくる。

そしてギター・サウンドが後退した分、ジョン・バンドリックの弾くキーボードが前面に出ており、すっきりとしたポップ・サウンドに仕上がっている。
この辺は"ハードなThe Who"を好む人には確かに喰い足りないしだろうし、バンド・マジックもここにはない
だが、ポップ・ソングとしては充分水準を越しているし、何より聴いてて楽しいことは事実だ。

この曲はアメリカで18位、イギリスで9位と、チャート的にもまずまずの成功を収めた。
ピートの書いた曲は、やはりロジャーのヴォーカルで歌われてこそ輝きを増す。
キース・ムーンのいないThe Whoの曲ながら、「You Better You Bet」はバンドの代表曲として残り、ライヴ・レパートリーにも加えられることとなった。


バンドの解散からすでに四半世紀が経つ。
その間に何度も再結成し、そして今年(2008年)の11月にようやく初の単独来日公演が決まったThe Who。
この曲の楽しいテクノ・サウンドは、武道館や大阪城ホールでも聴けるのだろうか。


「You Better You Bet」を聴くにはここをクリック!


※ポム・スフレのメインHPでは、The Whoの名盤『Who's Next』について取り上げています。





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Last updated  2008.09.12 10:12:18
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