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2006年04月の記事

全30件 (30件中 1-30件目)

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『Hitch 最後の恋のはじめ方』を見た

さてさてゴールデンウィーク。皆さんは如何お過ごしでしょうか。私は前半は名古屋の自宅に籠もってのんびり作戦。ゴールデンウィーク明けの授業の予習を済ませたり、好きな雑誌をパラパラめくったり、前から読もうと思っていた本を読み始めたり、といったところです。ちなみに昨夜は、レンタルビデオ店で借りてきた『Hitch 最後の恋のはじめ方』という軽いラブ・コメディー映画を見ました。以下、その報告ですが、ネタバレですのでご注意を。この映画、主人公はウィル・スミス演じるヒッチという名の恋愛コンサルタント。彼は大学生の時に手痛い失恋をし、そこで得た教訓をもとに恋愛のプロとなり、世のもてない男性に恋愛コンサルタントとして、意中の女性に接近するためのノウハウを伝授する、という仕事を始めるんです。しかし、これは別に「プレイボーイ養成」のためのコンサルタントではないんです。そういうのは、ヒッチの好むところではないんですね。彼が手がけたいのは、いい奴なんだけど不器用だったり、勇気がなかったりするために、どうやって女性に声をかければいいのか、どうやって付き合えばいいのか分からない、そんな真面目で「イケてない」男性の手助けをする、ということなんです。でまた、世の女性の心のツボを心得たヒッチのコンサルタントは非常に実戦的かつ効果絶大で、これまでに何組もの幸福なカップルを誕生させてきた実績がある。その意味では、なかなか有能なコンサルタントなんですな。で、差し当たって今、彼がメインに手がけているのは、ある大金持ちのセレブ女性に本気で恋してしまった、イケてない会計士アルバートの手助け。太っちょで、なにをやってもドジで無様なアルバートの一途な恋を成就させるため、ヒッチも必死。しかしその甲斐あって、この釣り合いのとれない二人の間に、ちょっといい感じの空気が流れるようになってきたんです。しかも、そうこうしている間にヒッチの方にも、なかなかステキな女性、サラが現れるという事態が生じ、ヒッチはビジネスもプライベートも順風満帆。ところが、ヒッチのお相手のサラが、たまたまゴシップ紙の記者だったことから話はこじれてきます。どこから見てもパッとしない男のアルバートがセレブ女性の新しい恋人になりつつあることを嗅ぎつけたサラは、その背後にヒッチが居たことを知り、ヒッチのことを「女ったらし養成」を手がけるプレイボーイと勘違いして、彼のことを悪しざまに書いた記事を新聞に載せてしまうんですね。で、それがきっかけで、せっかくうまく行っていたアルバートとセレブ女性の関係も暗礁に乗り上げてしまうことになってしまう。怒ったヒッチはサラのところに抗議に出向いて大喧嘩となり、双方誤解のうちに二人の恋は終わりを告げます。もちろん、このことがあってからというもの、ヒッチのコンサルタント・ビジネスの評判はがた落ちで、彼の商売はあがったり。しかしそんなことよりも、大学時代の第失恋以来、ついに見つけたと思っていた新しい恋人・サラを失ったことがヒッチの生活を荒ませてしまうんですね。そんな時、同じく恋に破れたアルバートがアドバイスを求めて彼のもとを尋ねてきます。が、自分自身の恋に破れたヒッチには、もはやアルバートへのアドバイスなど出来るはずもなし。しかし、サラへの未練に思い悩むヒッチの姿を見たアルバートに「君だって僕と同じように、臆病なだけじゃないか」とズバリ指摘されたヒッチは、自らの誤りに気づき、「恋のテクニック」もかなぐり捨てて、最後にもう一度サラに自分の思いを告げに行くことに。さて、直球勝負にかけたヒッチの運命や如何に？！ま、そんな感じの映画ですわ。で、私のこの映画に対する印象点はと言いますと・・・ 77点です！合格！パチパチパチ・・・ま、内容が内容ですから、別に感動の大作というわけではないんですが、コメディタッチの軽い恋愛映画としては、なかなか爽やか、かつユーモラスに出来ていて、そういうものとして期待せずに見れば、結構楽しめる映画だと思います。それに何と言っても主演のウィル・スミスがいいんだよなー。彼自身のキャラクターに役柄がよく合っていると言いましょうか。彼はなかなかハンサムな黒人俳優だと思いますが、そのハンサムさにはどこか人を惹き付けるような可愛げがあるんですよね。チャーミングで、親しげで。こういうのが友達にいたら、きっと楽しいだろうな、と思わせる感じ。でまた、準主役のアルバート役の太っちょドジ俳優も、無名ながらなかなか好演しています。彼がその太った身体をクネらせて軽やかに踊るダンスシーンなんて、最高ですよ。ということで、『Hitch 最後の恋のはじめ方』、教授のおすすめ！です。ゴールデンウィークで暇を持て余している向きには、特に！さて、今日の私ですが、今日もやっぱりのんびりと勉強したり、本を読んだりして過ごすつもりです。でも昨日も一日どこにも出かけなかったので、夜遅くなってから、家内を連れて近所のスターバックスにコーヒーでも飲みに行くつもり。日曜の夜のスタバって、案外穴場なんですよ。それでは、皆様も黄金週間前半の最後を有意義にお過ごし下さい。

April 30, 2006

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オーストラリア流の生き方

このブログにも時々登場するオーストラリア人の友人ロブ＆アミリア夫妻。しかし、残念なことに、二人はこの７月、故郷オーストラリアに帰ることになってしまいました。せっかく親しくなったのに、寂しくなります。とりわけ私とロブは同い年ということもあって気が合っていたし、家内は家内でアミリアと随分親しくなっていたのですが。ま、それはともかく、この二人の生き方を見ていると、人生を楽しむっていうのはこういうことか、と思わされることがよくあります。ロブ＆アミリア夫妻は、日本に来る前はオーストラリアでそれぞれ働いており、プール付きの広大な自宅で優雅に暮らしていたのですが、「一生に一度は外国で暮らしてみたい」という思いから、それぞれ一旦職を辞し、外国へ行くための算段をし始めたんですな。で、そんな彼らが日本にやってきたのは、外国の中でも出来るだけ自分たちの文化とは異なる文化を持つ国に暮らしたいという希望があったため。それに加えて安全性のことも考慮した結果、「日本」が最有力候補になった、というわけ。かくして彼らは日本にやって来たわけですが、二人のオーストラリアでの優雅な暮らしからしたら、狭い日本のアパート暮らしなんて、不自由極まりなかったことでしょう。しかし、彼らはそういう不自由さをも楽しみつつ、日本の英会話学校に職を得て、この地に暮らすこと４年となった。その間、彼らはあちこちに旅行し、登山もし、ある意味では普通の日本人以上に日本を堪能したようです。で、そんな彼らがここへきて帰国を決意したのは、オーストラリアの自宅を管理してくれていたご両親が、段々歳をとって、彼らの故郷であるタスマニア島に帰りたくなったからなのだとか。もちろん、ロブ＆アミリアにしても最初から日本に永住するつもりはなかったわけで、諸々の事情が帰国への契機になったのでしょう。で、帰国したらどうするの、また元の職場に戻るの？と尋ねてみると、二人ともその気はないようで、とりあえず一年間は貯金を崩して生計を立てながら二人して大学に通い、教員免許をとって、学校の先生になるつもりなのだとか。オーストラリアの大学事情について私は詳しくは知りませんが、既に一度大学を卒業している人にとっては、一年間の科目履修で教職を得るための資格が手に入るらしいんです。ちなみに彼らが学校の先生になることを決意したのは、もちろん日本の英会話学校での教職の経験の影響もあるかも知れませんが、それ以上に大きな動機となったのは「夫婦揃って長い夏休みを得られるから」だそうで、その休みを使ってさらに人生をエンジョイするつもりなのだとか。彼らはトヨタ製のミニヴァンを所有しているので、そいつに乗ってキャンプをしながら、広いオーストラリア大陸を経巡るのだそうです。うーん、なかなか面白そうじゃありませんか！それにしても、彼らの生き方って、平均的な日本人の生き方とは随分違いますなぁ。たとえば私も含め平均的な日本人の男だったら、とりあえず大学を卒業してそこそこの会社に職を得たら、あとはいかにいいお嫁さんを得るか、くらいしか人生の選択肢ってないですよね。もちろん、最近では終身雇用にしがみつかず、適当な転機があれば勤務先を変えることもあるでしょうけど、それだって結局は雇用条件の改善のためであって、「ちょっと外国で暮らしてみたい」とか、「夫婦揃って長い夏休みが欲しい」といった理由ではないことが多い。一方、ロブ＆アミリアの生き方は、「一度の人生、やりたいことはやれる内にやっておかないと！」という原理に基づいています。その結果、その時々の思いつきや閃きで、かなり思い切った人生の路線変更をやってのけている。日本に来たのも思いつき、オーストラリアに帰って学校の先生になることにしたのも思いつき・・・。そういう二人の行動を見ていると、パッと見、計画性がないような気もします。人生設計がしっかりしていない、と言いますか・・・。しかし、よく考えてみると、「大学卒業時」にたった一度だけ人生の方向を選択したきり、あとはその道一筋に突っ走っていく「日本式」の人生に、どれだけ計画性があるかなんて分からないですよね。もし、最初の選択が間違っていたとしたら？途中で心境の変化があったとしたら？でも、多くの日本人は、「ひょっとしたら、自分はもっと別なことをやりたかったのでは？」という心の声には耳をふさぎ、ノイローゼになってまで最初の選択にしがみついているんじゃないでしょうか。それと比べれば、ロブやアミリアのように、その都度その都度、やりたいことをやっていく人生の方が、真の意味で計画的なのかも知れません。また、そういう生き方を許容するオーストラリアの社会そのものも、大したものです。たとえば教員免許一つとっても、卒業後、わずか一年の科目履修で教員免許がとれるシステムなんて、日本の大学にはないですから・・・。私も人生の半分を過ぎ、最近では、この先いかに生きることが、自分にとって一番満足がいくか、ということを考えるようになりました。そういう時に、人生をエンジョイしているロブ＆アミリア夫妻に出会い、私としては、何だか一つの手本を示してもらったような気がします。とまあ、そんなわけで、彼らがオーストラリアに帰るまであと３ヶ月しかありませんが、この間、今まで以上に深く、彼らのことを知りたいと思っている私と家内なのでした。

