カテゴリ:私の猫たち
私達はドイツに来た当時、前夫の実家にお世話になっていました。
ベルリンの南、ブランデンブルグ州と西ベルリンを隔てる壁のそばです。 実家と言っても前夫の両親は亡くなっていて、住んでいたのは前夫の二人の伯母と一人の伯父でした。 伯父は屋根裏の小さな部屋、ヒラ伯母は手前の右の窓の部屋、アンデレ伯母は二階の手前の窓の部屋、私達はその後ろの窓の部屋に居ました。 第二次世界大戦の後、ドイツ領だったポーランドのシレジア地方に住んでいたドイツ人が追放され、ベルリン郊外にはその人たちの為に大きな庭付きの集落が幾つも用意されました。 終戦直後は食糧難で、みんなそこで野菜を作っていたそうです。 実家には猫のピーテがいて、とても居心地の良い場所でしたが、いつまでも厄介になっている事も出来ません。 半年後にベルリンの北の古いアパートに移ると、そこは石炭ストーブで暖房を取る、天井まで3メートルもある古い建物でした。 前夫はしばらくして黒い子猫をもらってきましたが、それが前回出て来た正義の味方、バットマンのペペでした。 翌年長男の出産の為に1週間ほど入院すると、ぺペは鳴き声をあげながらずっと私を探し回っていたそうです。 そして息子が口をきけるようになって、初めて出た言葉がママではなくてテェテェ(ペペ)でしたっけ。 子猫たちを嫌うクッキーと違って、ペペはいつも優しいベビーシッターで息子達が小さかった頃のように、ナヌによくひっつかれていました。 そのペペも忘れがたい思い出の一つです。 うわぁっ、ぺぺ、死んだハエがァ !? ある日、私が掃除機を掛け始めた時、いつもは、その大きな音にすっとんで逃げるはずのぺぺが、ガラス戸にぴったりと黒い背をへばりつけて、何やらカーペットに猫パンチをしかけています。 汚れが目立たないように買ったこげ茶色のカーペットで、ぺぺは白い前足を恐る恐る出しては、一見なんにもない場所を、ぺチッ。 じっと動かず、しばらく様子をうかがった後でまた・・・・ぺチッ。 私も面白くなって、掃除機を止め、何だろうかと、ぺペの横にしゃがみ込みました。 な~んだョ、とんちき猫め。 ハエが死んでるだけじゃん! なんでそんなものに猫パンチする? ペペの鼻づらの前にはカサカサに乾いた銀バエが大きなお腹を出してころがっています。 不気味な場面に出っくわして、こっちの体は這いつくばったまま硬直。ぺぺが、またぺチッ。 なんでぺチってするかなぁ、・・それ、死んでるんじゃないか。 ホント、これ以上乾ききれないくらい、カッサカサだよ。 ぺぺが固まって、じーっと死んだハエを見る。 しゃがんだ私も、その横で死んだハエを見る。 なんて平穏な静かな時間。 ね、死んだハエって、しあわせだなんだよね、ぺぺちゃん。 ぺぺが、またぺチッ。 おい、おい、いい加減にしようよ。 掃除が残ってるんだからさ。 立ちあがろうとして、一瞬ギョッとする。 気のせいかな、今の・・・。 気のせいだよね、絶対! しゃがみ直して、いや、這いつくばってカーペットに顔を近づけて、もう一度死んだ大きな銀バエを凝視する。 カランカランに乾いてて、足が3本しか残ってなくて、完璧に死んでる。 だけど、確か・・・・・・・・・動いた様な気がしたよ。 あっ~!、 ギャァ~、ヒェ~、・・動いた ! 動いてる! ウッソォ~ ! 乾いた銀バエの体が右へ左へと、微かに揺れています。 ” 銀バエゾンビ ” のホラーが今、現実に目の前のカーペットの上で展開されてるのです! 目が、ひっくり返った銀バエの死骸に釘付けになっています。 ぺぺがまたカーペットをぺチッ。←銀バエに触れることなく。 乾いた死骸の動きは完全に明確になり、揺れが大きくなってきました。 逃げろ!と理性が頭の中で言います。 でも、逃げるな、おもしろい!と好奇心が言い返します えっ! なにっ ! ← 一般の方はここから先は立ち入り禁止。 