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気がつけば両の手のひらは、硬く握り締められ大きなガッツポーズとなっていた。 10月某日、都内の小さな小さなホールで行われた発表会。 しかし少なくとも、自分達の中では舞台そのものだった。 一般のお客さんは数えるほどしかいなかったが、やるだけのことはやれた。 うちの学校では、年に一度、小さなホールでの発表会がある。 それは音楽の科目なのだが、卒業公演と並んで、舞台を踏める大事な瞬間だ。 企画、制作、全てを2~5人のチームとなって創り、発表する。 そのなかで自分は演出という立場になった。 深夜まで仲間とアイディアを出し合い、話し合った。 その意見はおかしい。だったらこうしたらどうか。どうしたらもっと面白くなるんだ。 途中難しい局面もあったが、最初の考えどおり 「楽しんで、元気になってもらう」を念頭に創作することができた。 音楽はジャズを選んだ。 授業で体感したスイングを舞台で経験したかったのだ。 開放する瞬間、今までにない経験が出来たと思う。 発表会と言ってもしっかりと順位はつく。 面白いと感じたチームに票を入れるシステムだ。 自信がなかった。 仲間と最高とはいかないまでも、精一杯やってきた。 だから後悔はない。 だが、もし自分の演出が伝わらなければ、役者を活かせなかったら、自己満足で終わっていたら...そう考えると怖くてしようがなかった。 票が集計され、発表となる。 胸が苦しくなった。 涙が出そうだった。 気がつけば両の手のひらは、硬く握り締められ大きなガッツポーズとなっていた。 1位だった。 当日は緊張した。 余計なことも沢山したと思う。 しかし得るものはあった。 終演後「面白かった。立ち上がって叫びたかったよ!」と仲間が声をかけてくれた。 勿論、批判的な声もあり、それは自分も自覚していた。 だけれど楽しかった。音楽って、舞台って何て素敵なんだと思った! だが、終わった後もまだ心に残っている。 「自己満足」という言葉が。 お客さんも、出演者も、欲を言えば携わった全ての人が笑顔になれる、 苦労が報われる舞台を創りたいと、心から思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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