April 29, 2006

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『V・フォー・ヴェンデッタ』を見た

昨夜、『Ｖ・フォー・ヴェンデッタ』を見ました。いや、別にこの映画が特に見たかったわけではないんです。しかし、私が会員になっているシネマ・コンプレックスでは、半年以上映画館に足を運ばないと、それまで貯めたポイントが無効になってしまうんですな。で、昨年の秋『シン・シティ』を見て以来、ここに来ていなかった私としては、４月30日までに何か見ないとまずいという状況に追い込まれていたわけ。しかし、今はろくな映画が上映されていないんですよね・・・。かくして「これ見たくない。これも見たくない・・・」と消していって、最後に残ったのが『Ｖ』だったというわけ。ですから、最初から全然期待していなかったんです。で、実際に見た結論としては・・・ 63点！やっぱり不合格でした！残念！ま、内容はやたらにシンプルで、生物兵器として開発した新型ウイルスと、その特効薬を武器にイギリスの政治を牛耳ることになった悪党一味に対し、そのウイルスに罹りながら生き残った仮面の男「Ｖ」が復讐をもくろみ、もってイギリスの解放を果たす、というもの。で、その「Ｖ」の行動が、今からちょうど400年前に英国議会の火薬爆破をもくろんで処刑された「ガイ・フォークスの乱」と重ね合わせて描かれるわけですが・・・しかし、両者を重ね合わせるほどの共通性はないと思うんですよね。ですから、「Ｖ」がガイ・フォークスの乱にちなんで復讐を11月５日に行なおうとするために、わざわざ１年間も雌伏するということも、何だかただ単にアクションを間延びさせるだけに終わっているような気がする。それに、「議会を爆破することが、復讐になるの？」との問に、「Ｖ」は「議会は悪の象徴だ。象徴を爆破することもまた、一つの象徴になる」みたいなことを言うんですが、それは、いわば「テロリズム」の正当化ですよね。ＮＹ貿易センタービルの破壊だって、テロリスト側から見れば、「悪の帝国アメリカの象徴を破壊した」、ということなわけですから。いいんですか、この時代、そんなセリフ吐いちゃって・・・。また、その点は「これは正当な復讐だからいいんだ」と譲ったとしても、圧政を行なっている悪の支配者の描き方自体が、やけに単調で陳腐なんだよなー。しかも、そんなすごい支配者の割に脇が甘くて、結局すぐやられちゃうという・・・。またナタリー・ポートマン演じるヒロインのイヴィーにしても、「Ｖ」の闘いに参加して、彼と一緒にアクションを起こすわけでもないんだよなー。復讐劇としては、ほんと「添え物」という感じ。ということで、とても手に汗握る復讐活劇というのにはほど遠いですなあ・・・。ただ、一緒に見た家内は、「Ｖ」の立ち居振る舞いの迫力が割と気に入ったようで、「期待していた５倍は面白かった」とのこと。劇中、仮面をつけたまま、一度も顔を見せないのに、身体の動きだけで観客を魅了するのですから、『マトリックス』の「エージェント・スミス」役で有名になったあの俳優も、大したものなのかも知れません。ただ、「Ｖ」がしている仮面、どう見ても漫画『おそ松くん』に出てくる「イヤミ」にしか見えないんだよなー。いつ「Ｖ」が「シェー!」と叫んで例のポーズをとるかと、ドキドキしちまいましたよ。というわけで、『Ｖ・フォー・ヴェンデッタ』は、私の印象点では合格ラインを突破できなかったわけですが、それにしても、このところのアメリカ映画の不作はどうなっているんでしょうか。こんなに見たい映画が途切れたことって、かつてあったかしら？これからの上映作にしても、『スーパーマン・リターンズ』とか、『ポセイドン』とか、かつての作品の続編＆リメークばっかり。『南極物語』だなんて、日本映画のリメークまでやるようじゃ、もうアメリカの映画界も堕ちるところまで堕ちた感じです。そのうち、ディズニー＆ピクサーが「ＣＧ版ドラえもん」とか作るんじゃないですか？あるいは実写版『宇宙戦艦ヤマト』とかね。その場合、デスラー総統はイスラム教徒という設定だな。ま、ハリウッドの不調はまだ当分続きそうな感じですけど、とりあえずのところは、近日公開の『ダヴィンチ・コード』の出来に期待しましょうかね。

April 28, 2006

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測り難いジャズの世界

先日、楽天ポイントがある程度貯まったので、久し振りにジャズのＣＤを買ってしまいました。買ったのは夭折のベーシスト、ジャコ・パストリアスの『ワード・オブ・マウス』というアルバムです。で、このところ、このＣＤを聴いているのですが・・・うーん、好きかと言われると、そうでもないかな。ま、私にとっては、どうしても手元に置いておきたいアルバムではないですね。もっとも、ものの本によるとこのアルバムは『ジャコ・パストリアスの肖像』と並んでパストリアスの２大傑作なのだそうで、天才の才気が溢れまくっている作品なのだとか。ま、そう言われても、私の感性にはまるで引っ掛かってきませんでしたけど。しかし、そこがジャズの困ったところなんですよね。こちらは駆け出しのジャズ・ファンですから、どうしてもまず「本」から情報を得ようとするわけですよ。で、色々なジャズ関連書を読んで、どうもこのアルバムが傑作らしい、というアタリをつけるわけ。で、実際買って、聴いてみる。すると・・・つまらん・・・。・・・ということが往々にしてあるんだよなー。たとえば日本でも人気のソニー・ロリンズの代表作『サキソフォン・コロッサス』にしても、私には下卑たキャバレーの音にしか聴こえないですし、天才ピアニストとして並び称されるセロニアス・モンクの『ヒムセルフ』やバド・パウエルの『ジャズ・ジャイアント』も、その天才たる所以が私には分かりません。オスカー・ピーターソンなんてピロピロ早弾きしてるだけですし、チック・コリアの『リターン・トゥー・フォー・エヴァー』なんて、冗談でＣＭソングでも作ったの？という感じ。キース・ジャレットの『ケルン・コンサート』にしても、気取りが鼻について退屈してしまう。その他、ソニー・クラークだの、アート・ブレーキーだの、ホレス・シルヴァーだの、デクスター・ゴードンだのって、「買った、聴いた、退屈した」というジャズ・アルバムは数知れず。いわゆるジャズの批評家だのファンだのってのは、ほんとにこれらを聴いて「良い！」と思ったのか知らん。逆に私が「たしかに良い」と思ったジャズ・アルバムもあるにはありますが、その数は知れています。たとえばハービー・ハンコックの初期の２枚、『処女航海』と『エンピリアン・アイルズ』は凄く良いと思う。ビル・エヴァンスや、ミシェル・ペトルチアーニのピアノも良い。マイルス・デイヴィスでは『スケッチ・オブ・スペイン』が割と好き。あれれ？たったそれだけ？うーん、でも、ま、正直なところ、そんなもんです。と言うことは・・・ひょっとして、私はジャズが嫌い、ということなのでしょうか？ひょっとすると、そうなのかも知れません。が、ジャズというのはプレイヤーの数だけジャズがあるわけでして、私にはまだ試していないジャズ・プレイヤーがごまんといるんだなー。チャーリー・パーカーは好きになれるか？コルトレーンは？キャノンボール・アダレイはどうだ？チェット・ベイカーは？ウィントン・マルサリスは？チャーリー・ミンガスの『直立猿人』だって、まだ聴いていないぞ。ということで、私にはまだまだジャズの奥義を確かめるための長い道のりがあるんですわ。でも、今回、身銭を切ってジャコ・パストリアスのＣＤを聴いたことで、少なくとも私にとってパストリアスは無縁のジャズマンだ、ということは分かりましたから、よしとしましょうか。そうでもしなくては、自分がパストリアスが好きな人間か、嫌いな人間か、分からなかったわけですから。また一つ、私は自分がどんな人間であるかが分かったので、そのための授業料ということにしておきましょう。ま、何でも経験ですわ。経験して初めて、自分が何者であるか、ほんの少しずつ分かるのですからね。生きるということは、世界という試金石に自分の身体を擦りつけることでございます。さて、実を言いますと、今日はこれからもう一つ、試金石に身体を擦りつけることになっているんです。というのは、夜９時半上映の『V・フォー・ヴェンデッタ』という映画を見に行くんですー。果たして私は、この映画が気に入る人間なのか、それともつまらんと思う人間なのか・・・。その結論は・・・また明日のブログで！！