膨らんだ銀バエのお尻の先から何か白いものが!←先は読まないでね、責任もたんからのう。 針の様なその白い先っちょがチロッと現われた時、 ハエの体に寄生していた回虫だ、---と思った瞬間に出て来たのは、一匹のごく小さなウジ虫でした。 ひっくり返った銀バエのお腹は、太陽の光にてらてらと反射しながらその時点でいっそうもごもごと動き出しています。 最初のウジ虫が、にょろっと出終ると、続けて2匹目、3匹めと、どんどん蠢いて出て来ます。 こげ茶のカーペットの上は、あっと言う間に小さな白いウジ虫共がもぞもぞと四方八方に広がって行きます。 その這い方の早いのなんのって! 最初の一匹はすでにカーペットの下に隠れたかもしれません! それからが大変。 私はギャーギャー叫び声を上げながら、カーペットのウジ虫を掃除機で必死に吸い取って、裏をめくってまた入念に吸引して、ただちにそのごみ袋を表の大型ゴミ容器に捨てに行きました。 もう一度、一匹でも残っていないかと隅々まで丹念に確認して、ぺぺ、これでもう安心だよ。 そして、翌日台所のゴミを捨てるために容器のふたを開けました。 そのとたん、もぞもぞと這いずりまわる、数えきれないくらいの太った大きなベージュ色のウジ虫が、ごみ容器の蓋の裏から、私の腕にポロポロと転げ落ちて来たのです! 気持ち悪いって? 書きながら思い出してる私の方のが、よっぽど気持ちワリ~イんだけど。 で、みんなに分けてすっきりした。 あ・り・が・と! 2014年06月28日 この記事へのコメント yukitake 2014年06月29日 02:27 キャー!!!! 凄すぎる!!!! ウジ虫さんって、そんなに早く増えてしまうのですね。 こ、怖い…。 それに気がついた、ぺぺさんは偉いなぁ。 動物って危険を感じやすいと言いますが、よく見てますよね。凄い! ponko310さんの寄生した回虫…という文面で思い出したことがあります。 それは少し前にハチやアリの生態に興味があって、調べた時のことです。 調べていくうちに寄生虫の中にはアリなどにも寄生して生活する方々がいる…という事実でした。 なんて恐ろしい…。 自然は好きですが、世の中には怖い虫も多いので気をつけたいですね。 今度、我が家に出た、巨大ムカデについて紹介します(笑) 怖い虫が出た際は、是非!! ponko310さんは、優秀なぺぺさんに助けてもらって下さい(^O^) ponko310 2014年06月29日 06:42 yukitakeさん きゃー・・・・って・・・ だから、読むなって書いたのに、クスクス。 ぺぺはもう、この世にいません。 このお話はもうずっと前の事なんですよ。 虫に付く寄生虫の「方々」には爆笑でした。 私だったら「奴ら」と言います。 その大きなムカデの記事、楽しみですね。 ぐうたら主婦 2014年06月29日 08:28 うっそぉー、ハエって、なんて、生命力が強いんだぁ~というのが私の感想です。死してなお後継者を産み出すなんて。而も、増え方がハンパない。こうして奴らは綿々と生き続けているんですね。 ところで、私のブログにコメ、有り難うございました。UPしてから2時間以上経つのに何故か私のパソは更新されず。外国で見れて、何故国内で見れない?内容がNGワードが含まれていた???なんか言論統制されているかのような不気味さです。 奈っちゃん 2014年06月29日 09:48 立ち入り禁止地帯に足を踏み入れた私がバカだった。 でも人間心理として禁止とか見ちゃダメとか言われると逆に見たい!という欲望を刺激されるのだ。 正にponkoさんのは誘導尋問だぁ(笑) イヤ尋問はしてないか……。 朝食食べたあとでよかった(^-^)。 しかし、ponkoさんは無類の虫好きなんですねぇ。 騒いでいるけどちゃんと描写してるもの。 我が家の大統領(シロ)も虫取りが大好きで二本足で立ち、両手でパッチン!