チューリップ 「サボテンの花」
財津和夫率いるチューリップの1975年のヒット曲であるが、1993年のドラマ「ひとつ屋根の下」の主題歌に使われた事でこの曲を知った人の方が多いかもしれない。切なくも爽やかなイントロ、財津和夫の優しい歌声、ビートルズ的ポップセンスと四畳半フォーク的な叙情性が見事に融合した美しいメロディーは、「懐かしさ」と「時代を超えた普遍性」を併せ持った、70年代ジャパニーズ・ポップスが生んだスタンダードと言える。「ひとつの恋の終わり」を淡々と歌った歌詞は、表現的にもこれといったひねりはないのだが、財津の声で歌われると素直に心に入ってきて胸を打たれる。この曲は後に財津がソロで、またチューリップの再結成アルバムでそれぞれリメイクしてるが、財津の声の衰えは悲しいモノがあり、やはりオリジナル・バージョンが一番だと思う。現在話題になっている映画「Always~三丁目の夕日」の原作である「三丁目の夕日」(西岸良平・作)の中の短編に「サボテンの花」というエピソードがあるが、そのタイトル、内容からしてチューリップのこの曲からインスパイアされた事はまず間違いない。…と思う。なおチューリップの後期メンバーであった高橋ひろ氏が先日11月4日に逝去したとの事である。この人「幽遊白書」のエンディング・テーマ「アンバランスなKissをして」とかも歌ってましたね。合掌。