April 27, 2006

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マトリックスならぬ、パチスロリックス？

私が毎日大学まで通う通勤路の途中に、一部小高い丘のようなところがありまして、以前はそこにちょっとした林があり、なかなか爽やかないい眺めだったんです。ところが、その林が昨年の秋頃、無惨に刈り取られてしまった。で、おやおや、また無粋なマンションでも建つのかしらと思っていたら、それよりももっと無粋なものが建ってしまったんです。巨大なパチンコ屋さんです。で、これがまたでっかい、でっかい。パチンコ屋さんそのものも大きいけれど、駐車場がものすごい。いくら何でもこんな広大な駐車場が必要なの？と思えるほど広大で、丘の上にあることもあって、パッと見たところ、文字通り、地平線まで駐車場という感じ。ところが、最近そのパチンコ屋さんがオープンしたところ、その地平線まで続く駐車場が見事に満杯になるんですな。いや、それどころか、どうもそれだけでは足りなかったらしく、急遽隣接地まで買収して、臨時駐車場を作っている様子。満杯の駐車場に入ろうとする車の列を捌くため、何人もの警備員が汗だくになっています。といってこれは土曜日・日曜日のことではなく、平日の午後５時とか６時の話ですよ。名古屋ってのはパチンコ発祥の地だと聞きますが、それにしても一体何なんでしょう、この騒ぎは・・・。平日の５時、６時といった時間帯に、駐車場の空き待ちまでしてまでパチンコに興じたいというこの群衆は、一体どういう人たちなのか・・・。いや、もちろんパチンコをするのが一概に悪いというわけではありません。私の親友にも好きなのがいますからね。彼曰く、パチンコというのは、それをやっている間はなーんにも考えなくていいので、仕事のストレスを発散させるのには最適だ、と言うんですな。ま、そう言われれば、パチンコも立派に世のため人のためになっているのかな、とも思います。しかし・・・仕事のストレスを発散するためなんだか、何のためなんだか、とにかくなーんにも考えず、無表情にもくもくとパチンコをしている群衆という図というのは、想像するだにシュールな感じがしませんかね。映画『マトリックス』では、この世界は実は単なる夢に過ぎず、実際には人間は使い捨ての電池のように、生命エネルギーの供給源として機械につながれ、消費されている未来社会が描かれていますが、パチンコだのスロットだのといった「機械」につながれ、我を忘れて呆然とお金と時間を費やしている群衆というのは、ある意味、『マトリックス』が描く未来世界そのもののようではありませぬか。でも、こういうところに来るのが好きな人たちに向かって「パチンコ以外で、もっとマシな時間の過ごし方、ないの？」と尋ねたとしても、ないんでしょうね。何も思いつかないんだろうな。結局、生活のために仕事をする、あるいは稼いだお金を消費する、ということ以外で、何をすればいいか、ということを教わる場がないということなんでしょう。となれば、自分でそれを見つけられない人は、パチンコでもする以外ないのも致し方ないのかも知れません。もちろん、日曜日に家族でショッピングセンターに出かけてしまう人たちも、無為に時間を潰しているという点では、パチンコ組と同じです。アメリカに住む私のイラン人の友人夫妻は、異国にあってイランの伝統文化を忘れないよう、イラン独特の楽器の演奏法を習い、時に演奏会に参加して楽しんでいます。またアメリカ人の友人の女性は、80歳になってもまだボランティアとして病院で看護婦の仕事をなさっていました。その他にも、何か意義のあることをして自ら楽しみ、また他人の役に立ちたいと考え、行動している外国人の友人を沢山持っている私としては、上に述べてきたような、日本人一般の余暇の過ごし方に関して、とても大きな疑問を抱かざるを得ない・・・。私は日本という国を愛することにかけては人後に落ちないつもりなんですけれど、こういう面での彼我の違いを見せつけられてしまうと、トホホな気分になってしまいます。かくして、今日も大学からの帰り道、パチンコ渋滞を横目で見ながら、「マトリックス」ならぬ「パチスロリックス」につながれた人々の無味乾燥な生活ぶりを思いつつ、ついつい余計な思いを馳せてしまったワタクシなのでした。それが余計なお世話だ、ということは重々承知しているんですけどね。

April 26, 2006

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花水木の季節

聞くところによると、東京では、今日は強い雨が降ったり、カラリと晴れたり、忙しい天気だったようですが、名古屋地方は一日いい天気でした。ちょっと風が強く、またその風も今の時期としては随分冷たかったですけどね。でも、陽射しは嘘をつかないもので、段々春というよりは初夏を思わせる陽射しになってきました。私、今頃の季節が一年で一番好きかなー。通い慣れた通勤路にしても、この季節は目を楽しませてくれるものが沢山あります。たとえば欅の新緑。ついこの間まで禿げチョロケだった欅の街路樹が、一斉に新芽を吹き出し、あれよあれよという間に見慣れた通りを緑のトンネルに変えてしまう。真新しい葉を通して透かし見る陽光の綺麗なこと！緑といえば、今は柿の木の若葉も綺麗ですね。あの独特の黄緑は、自然界の産物とはちょっと思えないようなインパクトがあります。それから花水木も咲き出しました。あの白い、あるいは薄いピンク色の風車のような花が咲き出すと、これはまた男性的な欅とは違った、たおやかな優しい趣で、いいもんです。私は花水木の花と、それからあの優しい葉っぱの色が好きなもので、これが咲き出すと、何だかとても嬉しくなってくるんです。まだまだあります。私の家の近くにはまだまだ田んぼがあちこちに残っているのですが、今日、その田んぼを通勤途中にふと見ると、ピンク色のレンゲ草が一面に咲いているのに気づきました。レンゲ草というのは根っこに窒素を蓄えるので、田んぼの土を肥やすためにわざと種を播くのだそうですが、田んぼのためにもなって、しかも人の目を楽しませてくれるのですから、こんなに良いことはありません。こういう初夏の風景を見ていると、つくづく生きていることは楽しいと思わされますね。またそれと同時に、この自然界のエネルギーの発露にあやかって、私も何か生産的ないい仕事をしたいという気持ちが湧いてきます。もうすぐゴールデンウィークだ！という思いも、この燃え立つ気持ちに油を注いでくれますしね。ということで、初夏らしい陽射しと、身の回りで萌え出した初夏の草木のただ中で、とにかくご機嫌のワタクシなのでした。

April 25, 2006

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今日はゼミの飲み会

昨日、学会がらみのハードな一日を終え、夜は夜でＦ１サンマリノ・グランプリにおいてシューマッハが今季初・通算85勝目を挙げたのを見届け、そして今日は朝から３コマの授業をこなした後、ゼミの飲み会に参加したのですから、なかなか大変なものでございます。しかし、この時期、飲み屋さんというのは社会人の歓送迎会で満杯状態。我々のテーブルもその種の宴会組にぐるりと囲まれてしまったという。いかにも「サラリーマンのおっさん」という感じの男たちの間で、何となく居心地悪そうにしている若い新入社員たちを眺めながら、我がゼミ生たちは「私たちも来年の今頃は、どこかでああいう感じの宴席に連なっているのよね～」などと感慨深げでした。ま、それはともかく、こちらも負けてはいられません。今日は記念すべき今年度第１回目の釈迦楽ゼミの飲み会なんだから、みんな張り切って行こうぜ！カンパーイ！さて、今年のゼミ生は総勢７名、全員女子学生です。メンバーは皆、それぞれ真面目で、しかも座の盛り上げ役も適当に揃っているので、ゼミとしてのまとまりもよく、なかなかいい感じです。ところで、その年の初めての飲み会で、ゼミ生たちが知りたがるのが、私と家内の馴れ初めです。そんなこと知ってどうするんだよと思いますが、しかし、もし私がよぼよぼの爺さん先生だったら、学生たちもその種の問を発しないでしょうから、そういうことを聞かれるうちは、まだ私も男性として意識されているのかなとも思って、ここぞとばかりのろけてやりました。わっはっは。しかし聞かれれば、聞き返さないわけにもいかないので、ゼミ生たちにも現時点での恋愛状況を報告させるのですが、今年は珍しく、７人のうち３人は「募集中」ということでした。中には「大学に入ってから、誰とも付き合ったことがありません」なんていう子もいたりして。おお、いいじゃないの。別に彼氏がいなきゃいけないなんて約束事はないんですから、じっくり探せばいいんです。「ウブ」であるということも、素晴らしいことなんですぞ！もっとも今年のゼミ生の中には豪傑もいて、風呂上がりにスッポンポンのまま、平気で父親の前をウロウロできる、なーんていう子もいたりして・・・。うーん、あなたはちょっとウブ過ぎ！・・・でも、年頃の娘さんが家族の前でごく自然に裸でいられるというご家庭も、なかなかいいものかも知れませんね。とまあ、そんな話題にキャーキャー言っているうちにあっと言う間に時間は経ち、そろそろお開きの時間。隣の社会人席も、一本締めで宴会を締めくくるようだったので、我々のテーブルもそれに便乗して一本締めに参加し、見ず知らずのグループ双方爆笑のうちにゼミ会は終了ー。やれやれ、昨日、今日と宴会が続きましたが、これで４月の主な行事はすべて終わったかな？こうなるとあとはゴールデン・ウィークに突入するのを待つばかり。それまであと数日、真面目に日常業務をこなします。それでは、皆さん、お休みなさい。

