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2008.03.29
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カテゴリ:近所の庭
20080329b01(椿).jpg

椿は、ぽんちがたぶんこの世で一番好きな花です。

もう桜が満開よ、とあたりはすっかり春爛漫な雰囲気になっておりますが、どうしても今年最後の椿を撮っておきたかったのです。

今は亡き祖父母の屋敷跡。
そこから続く一本の細い道。

その道を数十歩いけば、もうそこは神様の領域です。
いまもむかしも変わりなく、背の高い木々で覆われた神社の境内は、人の気配もなく静まり返っています。

くるぶしまで沈むくらいのふかふかの腐葉土の上を歩いて、椿の木の下へ。
もはや花は、花弁の縁も茶色くなり痛々しい様子です。
そのなかからかろうじて、ほぼ無傷の花を見つけました。

昨年も椿の咲き終わりの頃に写真を撮りに来ましたが、その時とほぼ同じ位置に無傷の椿が一輪。

この世で一番好き、というくせに、いつでも見に来るのは終わりのころ。
一番美しい花の盛りを見るには、また一年待たなければいけません。



子供のころから親しんだ、椿咲くこの神社。
一説では、延喜式にある埼玉群宮目神社とも言われており、祀られているのは桓武天皇の孫の宮目姫という美しいお姫様だそうです。

このお姫様が下総の国へ行こうとして、途中この地で紅葉の美しいのを眺めていたならば、陽も落ちて肌寒くなり、とつぜん病を起こして命を落としてしまいました。
その後、この話をきいた高名な僧侶が宮目姫を祀った祠を建てたのが、この神社の起こりと言われているそうです。

枯れゆく前に、美しい花がぽとりと地に落ちてしまうことと、美しい姫様がこの地でとつぜん命を落としてしまったことが重なって、椿は姫様の化身であるかのようにも思えます。





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Last updated  2008.03.30 15:58:50
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