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テーマ:洋楽(3395)
カテゴリ:60年代洋楽
だが、それでも未だに「もしも、ジミヘンがあの時あの若さで死なずに、今も現役で活動していたら?」などと思うことがたま~にある。 クラプトンのように今も第一線で活躍していただろうか? 21世紀に入ってからも「歴史上最も偉大な100人のギタリスト」の1位('03年、米ローリング・ストーン誌)に選ばれていただろうか? 晩年(?)にはファンク・ロック路線を指向していたジミ・ヘンドリックス。もし今も生きていたなら、ひょっとすると今年の9月あたりにスライと一緒に来日していたかもしれない(笑) …なんていうタワゴトはともかくとして、彼の残した曲や演奏が今聴いても単純にカッコいいなぁと思う事は事実だ。 「Rock Me Baby」は自分が好きなジミヘン・ナンバーのひとつだ。 B・B・キングがオリジナルであるこの曲は、モンタレー・ポップ・フェスティバルで演奏されたもので、同フェスでジミと同じステージにあがったオーティス・レディングやアニマルズ、ジェファーソン・エアプレインもこの曲をカバーしている。 ただし、ここでのジミのバージョンは、歌詞はともかく曲自体は彼のオリジナル要素が強く、後の『Band Of Gypsys』や『Hendrix In The West』(←名盤※)などのライヴ・アルバムでは「Lover Man」とタイトルを変えた(歌詞も変えた)オリジナル・ソングとして収録されている。 ここで使っているギターは'65年製、黒のストラトである。 ハードで鋭いリフがカッコいい。 「ガッガッガッ」というその音色は脳髄を切り刻むかのようだ。 疾走感あるリズム隊の上で、ジミのギターがワイルドに唸る。 間奏でのプレイは実にエモーショナルで、メタリックな音色の向こうに彼の情念が見える。 危険な香りと同時に、どこかエロティックで甘い響きを持っている所がジミたる所以だ。 少しではあるが「歯弾き」という視覚的サービスも披露してくれます。 クールにきめたヴォーカルも、上手いかどうかは別にしていい感じだ。 最後の爆発音のようなサウンドは後のハード・ロックへとつながっていく。 演奏する喜びと「皆のド肝を抜いてやろう」という気迫が、音の塊となった名演だと思う。 嬉しそうなジミの顔とそれを見守る観客達の反応も印象的だ。 ステージを見つめるジャニス・ジョプリンの表情が微笑ましいなぁ。 この後、「さあ理想を現実に」と言ってジミはギターに火をつける。 その瞬間、ロックの歴史が変わった。 だが、「Rock Me Baby」で使っていた黒のストラトはここでは燃やされていない。 最後でファイアーしたサイケ・ペイントのギターは、「Wild Thing」の演奏のみで使われた見せもの用だった。 四年間の活動期間の中で、ジミがギターに火をつけたのは公式上3回だけである。 右利き用のギターを逆さまに持って演奏した男、ジミ・ヘンドリックス。 ウッドストックでは、閑散とした会場(ほとんどの客は帰ってしまっていた)で「アメリカ国歌」をノイジーに奏でたジミ・ヘンドリックス。 生前最後の公演となったワイト島ライヴでは、「もうたくさんだ」とばかりにギターを投げ捨ててステージを降りた男、ジミ・ヘンドリックス。 ひょっとすると彼は、"二十七年間だけ"という約束のもと、神の国からギターを持ってこの世に遊びに来ただけの子供だったのかもしれない。 「Rock Me Baby」を聴くにはここをクリック! ※ポム・スフレのメインHPではジミ・ヘンドリックスの名盤『In The West』について取り上げています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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