April 24, 2006

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やれやれ、終わった！

今日は学会でした。朝も早くから家を飛び出し、会場設営・総合司会・シンポジウムの講師＆司会・懇親会幹事をこなし、ようやくさっき帰ってきたところ。もう疲れました。でも、これでとりあえず学会関係の仕事もひと段落して、私は運営委員長の職務から解放されることに。やれやれ、肩の荷が下りました。家に帰ってからは、もう何もする気がないので、テレビで『ワイルドスピードＸ２』なんてノーテンキな映画を見てます。これ、マスタングだのコルベットだのマッハ１といったアメ車に混じって、ランサー・エボリューションやエクリプスといった国産車が活躍する話で、こういうのを見ると、日本車ってのも案外キッチュな感じがして、いいもんだなと思いますね。そしてこの後はF１・サンマリノグランプリを楽しむことにします。今日は随分働いたから、少しくらい遊んでも許されるでしょう。ということで、学会の話などはまた後日ということにして、お休みなさーい！

April 23, 2006

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日記の効用

私はこれまで、ちゃんと日記をつけたことがないんです。何であれ、記すに足る出来事があった場合だけ、愛用の小さな手帳に書き留めておくことはしてきましたが、ただそれだけ。しかし１年ちょっと前からこのブログを続けて来たので、それが何となく日記の代わりになってきたところはあります。日記というのは「去年の今頃、何をしていたか」を知るためにあるようなもので、その意味では、１年以上続けていないと価値がないところがありますからね。で、この所、１年前の「お気楽日記」を読み返しては、「ははあ、去年の今頃はこうだったか」なんて感慨に耽っているんですけど、それによると、去年の今頃もやはりアメリカ文学関係の学会に出席したことが書いてある。ま、それは事実ですからいいのですが、さらに続けて、「運営者として、とりあえず学会が大過なく終わったことにホッとしたけれど、やはり学会というのは研究発表してナンボのものであって、聞く側に回った今年は、あまり充実感がない」なんて生意気なことが書いてある。ひゃー、恥ずかしい！実は明日、その同じ学会があるのですが、今年は私もシンポジウムの講師として発表する側でありまして、その準備に今も追われているところなんです。学会の準備が大変になる時期に体調を崩してしまった私としては、「充実感」どころか、明日のシンポジウムが不安で仕方がないんですが、まったく「学会なんて発表してナンボ」だなんて生意気なことを書くから、罰が当たってこういうしんどい目にあうのでしょう。しかし、もうここまで来てしまったら、明日は腹を決めて、はったりかまして堂々とやるしかありません。はったりだけは得意なんで、なんとか切り抜けるつもりです。万が一、答えに窮するような質問が出たら、ここぞとばかりマイクに向かって激しく咳き込み、「答えられるんだけど、咳が止まらないので、また機会を改めまして・・・」とか言ってごまかそうっと！それでは、これから明日に備えて、最後の原稿修正でもしてきます。学会での首尾については、いずれご報告しますね。それでは、また！

April 22, 2006

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ついに病院へ

先週から風邪をひいて、体調の悪いワタクシ。とりあえず吐き気だけは止まりましたが、止まらないのが横隔膜を震わす激しい咳。これが出始めると、眠れないんだ・・・。ということで、今日は大事をとって病院に行くことにしました。行ったのは家から歩いて３分のところにある小さな医院。ま、たかが風邪ですから、近い方がいいかなと。初めて行くところなので、とりあえず保険証を持っていけばいいんだよな・・・。今、結構風邪が流行していると聞いていたので、待たされるかなと思いきや、待合室には先客が一人だけ。よーし、こいつはいいぞ。で、受け付けで「こちらは初めてですか？」と尋ねられたので、元気よく「はい！」と答え、渡された問診票に記入したり熱を計ったりしつつ、周りを見渡すと、なかなかこじんまりとした気持ちのいい待合室です。なーんだ家の近くにこんなステキな医院があったとは。これから風邪をひいたら、面倒臭がらずにここへ来て、早く治すようにしようかな・・・。なーんてことをぼんやり考えていると、先程の事務の方が同僚の方と何やらひそひそ相談しながら、パソコンの前で往生しています。４月だからまだ新任で、医療事務のことがよく分かってないのかな、なんて思っていると、その方が私の方を見ながら「こちらへ来い」という目配せ。ん？なんでしょうか？ガーン！そ、そんな・・・。何と私はこの医院、初めて来たのではなかったのでした・・・。10年前に一度来ているんですって・・・。私が確信をもって「初診です」なんて言ったものだから、そのつもりで手続きを始めてしまって、後から、前のデータがあることが判明したため、入力をやり直すことになってしまったんですな。ひゃー、申し訳ない！この場で切腹つかまつる！しかし、大丈夫なのか、私。待合室から何から、完全に記憶がないぞ。風邪どころの騒ぎじゃなくて、若年ボケの心配するべきじゃないか？ってなことを考えているうちに、名前を呼ばれました。で、先生の診察を受けたわけですが、結局まごう方なき風邪ですから、私の方で自主的に「ま、寝てれば治ると思いますが、ちょっと咳が苦しいので、咳のお薬出しておいて下さいねー」と診断と処方をしちゃいました。すると、ま、基本的にはそれでいいと先生も思われたようですが、そこまで患者任せでは立場がないと思われたのか、「少しだけ『吸入』しておきましょうかね」とのこと。吸入？ほう。そう来ましたか。喘息なんかで使う奴ね。でも実は私、吸入というの、今までやったことないんです。で、準備してくれている看護婦さんに、「それ、難しいんですか？」と尋ねてみると、「１歳のお子さんでも出来ますよー」ですって。実際にやってみると、なにやら薬液を仕込んだ機械から水蒸気みたいのが出てくる、そいつをただ口を開けて吸い込めばいいんですね。簡単、簡単。・・・と言いながら、私、貧乏性なのか、わーっと出てくる水蒸気をすべて吸ってやろうと必死にスーハースーハーしてたおかげで、過呼吸になってしまい、クラッと来てしまったという・・・。見てた看護婦さんに、「そんなに一生懸命吸わなくてもいいんですよ」と笑われてしまいました。とにかく、そんな感じで無事吸入も済ませた私は、会計で支払いも済ませ、近所の薬局で薬をもらって帰ることに。しかし、咳が苦しい苦しいと強く訴えたせいで、何だかやたらにくれましたよ、お薬。なになに、咳を止め、痰を切るための粉剤、抗生物質の錠剤、それに胃を荒らさないための胃薬ですと。それに、おお、これは！咳止めのための甘いシロップ剤じゃないですか。ひゃー、こんなシロップ剤飲むの、子供の時以来だ。それから、ん？これは何？え、貼る薬？ほー、最近ではシールみたいなのを上半身にペタっと貼って咳を止める薬があるんですね！心臓病の人がこういうシールを貼っているのを見たことがあるけど、それの咳止め版もあるんだなー。それにしても、たかが風邪ごときでこれだけの大量投薬ですか・・・。これじゃまるで薬漬けだ。まったく、日本の医療というのは・・・最高っす！！だって私、お薬、好きなんですもーん！！というわけで、これらの薬をあれこれ賞味しつつ、今日・明日と大事をとって、明後日の学会参加に備えることにします。特に、久々に飲む甘いシロップ剤は楽しみだな。食後のデザート・ワインの代わりにしようっと。それでは、皆様も風邪に気をつけて、よい週末をお過ごし下さいねー。

April 21, 2006

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嗚呼、情けなや！　メソメソ泣く学生

　新学年が始まる４月には、色々と椿事が起こるものでございまして。昨日も、ある意味、凄い話を聞いてしまいましたよ。　　同僚の先生から聞いた話なんですが、その先生の担当されている、ある必修科目でのこと。　この科目、必修なもので、その学年の学生すべてが履修しなくてはならないんです。ですから、同じ授業科目を複数の先生が担当し、学生は学籍番号に従って、それぞれのクラスに振り分けられるわけ。　ところが、同一科目を複数教員で担当する場合、どうしても「厳しい先生」と「甘い先生」が出てきてしまいます。で、どの先生が厳しいか、甘いか、なんて情報は、学生の間にすぐ知れ渡るものなんですね。　そこで、学籍番号で厳しい先生のクラスに振り分けられた学生が、こっそりそのクラスを抜け出し、別な甘い先生のクラスに潜り込んで履修しようとする、なんてことも生じてくるわけ。いわゆる「脱藩」ですね。江戸時代なら磔獄門でございます。　で、私の同僚の先生は、自分の担当クラスに、よそのクラスから忍び込んで来た脱藩者が数名いるのを見つけたんですな。　しかも、この脱藩者たちがまた図々しくて、第一回目の授業の時にその先生が「このクラスは学籍番号○○番から××番までの人がいるはずですけど、その他の番号の人が間違って入ってませんよね？」と確認したのに、その時は黙っていたらしいんです。で、そのことを指摘しつつ、「ダメじゃないか、本来のクラスに戻りなさい」と叱っても、「もう教科書も買っちゃいましたから・・・」などと粘るのだとか。そのこと自体、呆れます。　ところが、そういうことがあった翌日、また新たな脱藩者が先生のもとを訪れ、「昨日休んじゃいましたけど、先生の授業を履修してもいいですよね。教務課にはもう履修カードを提出しましたけど」などと言ってきたのだそうで・・・。只でさえズルいことをやろうとしているのに、その態度があまりにもぬけしゃーしゃーとしていたので、さすがに頭にきたその先生、「君、何を考えているんだね！　そんなの受け容れるはずないだろう！」と、少しばかり語調も厳しく叱責したのだそうです。・・・すると、その学生、どうしたと思います？　泣き出したそうです。大粒の涙をポロポロとこぼして。二十歳を越えようという男子学生が、ですよ。　　その先生もおっしゃっておられましたけど、永年大学で教えてきて、こういうことは初めてとのこと。　しっかし、それにしても情けないですなぁ・・・。　無論、こういうのばかりが今の日本の若い連中だとは思いたくないですけど、しかし、かつては想像もし得なかったような種類の学生が、現実に存在していることは事実です。　いやー、驚いた。ホント、大丈夫ですかね、この国。このブログの読者のみなみな様、心してかからねば、日本の先行きは不安ですぞ！　

