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東方見雲録

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2024.09.28
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カテゴリ:政経



日本の外交政策の将来

アジア版NATOの創設

安全保障環境はウクライナ戦争で一変した。ウクライナ戦争は国連常任理事国のロシアによるウクライナに侵攻することで始まった。これは国連という集団的安全保障体制の限界である。バイデン大統領は「ウクライナはNATO(北大西洋条約機構)に加盟していないから防衛義務を負わない」「ウクライナはNATOに入っていない。だからアメリカは軍事力行使はしない」 それがアメリカの理屈であった。

国連憲章51条により、「被攻撃国から救援要請があった場合に国連安保理の決定がなされるまでの間、集団的自衛権を行使することができる」というのは、すべての国の権利である。それはウクライナがNATO加盟国ではないからと否定されるものでないのであるが、米国はそのような行動はとらなかった。

今のウクライナは明日のアジア。ロシアを中国、ウクライナを台湾に置き換えれば、アジアにNATOのような集団的自衛体制が存在しないため、相互防衛の義務がないため戦争が勃発しやすい状態にある。この状況で中国を西側同盟国が抑止するためには、アジア版NATOの創設が不可欠である。

そのためには日本は安倍政権のときに憲法解釈の変更を行い集団的自衛権の行使を認める閣議決定をした。日本への直接的な攻撃に対して最小限の武力行使しか許されなかった自衛隊は、親密な他国が攻撃を受けた場合でも、一定の条件を満たせば反撃可能になったのである。その後、岸田政権下で「安保三文書」を閣議決定し、防衛予算を国内総生産(GDP)比2%へ増加させ反撃能力を確保した。

国家安全保障基本法の制定

しかし、これらの措置は閣議決定や個別の法律で定めているに過ぎない。日本では、国政の重要課題は、国会で基本法を制定し、その方向性を国民の前に明示し個々の政策を進めるのが通例だが、安全保障に関しては、基本法がないまま今日に至っている。我が国を取り巻く地政学的危機はいつ戦争が起こってもおかしくない状況にまで高まっている。その危機への対処のために「国家安全保障基本法」の制定が早急に不可欠となる。「国家安全保障基本法」は自民党内でも検討を重ねたものであり、私の外交・安全保障政策の柱の一つであり、続けて自民党の悲願である憲法改正を行う。

現在、インド太平洋地域において、QUAD(アメリカ、日本、オーストラリア、インド)は首脳会談レベルまで引き上げられ、2021年9月にはAUKUS(オーストラリア、イギリス、アメリカ)が創設された。さらに、また、日米韓の安保協力関係が深化し、首脳会談の定例化をはじめ、共同訓練や情報共有など多くの枠組みを制度化し、実質的な「3か国同盟」に近づいてきている。ここでは、自衛隊と在日米軍の指揮統制の見直しやミサイルなどの防衛装備品の共同開発・生産を打ち出し、米国の拡大抑止の調整もなされている。

最近では、ロシアと北朝鮮は軍事同盟を結び、ロシアから北朝鮮への核技術の移転が進んでいる。北朝鮮は核・ミサイル能力を強化し、これに中国の戦略核が加われば米国の当該地域への拡大抑止は機能しなくなっている。それを補うのはアジア版NATOであり、そこでは中国、ロシア、北朝鮮の核連合に対する抑止力を確保せねばならない。アジア版NATOにおいても米国の核シェアや核の持ち込みも具体的に検討せねばならない。

現在、日本は日米同盟の他、カナダ、オーストラリア、フィリピン、インド、フランス、イギリスと準同盟国関係にある。そこでは「2+2」も開催されるようになり戦略的パートナーシップの面として同盟の水平的展開がみられる。韓国とも日米は安全保障協力を深化させている。これらの同盟関係を格上げすれば、日米同盟を中核としたハブ・スポークスが成立し、さらにはアジア版NATOにまで将来は発展させることが可能となる。

他方、潜在的「脅威」を低減させる信頼醸成措置(CBM)も重要となる。日本は、2024年の元旦は能登半島地震が起こった。近い将来、南海トラフ地震、首都直下地震、富士山噴火の可能性が高まり、米国のFEMA(連邦緊急事態管理庁)に準ずる「防災省」の設置が喫緊の課題となっている。アジアに目を転じてみるとフィリピン、台湾、中国は大きな地震、水害、津波にたびたび見舞われ、その対処として多国籍軍によるHADR(人道及び自然災害)活動がある。中国もHADRに力を入れており、海軍の病院船を「リムパック16」に派遣したこともある。国連防災機関(UNDRR)などと協力しながらアジア太平洋地域における防災に対するHADR活動をアジア版NATOと連携しながらさらに強化し、信頼醸成措置を展開させる。

米英同盟なみに日米同盟を強化する

日本は、戦後80年近くにわたり安全保障上の課題をひとつひとつ乗り越えてきた。石破政権では 戦後政治の総決算として米英同盟なみの「対等な国」として日米同盟を強化し、地域の安全保障に貢献することを目指す。安全保障政策を総合的に推進する枠組みを築くことで、日本の独立と平和を確保し、安定した国際環境の実現に主体的かつ積極的に寄与すべきと考える。

