The Beach Boys 「Good Vibrations」
1966年の全米No.1ヒットで、ビーチボーイズの曲では最も有名な曲のひとつだろう。アルバム「Smily Smile」(写真)に収録。録音期間6ヶ月、4ヶ所のスタジオで17回のセッション、出来上がったテープは90時間、制作費は5万ドルと、一枚のシングル曲にかけた時間と経費は当時としては全てがケタ違いのスケールであって、結果壮大なポップ・シンフォニーが出来上がった。冒頭の「Ha~」という声だけでも、この世のポップ・ミュージック・ファンを骨抜きにしてしまう魔力があるが、テレミンやチェロを駆使して作られた不気味さと紙一重のサウンドはこの当時のブライアンのパラノイアぶりを象徴するもので、当時の彼が何かに憑依されていたのでは?と思わせる異様なテンションが漂っている。そうしたサウンドに美しいメロディを絡めて、ポップソングとして昇華した所に意義があり、60年代のヒット・ポップスとしては最も手の込んだ、プログレシップな一曲となった。「ビートルズに勝ちたかった。ただそれだけだ」というブライアンの執念が生んだ、妖しくも美しい永遠のマスターピースである。なおこの曲はトッド・ラングレンが「Faithful」というアルバムで、細部のサウンドまで忠実に完コピしている。ポム・スフレのホームページではビーチボーイズのアルバムについて取り上げていますぜひご覧ください!