April 20, 2006

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我が救世主「ガスター10」！

　私の研究室のすぐ傍には大きなケヤキの木があって、今の時期、目に鮮やかな新緑を枝枝から吹き出しているところなんですが、今日はまたこの新緑がいつも以上にきれいに見えます。と言いますのも・・・　体調が少し良くなってきたからなんです！　ガーン！　　　あれ、風邪引いたかな？　と思ったのが先週の水曜日でしたから、ついに１週間、風邪に苦しめられてきたことになりますが、今回の風邪は酷かった。咳が止まらず、しかも胃の具合までおかしくなって、とにかく夜眠れない。ベッドに横になると吐き気が襲ってくるので、ほとんど48時間眠れなかった時もありました。あんまり胃がむかむかするので、これ、風邪じゃなくて、もっとやばい病気なんじゃ・・・なんて少し心配してしまいましたよ。　しかし、こう言う時に持つべきものは友。私がこのブログに「体調悪いよー」と気の弱いことを書いたら、すぐにブログ仲間のマイクさんが、「寝る前に『ガスター10』を飲んでみては？」と教えて下さったんです。マイクさんの本職はドクターですから、これは誠に頼もしいアドバイスです。　で、昨日、大学からの帰りに薬局に立ち寄って買っちゃいましたよ「ガスター10」。テレビでも宣伝していますよね。　ところが胃薬コーナーでこの薬を見つけ、喜び勇んでレジへ持っていこうとして、ふと値段を見ると・・・アレレ、案外高い・・・。６錠で1029円？　ひゃー、お高い薬なんだ、コレ。　で、家に帰ってから注意書きを読むと、オヨヨ、何だかやけにおっそろしいことが書いてあるじゃないですか。「不整脈などが出る可能性があるので、心臓病のある方は使用を控えて下さい」とか「腎臓・肝臓に障害があると、体内に薬が残り、必要以上に効き目が出る可能性があるので注意して下さい」とか「赤血球・血小板が減少する可能性があるので気をつけて下さい」などなど、脅し文句が並んでおります。ほ、ほう。噂に聞く「Ｈ2ブロッカー」って、普通の「生薬配合胃薬」なんかとは全然違うんだ・・・。　私、このあいだの人間ドックで心臓・腎臓・肝臓が悪いって言われたんですけど！　大丈夫なんでしょうか！　てなわけで、さしも薬好きの私も、この並々ならぬ注意書きの羅列にたじろぎ、飲むの止めようかとも思いました。が、しかし、昨日の夜はいつにも増して胸が悪く、気持ちが悪いことこの上なかったんです。えーい、もうどうにでもなりやがれ！　不整脈が出ようが、血小板が減ろうが、吐き気よりはマシじゃ！　　で、清水の舞台から飛び降りるつもりで、飲んでみたんですよ、この薬。すると・・・　おお！　今日は吐き気がしない！　完全にしないわけじゃないけど、昨日までの苦しみとは全然違う！　まだ咳は残っていますが、それにしても、吐き気がないというのは大分助かります。やるなぁ、「ガスター10」。　いやー、昨日までの暗澹とした気分に一錠の・・・いや、一条の光が射してきたぞ！　何とか週末までには、体調も快復しそうな感じです。やれやれ、助かった！　とまあ、そんな晴れやかな気分になってきたので、窓から見えるケヤキの新緑が、今日は一層きれいに見える理由もお分かりでしょ？　歌人の斉藤茂吉は、大好物の鰻を食べた後では木々の緑が一層鮮やかに見えると主張して止まなかったと言いますが、分かるなぁ、その気持ち。　というわけで、ブログ仲間のマイクさんと「ガスター10」に救われて、今日はかなりノリノリのワタクシなのでした。今日も、いい日だーー！

April 19, 2006

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扱いの難しい外国人の皆さん

うちの学科には外国人の先生が沢山いらっしゃいます。イギリス人、アメリカ人、フランス人、ドイツ人と、バラエティも豊富。見かけはいかにも国際色豊かです。しかーし！これがいざ、仕事の上で付き合うとなると、外国人の先生方というのは、なかなか扱いが難しいものでございまして・・・。まずアメリカ人の先生は、仕事の範囲を独自に決め過ぎ！「どうしてこれを私がやらなければいけないの？そんなのフェアじゃない！」が口癖。そりゃ、誰だって仕事が増えるのは嫌ですけど、何年も大学で仕事してりゃ、時には一時的に他の先生方よりも加重な負担を強いられることだってありますよ。事実、去年は私が仕事を加重に負担していたじゃないですか。他人が加重に仕事を負担している時は何も言わず、いざ自分の番になると途端に「どうして私が・・・!」を言い出すのは、それこそ「フェアじゃない」んじゃないの！フランス人の先生は、人生を楽しみ過ぎ！今や「フランス語」の授業をとる学生は少なくて、授業負担がすっごく少ないんですから、もっと論文を書いて、雑用も引き受けて下さーい。しかし、ある意味一番の難物はイギリス人かも。誤解なきように言っておきますが、私は彼とは親しいんです。しかし、何か問題が生じた場合、一番対処し難いのは彼ですなあ。たとえば、大学全体の会議で何かが決まったとする。で、この決定に従って「○○先生、会議でこう決まりましたから、今度からこうして下さいね」と伝えると、「いや、私には私の言い分がある」と言い出すのがこの先生の悪い癖なんですなぁ・・・。私はただ学内全体の取り決めを伝えているだけなんですから、私に向かって改めて議論を始められても困りますって。何度「教授会で決まったことですから」って言っても、「私には納得できない。日本人はなぜこんな取り決めを黙認してしまうんだ」と言い返されてしまう。この先生が言うことを聞いてくれないために、教務委員をやっていた間、何度私は泣かされたことか・・・。彼のおかげで、なぜイギリスに憲法が存在しないか、その理由がよーく分かりましたよ。あの国では、たとえ憲法作っても、「いや、私には私の言い分がある」とか言って、反故にされちゃうんでしょう、きっと・・・。てなわけで、これらの先生方には、それぞれのお国柄ゆえに、いつもいつも苦労させられるのですが、ただ一人、我々日本人スタッフに苦労をかけない外国人スタッフがいまーす。で、その人の出身地はと言いますと・・・ドイツでーす。ハイル、ドイッチェラーント！彼はエライ。会議にはちゃんと出席する。取り決めは守る。授業も責任をもって担当する。自分の仕事も頑張っている。面倒な雑用も嫌な顔せずに引き受ける。とにかく、頼りになる。さすがメルセデス・ベンツやフォルクス・ワーゲンを作った国のご出身です。やっぱ、ドイツ人と日本人って、几帳面で責任感があるところなど、似ているところがありますね。多分、ドイツ人もそう思っているんじゃないでしょうか。私の知人から聞かされた話ですが、彼がドイツに旅行していた時、酒場でビールを飲んでいたら、地元の人たちから「お前、日本人か？」と問われ、「そうだ」と答えると、「日本はいいよな。今度戦争やる時は、イタリア抜きで組もうぜ！」と言われたとか、言われないとか・・・。ま、それは悪いジョークとして、人はよく「国際化、国際化」とか言って、国際化することがさも良いことであるかのように言いますけど、国際化してまったく異質な文化からやってきた連中と付き合うのって、ほんと疲れますよ。仕事も停滞するし。国際化を推進しようってのなら、そういうマイナスの部分を承知の上でやってくれって！それから、うちの科のドイツ人以外の外国人の皆さーん！「郷に入っては郷に従え」という言葉をこれから毎日、最低十回は唱和しなさーい！

April 18, 2006

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結婚する教え子たち

昨夜も結局胸が悪くて眠られず、先日読み始めた『元禄忠臣蔵』を気散じのために読み進めているうちに、白々と夜が明けてしまったという・・・。かくして、咳はとれぬは、寝不足だはで、フラフラしながら大学へ。で、お昼休みをぼんやり過ごし、さて午後の授業へ出るかと準備をしているところへ、誰やら研究室のドアをノックする音。この時期、どうせまた血迷った学生の教務関係の相談かと思って出てみると、おやおや、これはまた懐かしい顔が二つ。卒業生のＭ君とＳさんではありませんか。ははーん・・・。我ら教官一同に挨拶というわけですな！殊勝な心がけ、苦しゅうない、苦しゅうない。実はこの二人、今から８年程前の卒業生なんですが、それがこの夏、メデタク結婚することになったんです。ヒュー、ヒュー!! いやー、思い出しますなあ。まだ彼らが学生だった頃、科の旅行で京都に行ったことがありまして。で、その夜、教官たちと男子学生らで深夜まで酒を飲んでいた時のこと、Ｍ君が突然ポツリと、「実は最近、同じ科の中に惚れた女が出来まして」というようなことを言い出したんです。で、よく聞くと、お相手はＳさんとのこと。おお！そういう話大好き！ということで、二人の馴れ初めを聞き出したり、今後のアドバイスなどをいたしたり、ひとしきり盛り上がったのでありました。で、卒業後、Ｍ君はうちの大学の大学院に進学したこともあって、時折顔を合わせることがあったんですね。で、その度に「どう、その後、順調に行ってるの？」と尋ねてはいたのですが、そういう時のＭ君の口ぶりから、何となくＭ君が相変わらずお熱を上げている割に、Ｓさんの反応が薄いような印象を受け、傍目から見ていると「あの二人、うまく行っているのか？」という心配を生じさせる事の数々・・・。特に数年前、Ｓさんがイギリスに留学し、究極の遠距離恋愛となってしまった時には、私や「兄貴」ことＫ先生あたりは、「『もはや、これまで』って感じじゃないの～」なんて早合点したり。しかし、やっぱり「誠実な男」というのは、「結婚」という一事に関しては、強い。Ｍ君の誠意は無事Ｓさんに通じ、お付き合い９年にして、晴れてご婚約とあいなった次第。挙式は８月とのこと。メデタイ、メデタイ。で、その今日はその報告がてら、二人して大学を訪れてくれたというわけなんですが、「ところでプロポーズの言葉は？」とか「跪いて、指輪の箱をパカっとやったのか？」などと居合わせた教官一同に四方八方から冷やかされながら、「嬉し恥ずかし」の様子でにこやかに受け答えをしているＭ君・Ｓさんを見ていると、ああ、これから結婚しようという若者たちってのは、初々しくっていいもんだなと思わされましたね。恋人として９年間付き合った歴史があったとしても、いざ結婚するということになると、そこでまた新鮮な気持ちになるんでしょうな。なにせ同級生同士の結婚ですから、新郎の友人も新婦の友人も皆、同級生なわけで、二人の結婚式はいわば我が大学の同窓会です。私も家内と共にお呼ばれしてしまいましたから、そこでまた懐かしい卒業生の顔を沢山見ることができることでしょう。今からちょっと楽しみです。ということで、私自身の体調は最悪ながら、今日は将来を共にすることを決意した二人の教え子の輝く笑顔を見ることができて、心楽しい一日となったのでした。今日も、いい日だ！

