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「名曲100選」 W.A.モーツアルト作曲 弦楽五重奏曲第4番 ト短調 レオポルド・モーツアルトという音楽家がいます。 有名なウオルフガング・アマデウス・モーツアルト(1756-1791)の父親です。 この人は「おもちゃの交響曲」という、音楽としてはあまり大した作品でないのですが、曲の途中で鳩笛やラッパ、太鼓といった子供のおもちゃが数種類取り入れられた愛らしく、親しまれている音楽を書いた人です。 私が15-6歳の頃までヨゼフ・ハイドンの作曲と信じ込まれていて、レコード会社も録音・発売するたびにハイドン作曲と銘打っていましたが、学者の研究でそれは間違いで、レオポルド・モーツアルトの作品であると正当に認められています。 モーツアルトの「弦楽五重奏曲 ト短調」の話に何故父レオポルドの話になるのか、とおおもいでしょう。 このト短調はレオポルドの死にすごく関連していると、今では定説となって考えられているからです。 モーツアルトは父レオポルドから厳しい音楽教育を受けながら育った人で、5歳ですでに作曲をしていたと言われるほどの「神童」でした。 そしてヨーロッパをピアノでのコンサート・ツアーに出かける生活でした。 父レオポルドはザルツブルグ(モーツアルトの生地)の宮廷音楽長を努めながら作曲もしていたそうです。 そして子供ウオルフガング・モーツアルトには、いずれ名のある宮廷音楽長を務めてもらいたいと願っていたそうですが、モーツアルト25歳のときにウイーンに単身出かけて、音楽家として自立を果たします。 ウイーンでは生き生きとした活躍を見せたモーツアルト。 これ以降それほど回数多く父レオポルドとは顔を合わしていないそうです。 そして父の病気を知らされました。 その時に父宛に書いたのが有名な慰めの手紙です、 「わたしは、数年来というもの、死という、この人間の真実にして最大の友人と、たいそう仲良くなってしまいました。死の姿は少しも恐ろしくないばかりか、むしろ心を安らかにし、慰めてくれるものなのです。 わたしは、いつでも寝床に入るたびにひょっとすると、自分は明日はもうこの世にいなくなっているかもしれない、と考えないことはありません」(1978年4月4日 モーツアルト31歳)。 それから約2ヶ月後の5月28日にレオポルド・モーツアルトは68歳の生涯を閉じています。 モーツアルトが書いた弦楽五重奏曲は全部で6曲残っており、ト短調として有名なこの曲は第4番にあたるものです。 これは父レオポルドが亡くなる12日前に完成しているそうで、一聴すればわかる通り、曲全体には一種独特の暗鬱な気分が、濃厚に刻まれており、おそらく父の死を予感して書かれたのであろうと言われています。 「ト短調」はモーツアルトのとって宿命的な調性と言われています。「交響曲第40番」もト短調です。 共通しているのは心をえぐられるような悲壮美に満ちており、「駆け巡る悲しみ」として最高の表現ではないでしょうか。 弦楽五重奏曲は弦楽四重奏にチェロ1本を加えるか、ヴィオラを加えるかですが、モーツアルトはヴィオラを選択しています。 愛聴盤 スメタナ弦楽四重奏団とヨゼフ・スーク(ヴィオラ) (DENON CREST1000 COCO73067 1976年録音) 極めて精緻なアンサンブルで、とても澄んだ響きがすごく魅力のある演奏です。 ロココ風に表現した典雅な演奏スタイルが、よりいっそう哀しみを訴えてきます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年11月06日 09時01分24秒
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