日米安全保障条約は、日本の戦後政治史の骨格であり、二国間同盟であり時代とともに進化せねばならない。アーミテージ・ナイ・レポートはかつて米英同盟の「特別な関係」を同盟のモデルとして、日米は「対等なパートナー」となることを提案した。今、それが可能となり、米国と肩をならべて自由主義陣営の共同防衛ができる状況となり、日米安全保障条約を「普通の国」同士の条約に改定する条件は整った。

アメリカは日本「防衛」の義務を負い、日本はアメリカに「基地提供」の義務を負うのが現在の日米安全保障条約の仕組みとなっているが、この「非対称双務条約」を改める時は熟した。日米安全保障条約と地位協定の改定を行い自衛隊をグアムに駐留させ日米の抑止力強化を目指すことも考えられる。そうなれば、「在グアム自衛隊」の地位協定を在日米軍のものと同じものにすることも考えられる。さらに、在日米軍基地の共同管理の幅をひろげていくなどすれば在日米軍の負担軽減ともなろう。

米英同盟なみに日米同盟を引き上げることが私の使命である。そのためには日本は独自の軍事戦略を持ち、米国と対等に戦略と戦術を自らの意思で共有できるまで、安全保障面での独立が必要である。保守政治家である石破茂は、「自分の国家は自分で守れる安全保障体制」の構築を行い、日米同盟を基軸としてインド太平洋諸国の平和と安定に積極的に貢献する。
引用サイト:米ハドソン研究所 ホームページ  こちら

自民党の石破茂総裁は、米ハドソン研究所に「日本の外交政策の将来」と題して寄稿した。中国や北朝鮮、ロシアに対する抑止力を確保するため、北大西洋条約機構(NATO)のアジア版を創設した上、この枠内で「核の共有や持ち込み」について具体的に検討すべきだと主張している。27日付で同研究所のホームページに掲載された。寄稿日は書かれていない。
引用サイト:産経新聞  こちら

米、石破新総裁の安保政策に冷ややか 地位協定見直しなら「摩擦」も
【ワシントン=坂本一之】米国では自民党の石破茂新総裁が掲げる外交・安全保障政策の一部に関し冷ややかな声が出ている。石破氏が就任会見で言及した、在日米軍の法的地位を定めた日米地位協定の改定や「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」構想の実現性を疑問視している。特に日米地位協定の改定は米大統領選を経て来年1月に発足する新政権との摩擦にもなりかねない。

米国防総省のシン副報道官は27日の記者会見で、石破氏が掲げる地位協定の改定などについて問われると「米国は日本と素晴らしい関係にある。日本の新政権との協力を楽しみにしている」と述べるにとどめた。

日米外交筋は「米国は常に地位協定の見直しに消極的だ」とし、議論の対象にすることも嫌がると説明する。日本を防衛するために展開する米軍に与えられている地位や権利を維持しようという意識が働くためだ。
日米関係に詳しい米シンクタンク「ランド研究所」のジェフリー・ホーナン上級政治研究員は「地位協定の改定について米国は『ノー』と言うだろう」と指摘。「もし石破氏が改定を主導すれば、米国との間に大きな摩擦が生じる」と語る。
引用サイト:産経新聞 こちら

関連日記:2024.09.27の日記 記者会見  こちら

追記 1001

【速報】エマニュエル米駐日大使「石破氏は過去の総理と同様に日米同盟重視」 “鉄道に一緒に乗りたい”とも
© TBS NEWS DIG_Microsoft

引用サイト:こちら


石破新首相「アジア版NATO」構想はすべきでない…各国で異なる中国へのスタンス、軍事同盟は2国間がベストな理由
河野 克俊 によるストーリー   こちら

追記
関係サイト:石破首相が提唱した「アジア版NATO」に各国反発  こちら
石破首相の論考では、日本、米国、オーストラリア、インドによる戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」の重要性を強調しており、アジア版NATOの下地になっているのだろう。

しかし、インド軍幹部は同国がクアッドに加わった理由についてこう説明する。

「クアッドはあくまで経済安全保障の緩やかな枠組みであり、ナレンドラ・モディ首相と安倍晋三首相との信頼関係があって実現した。わが国はどの同盟にも入らない『戦略的自律性』が外交政策の基本方針で、反中国の軍事同盟には強く反対する」

そもそも、石破首相もアジア版NATOの構想が固まっていないようだ。自著の中で「平和を維持するための仕組みなので、中国も参加してほしい」とも言及している。

中国の抑止を目的とした集団防衛なのか。それとも中国を巻き込んで互いに信頼関係を醸成する協調的安全保障なのか。基礎となる概念が整理されていないことがうかがえる。生煮えの構想が各国の不安と疑念を招いていると言わざるを得ない。

日本を取り巻く安全保障の状況は急速に悪化している。防衛相経験があり安全保障にも精通している石破首相には概念ではなく、日本の抑止力を含めた防衛力を高める具体的政策を打ち出してほしい。 (キヤノングローバル戦略研究所主任研究員・峯村健司)





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Last updated  2024.10.05 20:37:27
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