April 17, 2006

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風邪が治りませんなぁ・・・

先週水曜日に拾ってきた風邪。こいつがなかなか治りません。咳と痰がなかなかとれず・・・。あんまり咳き込むので、今では咳をする度に喉の奥が血なまぐさい有り様。しかも夜、横になるとどうも心持ちが悪い。うつらうつらしたと思うと、胸が悪くなってきて直に起きてしまいます。胃液が食道まで逆流するのでしょうか。以前にもたまにそういうことがありましたが・・・。ということで、結局昨晩は一睡も出来ず、朝の４時から起き出してしまいました。そこから予習なんぞを始めたもので、朝の９時頃には大抵の予習が終わってしまいましたよ。早起きは三文の得とはよく言ったものですが、何しろこちら一睡もしていないので、もうフラフラ。ひゃー、こんな状態が一体いつまで続くのか、まったく心細くなってきます。来週日曜日は、学会のシンポジウムに講師・司会として出なければならず、またその後の懇親会の幹事役もあり、忙しい一日となるのに、こんな体調ではお役が勤まるのか、いささか心もとない。どうも今日は気分も暗澹として、常の私にもあらず、洒落の一つも言えません。さてさて、明日は少しはよくなるのでしょうか？それには、まず眠れなければなりませんが、なんかまだ横になると胸が悪くなるようで・・・。ま、明日はもう少し、「お気楽」な日記になるよう、養生を心がけます。それでは、今日はこの辺でご勘弁、ご勘弁。

April 16, 2006

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「勧進帳」と『元禄忠臣蔵』

私の友人のオーストラリア人、ロブ君と奥さんのアミリアが、今週末、名古屋の御園座に歌舞伎を見に行くのだそうで、演し物は「勧進帳」とのこと。で、当然のことながら、「勧進帳」ってどういう話？と聞かれるわけですよ。で、とっさに答えられない私も困ったものですが、結局、家内があとで調べて、彼らに教えてあげたという次第。で、私も家内からその内容を教えてもらったわけですが、「勧進帳」ってのは、結局、義経＆弁慶の話なんですね。そんなの知ってるよ！と言われたら返す言葉もないですが。要するに、頼朝によって追手のかけられた義経が逃げるわけですが、頼朝が各地に関所を設けて、通過しようとするものを検問するわけ。ですから、そのまま逃げていたのでは、いつかは捕まってしまう。で、一計を案じた義経は、主従の立場を逆転し、弁慶を主人に見立て、自らは従者に変装して関所を通過しようとする。しかーし、これが見破られるわけですよ。が、そこがまたいいところで、主人思いの弁慶が、巧みな話術を弄して何とか関所の突破を試みるのに感心した関所守が、それが義経一行と知りながら、見逃そうとするんですな。ええ話や・・・。ところが！せっかく通れそうになったというのに、ここで関所の木っ端役人が義経の変装を見抜き、「あー! コイツ義経に似てるじゃん！」と騒ぎだす。やれやれ。そんなの分かってんだよ！空気読めよ。で、この木っ端役人の告発を無視して関所を通過させてしまったら、今度は関所の責任者が困ったことになってしまいます。せっかく逃してやろうとしたのに、万事休す！ところがここでまた弁慶が頑張るわけ。彼はとっさに芝居を打ち、本当は主人である義経を打擲して「お前のせいでとんでもないことに巻き込まれたんだぞ！」と罵るわけ。で、その様子を見て、さしもの木っ端役人も、まさか弁慶が主人の義経を殴るはずがない、さては別人かと、一行を通過させるわけ。そして無事、関所を越えたところで、ついに泣かずの弁慶が、いかに芝居とはいえ、主人を殴ってしまったとは情けない、と男泣きする・・・。ま、これが「勧進帳」の大まかなストーリーなんですってね。ええ話じゃないですか。で、この話を聞いてつくづく昔の日本人ってカッコいいなーと思った私は、今日、真山青果が書いた『元禄忠臣蔵』（岩波文庫・上下）を読み始めてしまったという・・・。「勧進帳」と「忠臣蔵」では大分時代が違う気もしますが、そこはそれ、「昔の日本人は偉かった」というコンセプトでつながってますから・・・。ちなみにこの本、両親に「面白いよー」と薦められて前から持ってはいたんですけど、まだ読んでなかったんですね。で、今回、上のような経緯をきっかけとしてこの本を読み始めたわけですが、そしたらこれがめちゃくちゃ面白い。まだはじめのところなので、全容は分かりませんが、とにかく面白い。厳しい江戸幕府の統制の中で、身を律していかなければならない武士の姿がとにかくカッコいいんです。それにしても、厳しいですな、江戸幕府。江戸城の中で刃傷沙汰を起したというそのことだけで、その理由を問うこともなく、いきなりその日のうちに切腹申し渡しですよ。厳しい、厳しい。でもそういう厳しい戒律の中で、昔の武士は、それぞれ気高く生きていたんですなぁ・・・。・・・なーんてことを思いつつ、読書の興奮を静めようと、午後のお茶の時間にテレビをつけると、なになに、今日は小泉首相のお花見ですと?! 任期もあと半年、首相としての最後の花見とあってやたらにご機嫌の小泉さんも小泉さんだが、彼に御目文字している連中がまたお気楽に「近くで見たら小泉首相、カッコよかった」なんて言っている。「忠臣蔵」の時代のご政道のあり方と、えらい違いですなぁ・・・。ま、もちろん、「忠臣蔵」の時代に生きるのがいいのか、国の最高権力者がその辺の芸能人と大差ない扱いの現代に生きるのがいいのか。「さあどっちがいい？」と問われれば、私も答えに窮しますけど、それにしても、ねぇ・・・。てなわけで、今日は私、世間の動きには目もくれず、一人武士のつもりになって、ちょっと粋がっているのでありました。ま、何か読んだり聞いたりすると、すぐその気になっちゃうところが子供っぽいって、家内にはよく言われるんですけどね！

