真理の御霊 （三輪山より）

人を導く、その根底に、己の愚かさ傲慢さ、さなるものへの反省と、

真の悔い詫び、必要なり。人の御魂は迷えるもの。

迷い、惑いの生の中にて、確かなものを求めるもまた、人の性なり、

弱さなり。人の心は弱きものにて、ひとたび信じ安んずるとも、次なる時

には、また疑い始める。導くく者が揺れ動きなば、人は従うこと能わず。

導く者の不動の心が、自ずと人を導くものなり。不動の心は信じる心、

迷わぬ心を指すものなれば、日々の波風、晴れ曇りに、一喜一憂すること

なし。導く者に求めらるるは、自ら信じ疑わず、疑心の念が芽生えるとも、

そを越え、惑いのささやきに、耳を塞ぐことが肝心。

見える確かなものはなし。手にて触れ得るものもなし。あるは己の心の

奥に、自らの道を求むか否か。迷い疑うこと易し。見えるもののみ信じるは、

誰にもできる易きこと。修行もいらず、精進も、自ら鍛える心も不要。

日々の暮らしに堕すのみにて、人は何らの昇華も計れず。

なれど人の本性は、自ら御魂の昇華を望み、祈りに託して生きることなり。

人の御魂の安らぎは、物質のみに己を任せ、見えぬものをば否定して、

心を閉ざすことになし。御魂と共に振るえ、高まる、自然の奥の聖なる

ものに、心を開き、ゆだねるときこそ、御魂は喜び、躍動せむ。

聖なるものへの共振共鳴。日々の寝食、雑事に明け暮れ、御魂の浄化や

安らぎを、おろかに怠けることなかれ。

導く者は求められむ。人より厳しき心の修養。時々刻々と変わりゆく、

浮世の流れに流されず、流れの淵に身を落ち着けて、己の心を制御せよ。

この世は一瞬、泡沫(うたかた)の夢。覚めしときには、あの世に帰れり。

なれど夢にて終わらすなかれ。泡沫なるは本質ならず。悠久無窮の時の

流れの、その一瞬を煌(きら)めく閃光。

宇宙とつながる命の流れは、一瞬なれどもかけがえのなし。人を導く者

こそ、迷うなよ。泡沫なるに惑わさるるな。厭世気分の蔓延に、自ら

落ちゆくことなかれ。日々の祈りで、御魂を養い、錬磨と陶冶を重ねる

べし。導く者の固き信念、揺るがぬ心が人を導く。世の諸人(もろびと)は、

徳ある人の、祈りを通して導かるるなり。自らの持つ半端な思いも、

徳ある人の祈りを通じて、高き思いへ修練を遂ぐ。導く者は受け容れよ。

迷える者の惑い悩みを。全て受け容れ呑み込みて、祈りの中にて昇華せよ。

導くことは、導かるること。人の疑念を信念に。人の惑いを安らぎに。

祈りを通して共に高めよ。さにて。