てやってます。 ほとんど命中してないんだけどしぐさが超かわいいです。 yukitake 2014年06月29日 13:32 ぺぺさんは、もう天国なのですね。 何だか寂しいです。 でも、それならいつでも見守っていてくれて、助けてくれること間違いなしですね☆ 大きなムカデ事件は近日、記事にしてアップしますね(^O^) ponko310 2014年06月29日 16:05 ぐうたら主婦さん えっ~、お宅の記事がその時点では“日本で”見られないって事なんですか? そんな事があって良いものか。 まるで独裁政治の国じゃないですか。 でも、今は見れてるんでしょうね。 ・・・なんだかびっくりの連続だわ~い。 死んだハエの体の中で卵が孵っていたなんて恐怖でしたよ。 人間だったら不可能でしょうね。 ponko310 2014年06月29日 17:05 奈っちゃん ホッ、乙女でか弱い奈っちゃんが迷い込んだ、このゲ~ェな立ち入り禁止地区で何事も無く無事に出て来てくれてよかったわ。 お宅のシロちゃんもかんわいいのよね。 二本足で立ってるとこなんて想像したら、もうモフモフしに行きたくなっっちゃいますよん。 私が虫好きねぇ~・・かなぁ~。 こんな記事を書くのが好きな、ただのイタズラ好み・・・・だけなのかもよ。 ponko310 2014年06月29日 17:10 yukitakeさん ぺぺは今、虹の国にいるので大丈夫です。 そこから何時も私を見ていますよ。 あっ、鼻汁が・・・。 『猫との時間』でいつか虹の国のお話を書かなくちゃならないですね。 やっち 2014年06月29日 18:21 オエ~ッ! 『責任もたんよ』の言葉に納得だわ。 ponko310 2014年06月29日 19:14 やっちさん ほ~らね、詮索好きはこうなるんじゃよ。 でも、その場にいなくて良かったでしょ。 ガッハッハ~。 タマネギマ 2014年06月30日 20:40 立ち入り禁止の領域に踏み込んでしまいました。 昆虫ダメなんだけど怖いもの見たさで見てしまう・・・。ホラー漫画みたいですね! ponko310 2014年06月30日 20:55 ネギちゃん 昆虫がダメな女の子って沢山いるのよね。 私はけっこう何でも平気。 でも、あの大きな緑の芋虫はダメだぁ。 ドイツにはいなくて万万歳です。 ホラー漫画は大好きよ。 次はなんにしようかなぁ~・・・にひひ。 yukitake 2014年07月02日 16:28 記事のリンクを載せて下さったのですね♪ ありがとうございます! また恐怖体験したら、書きますね(笑) ponko310 2014年07月02日 21:31 yukitakeさん 楽しみにしてますよ~。 それから、私にコメントをする時は会員用にしてくれるとそちらへのリンクが付きます。 yukitake 2014年07月02日 22:24 相変わらず機械音痴ですねぇ(笑&涙) ボタン、わかりやすくあるのに気がつかず!! ponko310 2014年07月02日 23:17 yukitakeさん 私だって初めは何が何だか分かりませんでしたけど、これからは他の読者もそちらに行けますね。 ばんざ~い。 yukitake 2014年07月03日 19:44 ありがとうございます! 訪問者さんが増えたら嬉しいです(^O^) 今日は日本は雨です。 明日、ディズニーというところへ友達といきます。 久々に会う…というのに雨模様。 かといって、暑すぎても…。 この時期はどうしてもわがままです panana 2014年07月05日 20:52 うええええ!! ponkoさま~、読んでしまったじゃないか~!! それにしても、いつ、どんな時でもponkoさまの観察力は冷静に働くのですね。 ああ、恐ろしい話だった・・・ ponko310 2014年07月05日 21:47 pananaちゃん ごめ~~~~ん。 