April 15, 2006

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飛行機不時着！その時あなたはどうする？

今日はそれこそ何年かぶりかで私の弟分のＩ君に会いました。Ｉ君は私の勤務先の大学の卒業生なんですが、私とは年齢も近いこともあり、在学中から一応「舎弟」ということにして可愛がっているんです。とはいえ、彼は『ダイハード』のブルース・ウィルスなみにタフで頭も切れるので、むしろ「愚兄賢弟」という感じかな？そのＩ君、うちの大学を卒業後、名古屋にある別な大学の大学院に進学し、博士課程を終える前に世界銀行に就職、その後米国・インディアナ州にあるパーデュー大学の大学院で経済学の博士号をとり、それから色々あった後、縁あって名古屋にある某大学に職を得たんですね。その知らせを受けた私は、これはいいチャンスだと思い、早速彼にうちの大学で非常勤講師を勤めてもらうことにしたというわけ。何せ昨年度まで私は大学内で教務委員を務めていたもので、その辺はうまく立ち回ったんです。で、今日は彼の我が大学での初授業だったので、授業後に私の研究室に寄ってもらい、９年間のアメリカ生活の話を色々聞いたというわけ。何しろ久しぶりに会ったので、話は多岐にわたったのですが、ひとつ、ものすごい話を聞きまして。飛行機事故の話なんですけどね・・・。事故にあった時、Ｉ君はパーデュー大学で博士号をとった直後で、もう一度世界銀行に職を求めるべく、ワシントンＤＣまで面接試験に行く途中だったのだそうです。パーデュー大学は大学内に飛行場を持っている（！）ので、ここから小型のプロペラ機に乗ってとりあえずシカゴのオヘア空港へ向かい、そこからワシントンＤＣに行く予定だった。ところがオヘア空港に着陸する時に、そのプロペラ機に異常があったらしいんですね。どうも車輪が出なかったのか、折れたのかしたらしいんですな。で、結果的に胴体着陸したような形になってしまった。で、一番先頭の座席に座っていたＩ君が、ものすごい衝撃にびっくりして前を見ると、丸見えの操縦席（小型プロペラ機なので、操縦席と客席の間に壁がなかった）にある、ありとあらゆる計器がすべて真っ赤に点滅していて、何やら相当やばそうな雰囲気。しかも摩擦熱で機体底面から火を吹いているらしく、床の鉄板の隙間からもうもうたる煙が客室内に吹き出してきたというんです。これは確かにやばいです。で、どのくらいの時間がかかったのか、とにかくようやくその飛行機はオヘア空港の端っこで止まったらしいのですが、映画なんかと違って、こういう時、乗客は全員、恐怖で固まってしまって、誰一人として悲鳴すらあげられないんですってね。ですから客室内は物音ひとつなく静まり返っていたそうです。むしろ一番パニクっていたのは機長の方で、彼は操縦席から飛び出してくると、シーンと静まり返って身動き一つしない乗客たちに向かって一言、こう叫んだそうです。 "Calm down!" （落ち着いて!）で、この何とも間抜けな機長の一言に対し、乗客の一人であった中年の紳士が一言、"Fuck you!" （くそ喰らえ！）と応酬し、これでハッと我に返った乗客たちは、我先にと緊急非難口から外へ飛び出したのだとか。ところが、何しろオヘア空港というのは広大な国際空港ですから、あたりはひっそりとしていて、誰も来ないんですって。時は１月３日の真冬ですから、乗客たちは外へ出たはいいものの、ものの５分というものは、ブルブル震えながらその場で助けが来るのを待っていたそうです。しかし、来るとなったらすごいのが来たもので、どこかの軍隊が出動したのかと思うような規模の救助隊がけたたましく到着したのだとか。ところで、Ｉ君の乗っていた飛行機には、同じくパーデュー大学のバスケットボール・チームも乗っていたんだそうで。で、この陽気な連中は、自分たちが助かったと分かった段階で陽気に騒いでいたのですが、そのうちに何やら円陣を組んで何事かを相談し始めたんですな。さてさて。この連中、何を相談していたと思います？それは、５分後に救助隊が到着した時に明らかになりました。救助隊がやってくるのが遥か遠くに見えてきた時点で、このバスケットボール・チームは急に地面にうずくまって、苦しみ出したんだそうです。ついさっきまでピンピンしていたように見えた彼らは、どうやら急に自分たちが「重傷」を受けていたことに気づいたらしいんですね。で、彼らは無事、担架で担がれ、救急車に乗ってどこかへ運ばれて行ったのだそうです。もちろん、彼らが後に莫大な保険金を受け取ったことは言うまでもありません。一方、我が舎弟のＩ君はこの間、どうしていたかと言いますと・・・。救援隊とともに駆けつけてきた当該航空会社の人の差し出した、「私はこの事故で、何ら怪我を負いませんでした」という確認書にサインしてしまったのあります。で、その後この航空会社は、ワシントンＤＣ行きの飛行機の乗り換え手続きまではしてくれたものの、あとは何事もなかったかのごとく、Ｉ君に向かって「よい旅を！」とにこやかに手を振ってくれたのだそうです。アメリカ、ですなぁ・・・。しかし、このＩ君の得難い体験談を聞けば、今後アメリカで旅行中に乗ってた飛行機が不時着した場合、一体何をすればいいか、皆さんお分かりですね？ま、それはさておき、Ｉ君は保険金こそもらえませんでしたけど、貴重な体験をし、しかも命まで拾った挙げ句、今日、母校の教壇に立つことが出来たのですから、善しとしなければなりますまい。で、この話はともかく、久しぶりにＩ君に会ってみると、さすがに９年間アメリカで単身苦労してきただけあって、以前にも増して考え方のしっかりした若き経済学者になっており、ちらっと話を聞いただけでも、私は多くのことを彼から学ぶことが出来ました。まったく、持つべきものは、賢い弟分ですなぁ。ということで、今日は久々に「舎弟」と旧交を温め、気持ちのいいひと時を過ごすことの出来たワタクシなのでした。今日も、いい日だ。

April 14, 2006

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期待するものが違います

　ひゃー、ただ今、『アメリカ文化史概説』の今年度一発目の授業をやってきました。風邪のおかげで体調はヘロヘロですが、まあ、何とか無事にごまかしました。これは専門の授業なので、私も気合いを入れていますのでね。この授業題目について、私にはいくつかネタがあるのですが、今年度は久しぶりに公民権運動の問題を取り上げることにしました。要するに、アメリカにおける黒人差別の問題です。「自由」を標榜して生まれた革命国家アメリカに、「自由でない人（＝黒人奴隷）」がかつて存在していたということは、アメリカ国家成立の根底に係わる大問題ですので、自然、力も入ります。　一方、一般教養の授業、特に語学の授業なんかですと、私は力が抜け抜けなんですね。だって、１週間に１度の授業を半年やって、その結果学生たちを「英語ペラペラ」にする、なんてこと、出来ないことは分かり切っているんですもん・・・。そりゃ、語学を教えることを専門にしている先生方にとってはいいかも知れませんが、私は語学の教師ではないし、語学を教えるための特別の訓練も受けてません。ただ、たまたま英語を読むことが多いという理由で、この種の授業を問答無用で引き受けさせられているんですから。もちろん、そうは言っても最善は尽くしているつもりですが、そもそも荷が重すぎますって。　ですから４月のこの時期、何がつらいって、新入生の語学の授業を担当することほどつらいことはないです。だって、高校卒業して初めて「大学」の門をくぐった彼らの、その期待に満ちた眼差しを、私はこれから裏切ることになるんだ、ということがはっきりしていますから。新入生というのは、ほんとにナイーブなもので、希望の大学に入りさえすれば、色々なことが魔法のように身に付くと思っているフシがある。ですから、大学の英語の授業についても、「さぞや素晴らしいものなんだろう」と大いに期待しているのが、ひしひしと伝わってくるんですね。輝く瞳に、「期待」という文字が刻印されてます。そしてかく言う私は、この二文字が次第に輝きを失い、いつしか「失望」の二文字に変わるのを見なければならない。これは正直、つらいです。　そう言えば、昨日のことでしたか、「兄貴」ことＫ先生と私との間にこんな会話がありました：兄貴：この時期、疲れるよね。　私：疲れますね。兄貴：新入生たちの眼が、ね・・・。　私：眼、ですよね。兄貴：あれは、つらいね。　私：つらいっすね。　　Ｋ先生と私の間で交わされたこの謎のような会話の意味は、私たちと同じような立場にある大学の先生方であるならば、誰でも即座に感得されるはず。「研究」だけやってればいいならいいですが、それとはまた全然方向性の違う種類の労働である「教育」ということもやらなくてはならない大学の先生という職業は、これでなかなかストレスの溜まるもんなんです。　そういうことも含めまして、私は新入生諸君に向かって声を大にして言いたい。「大学に期待するな。自分自身に期待しろ」と。大学というのは、学問を学ぶための単なる「条件」・単なる「場所」であって、そこに来ただけでは何にも起こらないんですぞ。あなた方自身がこの条件・この場所を使って何かをするんだ。もし期待が裏切られたというのなら、裏切ったのは我々ではなく、あなた方自身なんですぞぉ～！　はぁ～。ため息。この理屈が分かるくらいなら、そもそもこいつら大学なんかに来やしないよな・・・。　「四月は最も残酷な月」と言ったのは、詩人のT.S.エリオットでしたっけ？　今、私は、この残酷な月のど真ん中に居て、ただひたすら時が淡々と過ぎゆくのを待っているのでした。

April 13, 2006

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どうも分からない焼酎の味

今日は小正醸造というところが出している「くろ」という名の焼酎を飲んでみました。ところで、焼酎ブームということが言われて久しいですけど、皆さん、焼酎好きですか？私は、興味はすごくあるのですが、実際に飲んでみると、何だか生の業務用アルコールを飲んでいるような気がして、結局、そのおいしさが分からないんです。好きな人にとってはおいしいんでしょうけどね。前に焼酎好きな人の話を読んだことがあって、それによると、やはり一番うまいのは「お湯割り」なんだとか。でも、ただお湯で割ればいいってもんじゃない。お湯で割ったのを、しばらくおいて熟成させるのがいいんだそうですね。で、その方の飲み方というのは、こうです。まず魔法瓶を用意しまして、その魔法瓶に焼酎１対お湯１の割合で作ったお湯割りを入れる。で、一晩(一日)寝かせる。で、翌日の晩酌の時に、十分熟成されたお湯割りを味わって飲むというわけ。で、飲み終わったら、また翌日のために魔法瓶にお湯割りを仕込む、という寸法なんですな。なるほど、こいつはうまい具合です。そんな楽しいお酒の話を読むと、私もまた性懲りもなく、もう一回だけトライしてみたいという気になるじゃないですか。でまた運の悪いことに、先日、別なところで九州・鹿児島の小正醸造が作っている「くろ」という芋焼酎がうまい、という話を聞いたもんですから、こいつはやっぱり試して見なきゃ、という気になっちゃったんです。で、買っちゃいましたよ、小正のくろ。ま、焼酎ですから、一瓶1000円しないのが救いなんですが。で、今日、夕食の時にお湯割りで飲んでみたわけ。すると・・・ダメだー。やっぱり業務用アルコールだー。結局、私の場合、焼酎を飲む時は果汁の味のする何かで割らないとダメです。でも、それだと焼酎がおいしいのではなく、割るものの味がおいしいということなわけで、焼酎を飲む意味がないよなー。やっぱり私には、蒸留酒の味は分からん、ということなんですかね。トホホ。でもまだ一瓶たっぷりありますよ、「くろ」ちゃん。これ、どうやって飲みきればいいんだ？どなたか、うまい焼酎の飲み方を教えて下さーい。さてさて、私はどこでウイルスを拾ってきたのか、季節はずれの風邪を引いてしまったようなので、今日はもう寝ます。皆さん、お休みなさいねー。ん？待てよ？「卵酒」ならぬ「卵焼酎」ってのはありかな・・・？この際、いっちょ試してみますか・・・。

