しみなどの肌の悩みをお持ちのかたで、
普段のスキンケアをお伺いすると、
「無添加とか自然派の化粧品を使っているのに、良くならないんです」
という方が結構多いので、今回お話させていただきます。
よく目にする、「無添加・自然派化粧品」ですが、
これってどういう意味だかご存知ですか?
無添加、って香料や防腐剤を入れていないってことかなあ?
自然派、って合成したものではなく動植物など、
生物由来の成分ってことかなあ?
・・・と漠然と考えているかたがほとんどではないかと思います。
■無添加化粧品とは
実は、以前の薬事法では、化粧品に配合する成分のうち、
「表示指定成分」としていくつかの成分を指定し、
これらについては容器などに表示するという決まりがありました。
アレルギーを起こす可能性がやや高いものとして、
これら「表示指定成分」というものが決められていたのです。
実は「無添加」という言葉は
「表示成分無添加」を短縮した言葉として
化粧品会社のみで使用されているのです。
ところが欧米に習って、2001年より、
「全成分表示」が義務付けられました。
これによって、化粧品に配合されている成分を
基本的にすべて表示することになったのです。
今は、容器の裏などに配合量の多い順に記載してありますね。
ですから今、本来は「表示指定成分」という概念は無くなったはずです。
しかし現在に至るまで、相変わらず「無添加」という言葉が
化粧品のPRに使用されています。
ところで、なぜ「表示成分無添加」と表現しないのでしょうか?
おそらくそれは、単に「無添加」ということばが持つ
イメージの良さを利用したいという思惑のためではないかと思われます。
「無添加」=肌に良いものしか含まれていない。といったところでしょうか。
ちなみに表示指定成分以外にも、
アレルギーをおこす可能性のある成分はいくつもありますが、
無添加化粧品にはそれらは配合してあったりしますし、
もちろん腐らせないために防腐剤だって配合されています。
■自然派化粧品とは
「自然派」とはまた無添加とも違う、
これはさっぱり分からない言葉です。
皮膚科でアトピーの子供などの保湿剤として最もよく処方されている
ワセリンだって合成品です。
合成品はダメで自然の植物由来なら安全なのか?
じゃあ植物のウルシは「自然派」だけどよくかぶれるじゃないか!
と、つっこみたくなる皮膚科医が、
全国に大勢いらっしゃることでしょう。