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カテゴリ:プログレッシヴ・ロック
日本ではプログレの範疇で語られることが多い(自分もそっち経由で知った)が、ドラマティックでメロディアスな作風は"ラヴ・ロック"と呼ばれることも多い。 バンド名が「くまのプーさん」からとられている、というのもカワイイ(笑 本国ではいまだ絶大な人気があるらしく、その地位はまさしく"国民的歌手"といったポジションだとか。 結成は'66年と古く、その分だけアルバムの数も多い。 彼らの基本は幅広い音楽性を持つポップ・バンドであり、名盤も多く残しているが、プログレ・ファンにとって注目すべきは'72年~'75年の作品あたりか。 特に'73年の『Parsifal』(上ジャケット)はイ・プーの入門編として知られるアルバムであり、前作の『Alessandra』('72年)と並んで歴史的名盤と言える一枚だ。 全9曲すべてが素晴らしいが、あえて個人的なベストを挙げるなら、アルバムのラストにおかれたタイトル曲か。 ワーグナーの同名歌劇をモチーフとした、10分にもおよぶ大作であり、Part1、Part2からなる組曲風作品となっている。 メロディアス、センチメンタル、そしてドラマティックの三拍子がそろった、"ラヴ・ロック一大抒情詩"というべき仕上がりだ。 曲はピアノの弾き語りではじまる。緊張感あるピアノにのせて、ヴォーカルが情感をこめて歌いあげる。 そして演奏が進むにしたがい、エレクトリック・ギターやオーケストレーションを介して、曲はシンフォニックにのぼりつめていく。 その盛り上がりは圧倒的で、まるで映画のクライマックス・シーンを見せられているような気分にもなる。 特に、哀しげな旋律がどこまでも広がる後半オーケストラ・パートはカタルシス爆発の展開。何度聴いても肌に粟が立つ思いだ。 このへんは甘すぎるキライもあり、正直好みも分かれるだろうが、キング・クリムゾンの『Epitaph』あたりが好きな人の琴線には触れるんじゃないかと。 まあ浪花節的というか、日本人好みというコトですな アルバム『Parsifal』には、ほかにも「Infiniti Noi」、「L'anno il posto l'ora」、「Lei e lei」などの名曲がてんこ盛り。 にも関わらず、現在のところは廃盤状態なのが残念無念。 中古屋で見つけたら、要即購入である。 プログレといっても小難しい印象はほとんどなく、欧州らしい美しさと整合感を持ったイ・プーの音楽は、ジャンル無用の魅力があると思う。 『Parsifal』以降、現在まで不動のメンバーで活動する彼らは今年(2008年)に入って『Beat ReGeneration』なるカバー・アルバムを発表。 イタリアン・ロックの至宝と呼ぶにふさわしい彼らには、いつまでも頑張ってほしいものだ。 などと言う僕もまだまだイ・プー初心者です つーコトで「Parsifal」を聴くにはここをクリック。 雄大かつロマンティックな、イ・プー・ワールドに泣け! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.10.01 05:34:10
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