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カテゴリ:memories
今日は亡き祖父の誕生日。 決して強くはなかったが、お酒は大好きだった。 お酒と言うより、誰かとワイワイと杯を交わすのが 好きだったのだろう。 「○○さんからお電話です。」 パートのおばさんから電話がまわされると、その苗字を 聞いただけで、一瞬、反応する祖母。 平静を装っているようでも、受話器を取る背中が喜んでいる祖父。 「どちらに?」 祖父が受話器を置くと、間髪入れずに聞く祖母。 「いや、ちょっと横になる。」 そう言いながら立ち上がり、居間を後にする祖父。 「○○ちゃん、おじいちゃん、絶対に出かけるから。」 祖母は私にそう言うと、「やれやれ」というような顔をした。 しばらくは、祖母も目を光らせているのだが、夕方の慌しさに 紛れ、祖父はこっそりと出かけてしまう。 (いや、本当に抜け出すのが上手かった。笑) そして夜も更けた頃、祖父はご機嫌になって帰宅するのである。 酒癖は決して悪くない。 他人に迷惑をかけるようなお酒でもなかった。 ただ、足元が危うくなるので、怪我をすることがあった。 たんこぶに青あざなんて日常茶飯事。 どこかで転んでしまったようで、帰宅した時に顔が血だらけと いうこともあった。 祖父には、どこでぶつけたとか、転んだとか全く記憶がない。 翌朝、帰宅時の様子を話すと、「そうやったかのぉ~」とか、 「どおりで、痛いはずやのぉ~」とか、実にあっけらかんと していたものだった。 我が実家にも賑やかな時期があった。 呼び出したり、呼び出されたりした仲間の多くが先に旅立ち、 「酒飲みは好かん!」と言いながらも、訪問者をもてなし、 相手をしていた祖母も先に旅立った。 祖父は寂しかったのかもしれない。 今頃、空の上で大宴会・・・なんて。 ご機嫌な祖父の顔が浮かんできた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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