でもね、このウジ達が吸血ウジだったら・・ウヒィ~、もっと怖いんだよね。 私の冷静・・というより、知らぬが仏だった、と言ったほうじゃないのかな。 もし分かっていたら・・・ゾ~。 YUKARI 2014年07月08日 15:52 ギャ‐‐‐ッッッ!!! 足三本で生きてるってオチでも、ちょっとゾゾゾッなのに 中から蛆虫ってギャ‐ッ! 何?この蛆って字も? 見た目を現してる気がしますゾゾッ。 まるでエイリアン! ponkoさん、シガニ‐・ウィ‐バ‐!? (気持ち切り替えて) ペペちゃん?アレ? ponkoさんちにはもう一匹ネコちゃんがいたのかと思ったら、以前いたネコちゃんだったんですね。 イメ‐ジ的に、ponkoさんに似ているような気がします。 ペペちゃんは危険を察知して、やっつけようとした勇敢なネコちゃんだったんですね。 もちろん後から、ponkoさんは頭を撫でてご褒美をあげたはず!? ponko310 2014年07月08日 16:25 YUKARIさん キモかったでしょ。 今は陽気が良いからまたハエの時期です。 気を付けないとまたウジが出て来ます。 でも、このウジ達は魚のえさよ。 もっと湧け~・・キモいね。 ぺぺは何時も可愛がってたんだからぁ。 (私に似てるって・・・どこがぁ) もち、この子の記事も書きますよ。 ひろみ 2014年08月07日 14:45 この記事、3回程、読み返しました。 まっまっまさか…。うわぁ~‼︎ 想像すればするほど、鳥肌です。 うちの雌黒猫は真夜中に私の部屋の前でニャーニャー鳴いて私を起こしました。ドアを開けたら…捕らえたコウモリを見せてくれましたΣ(゚д゚lll) 半狂乱になった私はめちゃくちゃ猫を叱りつけました。瀕死のコウモリ…どうしたのか思い出せないです(T_T) ぺぺちゃんはイラストのような黒猫ちゃんだったんですか? イラスト可愛いです^_-☆ ponko310 2014年08月08日 02:25 ひろみさん うわっ、コウモリですって。 その瀕死のコウモリが何処に行ったのか、すごく気に掛かるんですけどね。 猫の本能だから怒ってもは?ですよ。 それにしてもこの記事を3回読みなおせる度胸には恐れ入りやしたん。 そう、このイラスト猫は記事⑤のぺペです。 ひろみ 2014年08月09日 19:20 ぺぺちゃんは足袋をはいた猫ちゃんだったんですね。可愛い~(*^o^*) ponko310 2014年08月09日 21:48 ひろみさんのお宅の黒猫ちゃん達もステキだと思いますよ。 このぺペもとても穏和で優しい猫でした。 でも、16年しか生きませんでした。 ある日、居間の暖房の下でいつものように寝そべっていましたが、大好きなご飯の時間になっても起き上がって来ません。 不審に思いましたが、ナヌがぺぺの分まで食べそうになったので、あわてて居間に見に行くと、冷たくなったペペの姿がそこにありました。 日本で何度か仔猫を拾って来ては育てていましたが、その度に両親が人にやってしまって、2年以上一緒にいられた事はありませんでした。 16年間もの長い間一緒に居られたのはこのペペが初めてだったのです。
けれど、あんなに元気だった猫が余りにもあっけなく逝ってしまったのには、ただただ唖然とするだけでした。 亡骸は保健所に持って行かなくてはならなかったのですが、私達はペペと別れたくなくて、庭の片隅に彼の小さなお墓を作りました。 2022年2月21日 月曜日 お詫び:コメントを入れる時、何度も数字の打ち直しを要求されるのですが、スパム予防の為だと思います。貴方の失敗ではないのでお許しを お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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