Hawkwind 「Silver Machine」
ホークウィンドは60年代末のロンドンでヒッピー(死語)達によって結成されたロック・バンドである。'70年にデビューした彼らはヴォーカルにSF作家や詩人を起用したり、ステージにヌード・ダンサーがいることなどで話題を呼んだ。メンバーには、後にモーターヘッドを結成するレミーがいたことでも有名だ。この「Silver Machine」は'72年に発表されたシングルで、全英3位を記録した代表作。オリジナル・バージョンはライヴ録音で、元々ロバート・カルヴァートがボーカルをとっていたが、パンチに欠けるという理由でレミーのボーカルに差し替えられた。シングルとしてヒットしたのは、レミーが歌うバージョンである。当時はアルバム「ドレミファソラシド」の日本盤にのみ収録されていた。SF的コンセプトを売りにしていた彼ららしく、イントロでの怪しげな発信音からして、いきなりトリップさせてくれる。野蛮人のようなレミーの歌声、渦をまく混沌と疾走感がスゴい。それでいてメロディがとてもキャッチー。3コードを基調としたシンプルな楽曲ながら、怒涛の演奏とアレンジでスペース・サイケ・ヘヴィ・ロックとでもいうべき仕上がりとなっている。ヘヴィ・メタルの元祖といってもいい曲だが、このフリーキーな音空間はサイケを引きずったこの時代ならではのものだろう。メンバー自ら「サイケデリック最後のヒーロー」と言っていたのがなんとも象徴的だ。今の耳で聴くと音圧が足りないのがチト残念だが、それでも迫力は充分。うるさいだけのロックとは違う、親しみやすくもカオスがいっぱいにつまった名曲だ。'82年には、10周年記念として新たにレコーディングされた。'75年にはレミーが脱退(クビ)するもバンドはメンバーを入れ替えつつ続行され、なんと現在でも活動を続けているという。他にアルバムとしては、'73年のライヴ盤「Space Ritual(宇宙の祭典)」、'77年の「Quark,Strangeness,Charm」あたりがオススメか。'91年にリリースされたBBC音源のライヴもスゴかった。「Silver Machine」は、現在では「In Search Of Space(宇宙の探求)」(上写真)にボーナストラックとして収録。ホークウィンドは知らなくても、この曲だけは知っておきたい。それではここをクリックして宇宙へGo!大音量で聴こうぜ!