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カテゴリ:せるふ・こんとろーる
アントノフよ
お前が今朝食べた 腸詰めが その一撃を繰り出す源となり その踏みしめる両脚の材料となったように お前が、小さき頃 目の前で嬲りものにされ 果てた姉の その瞳の 輝きの 記憶 が お前の行き場のない消すことが赦されない闘争の炎の着火剤となったように 噛み切り呑み込んだ全てのもの 喉を通過したもの その耳で聞き及んだこと 永遠と思われた悩みや一瞬の喜び 全ての妬みや平静 それら全てが 今のお前の行動を決定している アントノフよ この恒星系を含む この次元では 概念としての時間は一方通行で こうしている間にもお前の最後の一瞬に注ぎこまれていく 妬みや嫉み 後悔や感傷 同じ事を考え続けるのか 同じ肉で空腹を満たすように 同じ思いで精神を満たすのか 忘れることは得策ではない 刻 み 込 み そして 自分の肉とせよ 時間を使うも、無駄に失うも、選択肢はお前自身の中にある 汚れて膿んでしまっていても 裂けて腫れ、形が崩れても 長い時間をかけて治った傷口は 硬い皮となり、同じ衝撃では 傷つかなくなるものだ アントノフよ 肉体と運動は、口より摂り込んだ物質のなれの果てだ 精神は、目や耳、鼻や手から、感じ続けた、思い続けた、考え続けた、そのなれの果てだ 生きるとは その末節に灯る小さな火だ 全ての有益なもの、全ての無益なもの 全ての嫉み、全ての喜び その全てが、その小さな火に油を注ぎ続ける アントノフよ この父の最期の刹那も お前が刻む時間の一部となり お前の生きる灯火の油となる さあ、この胸より剣を滑り抜き つま先の その先を て ら し て 生 き よ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.06.26 21:54:27
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