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テーマ:洋楽(3357)
カテゴリ:80年代洋楽
その後は、ポール・マッカートニーのソロ、ホリーズ、アル・スチュワート、パイロットなどのセッションにエンジニア、プロデューサーとして参加。 有名なピンク・フロイドの『The Dark Side Of The Moon(狂気)』のエンジニアリングを手掛けたのもアランで、あの驚異的なサウンド・クオリティは彼の力による所が大きい、というのはよく知られているだろう。 アラン・パーソンズ・プロジェクト(以下APP)は、そのアランが、シンガーソングライター兼ピアニストだったエリック・ウルフソンと組んだユニットである。 "プロジェクト"という名義が示すようにはっきりした実体を持たず、曲ごとに様々なヴォーカリストを迎えるという形をとっており、その中にはスティーヴ・ハーレー、デヴィッド・ペイトン(パイロット)、クリス・レインボウ、コリン・ブランストーン(元ゾンビーズ)、レスリー・ダンカンなど、通好みのファンが泣いてよろこぶ名前がいくつも見られた。 1stアルバムには、『市民ケーン』や『第三の男』などで知られる俳優/映画監督のオーソン・ウェルズが参加しているのだから驚きだ。 ライヴをやらないという姿勢も"匿名ユニット"的な神秘性を強めていた。 そんなAPPのデビューは'76年。 当初はプログレ色の濃い音楽性だったが、アルバムを重ねていくごとに大衆的ポップ感覚を押し出していく。 スケール感を持ちながらもアクの少ないサウンドは、プログレとポップの両方のファンに受け入れられるものだった。 エンジニア出身のアランが中心だけあって、(当時としては)非常にクリアな音作りも魅力だった。 「Time」は、五枚目のアルバム『The Turn of a Friendly Card(運命の切り札)』に収録の美しいバラードである。 邦題、「時は川の流れに」。 恋人との別れというシチュエーションを通してこの世の無常観を歌ったものだ。 エリック・ウルフソンとアラン・パーソンズの共作であるこの曲は'81年に全米15位を記録。 同アルバムからの「Games People Play」(全米16位)に続くヒット・シングルとなり、のちの「Eyes In The Sky」(全米3位)、「Don't Answer Me」(同15位)と並ぶコンパクト・ポップ路線の代表作となった。 イントロで聴けるピアノは、文字通り川を流れるよう。 シンプルで気品にあふれたサウンド、ゆるやかな演奏がなんともいえない。 エリック・ウルフソンの消え入りそうな歌声は、淡々とした曲展開にハマっている。特に「Till it's gone forever...Gone Forever」という、高音を強調した部分の気持ちよさは吸いこまれそうになるほど。 バック・ヴォーカルにはアラン・パーソンズ自らも参加。意外(?)なことに、彼自身の声が聴ける数少ない曲のひとつとなっている。 また、空間的な音処理の仕方が絶妙で、透き通るような美しさを感じさせる仕上がりは絶品。 はかなげなストリングスの音色にも溜息がもれる。 エリック・ウルフソンのポップ・センスと、サウンド職人アラン・パーソンズの力量ががっぷり組み合った名トラックですな。 この曲の他にも、アルバム『The Turn of a Friendly Card』は全篇が聴き所といえる傑作。 プログレ・ファンにもポップ・ファンにも自信をもってオススメできる一枚です。 というか、'86年までに残された10枚のオリジナル・アルバムはどれもが名盤。 ベスト盤を聴いてポップなシングル曲から入っていくのもよし。 『The Turn of a Friendly Card』や『Eyes In The Sky』などの定番アルバムから入っていくのもよし。 職人たちによって作り上げられた、美しきAPPワールドに酔いしれろ! つーコトで「Time」を聴くにはここをクリック。 メランコリックなポップ・ソング「Don't Answer Me」(ここを参照)も聴こう。ここをクリック。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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