April 12, 2006

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カフェを経営するのって、大変ですなぁ

今日は卒業生のＫさんに大学で会いました。Ｋさんというのは、私が勤務先の大学に赴任した年には既に４年生になっており、また私はその年は４年生の授業を受け持たなかったので、彼女が在学していた時には、彼女のことをあまりよく知らなかったんです。しかし彼女が大学を卒業してしまってから、同窓会などで顔を合わせるうちに、いつしか親しくなり、今では、私の善き年下の友人の一人となった人なんですな。その彼女が今日、大学に来ていたのは、仕事がらみのこと。彼女が今勤めている会社が、うちの大学の校舎を借りてある検定試験を行いたいというので、その交渉のために上司の方と共に大学を訪れていたんですね。で、その用事が一通り済んだので、少しの間だけでしたが、私の研究室に顔を出すことができたというわけ。で、そのＫさんから色々と近況報告を受けたのですが、実は私の方も彼女に聞きたいことが沢山ありまして。というのもＫさん、卒業後、名古屋の超一流ホテルに就職してかなり長く勤めた後、退職してカフェを開いていたんです。ところが、２年間ほど頑張った後、結局そのカフェを閉店し、また新たに会社勤めを始めたんですな。私は、彼女がカフェをオープンしていた時期に、行こう行こうと思いながらついに一度も行くことができなかったこともあり、Ｋさんがどういう経緯でカフェをオープンする気になったのか、またどうして閉店せざるを得なかったのか、その辺の事情が聞きたかったんです。で、その辺の問いをぶつけてみると、カフェを開いたのは、様々な偶然が重なった故らしいんですね。詳しい理由は聞きませんでしたが、ある時から急にホテルでの仕事に嫌気がさしたＫさんは、友人４人と共にカフェを開くことを思い立った。で、これがまたうまい具合に、業務用の冷蔵庫やコンロなどがすべて揃っていて、後はテーブルと食器を入れさえすればカフェになるような店舗物件があったというのです。で、諸々の準備金として必要な600万円は４人の仲間で150万円ずつ出しあうことにし、めでたくカフェを開くことができた。・・・私は、そういう飲食店を出すには調理師免許などが必要なのかと思っていたのですが、そういうわけでもないんですってね。また食品衛生士の資格は、講習を受ければ誰でも取れるのだそうで、また開店時に必ず必要なものですらないのだそうです。ふーん、知らなかったなぁ・・・。ま、そんな感じで仲間同士で作ったカフェがオープンしたわけですが、その後色々あって、その仲間のうち一人が抜け、また一人が抜け、という感じになり、ついにＫさん一人になってしまった。で、Ｋさんはたった一人で１年ほど孤軍奮闘したのですが、ついに力尽きたというのですね。もっとも、カフェそのものは、それなりにはやっていたのだそうです。特に朝のうちはゲートボール帰りのおじいちゃん＆おばあちゃん軍団が固定客となってくれて、なかなか忙しかったのだとか。ただ、注文とりから、調理から、サービスから、片づけから、すべてＫさん一人でやらなくてはならないとなると、捌けるお客さんの数にも限界があり、そういうこともあって、お店は常に若干の赤字だった、とのこと・・・。しかし、赤字そのものよりも、むしろＫさんにとって一番きつかったのは、とにかく朝から晩まで、ほぼ一日中お店にいなくてはならないということだったのだそうです。束縛がきつ過ぎたわけですな。で、トータル２年頑張ったところで、ついに彼女もこの束縛から逃れることを決意した、と。その辺の経緯を語っている時にＫさんが言った「先生、他人に雇われるっていうのは、ほんとに楽なもんですね・・・」という一言は、実に実感が籠もっていましたなぁ。で、私が、「ところで、カフェの他に、店に雑貨を置くとか、そういうアイディアはなかったの？」と尋ねると、「皆、そういうことをおっしゃるんです。私たちも、最初ちょっと考えました。でも、やはり最初からカフェと雑貨の両方を扱うのは無理なので、いずれ店の経営が軌道に乗ったら雑貨にも手を出そうと仲間うちでは相談していたんです。だけど、結局、軌道に乗らないうちに終わっちゃった・・・」とのこと。誰もが考えることでも、実際にやってみると大変なんですね。お店を経営するのって、やっぱ、大変なんだ・・・。私も、大学で教鞭をとる傍ら、ネット上でセレクトショップを運営しているぐらいですから、「自分の店を開く」なんてことに興味がないことはないんです。でも、Ｋさんのように身近な人からこういう話を聞くと、お店の経営というものは片手間にできることではないし、両手間にやったって難しいらしい、ということがしみじみ分かってきますね。「雇われるって、楽ですね」か・・・。私も大学に雇われて、その大学に文句を言っているうちが華なのかも知れませんな・・・。でも、とにかく、色々な経験をして苦労したＫさんが、そんな苦労を微塵も顔に出さず、以前と変わらぬニコニコとした笑顔で今日も仕事を頑張っている、そのことが私には尊いものに思われたのでございます。Ｋさん、これからも仕事、頑張ってよ！それから・・・そろそろ永久就職の方も、ネ！

April 11, 2006

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小沢民主党って、どうなの？

政局ってのは、確かに動くもののようで、ついこの間まで永田某のアホな言動でボロボロになっていた民主党が、何だか急にいい意味でクローズアップされ、新代表に選ばれた小沢氏への期待論まで出るという変わりぶり・・・。しかし小沢さん、鳩山さん、渡部さんだなんて、まったく「昔の名前で出ています」という感じで、結局、戦後の日本の政治というのは、自民党内の「主流」対「非主流」の力関係で動いているんだということが見事に表沙汰になりましたね。日本の場合、「野党」というのは、実質、「与党」の内部にしかない、ということなんでしょう。社民党とか共産党なんて、あれは野党と言うよりも「蚊帳の外党（かやのそ・とう）」だな。それにしても、小沢さんってどうなんですかね。世論を見ると「噂に聞く小沢氏の豪腕ぶりを見てみたい」というような好奇心からか、案外若い人たちが小沢氏に期待するようなことを言っているようですが、私は、どうも彼に対してはいいイメージがないんだけどなぁ。豪腕ったって、親分の田中角栄さんの七光があった時のことでしょう？もっとも私は、その田中角栄氏の方には、割と親近感があるんですが。金権政治の生みの親、と言われればそうでしょうし、地元選出母体の利益を追究し過ぎたと言われれば、間違いなくそうなんですけど、人間的な魅力はものすごくあった人だろうな、という気がします。官僚ではなく、政治家が政治のリーダーシップを取ることは可能なんだ、ということを感じさせてくれた数少ない政治家だった、と言いましょうか。彼が「日本列島改造論」というのをぶち上げた時、私はまだ子供でしたけれど、少なからぬ日本人が「この人ならできるかも」と期待したことを、まざまざと感じとることができましたからね。実際、日中国交正常化も、政治家としての田中氏の大きな業績ですし。あと、田中角栄という人は、エピソードが面白い最後の政治家でしたよね。たとえば、田中氏が大平正芳氏を重用するのを人々が不思議がった時、当の田中氏は「大平ののらりくらりとした発言の中から『あー、うー』という部分を取り除いてご覧」と言ったんだそうですね。で、実際、「あー、うー」を取り除いてみたら、非常に理路整然とした名スピーチが現れたので、なるほど田中さんが大平さんを重く用いのはこういう理由だったのか、ということが人々にもようやく分かった、なんて話を聞いたことがあります。たったこれだけのエピソードの中にも、田中氏の部下の選び方における炯眼ぶりも分かるし、部下に対する思いやりもよく分かる。田中さんには、この種のエピソードが沢山あります。それに引き換え、「ミニ角栄」なんて呼ばれていた小沢一郎氏に、こういう人間味のあるエピソードなんて、あるのかしらん？・・・なさそうですよね。報道陣への対応ぶりなんか見てても、昔ながらの政治家の横柄さがチラっチラっと見えるばかりで、とても「変わった」なんて思えないですもん。ま、何だかとりとめのない話になってしまいましたけど、小沢氏が表舞台に戻ってきたことで、果たして民主党は、日本の政治は変わるのか。その辺のことを、今後じっくり観察させていただくことにいたしましょうか。

April 10, 2006

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今日は誕生日

今日は私の誕生日でございます。ということで、どこかにドライブでも・・・などと考えたりもしたのですが、あまりせわしないこともしたくなかったので、のんびり近場を散策することにしました。で、まずお昼を外食することにし、家内を連れて家から10分ほどのところにある「茉莉花(ジャスミン）」という中国料理の店に向かいました。ここは比較的リーズナブルな値段でモダンな中国料理を出す店なんですけど、今日は「Ａランチ」で、メインに「焼きそば」を選びました。ここの焼きそばはほんと、うまいんです！今日も、うまかったですよー！ところで、今日、たまたま私たちの隣のテーブルに居たのが、まだ新婚と思しき若夫婦と、嫁さんの側のご両親という４人組だったんです。結婚した娘さんがうまくやっているかどうか、様子を見るためにご両親がやってきた、という感じでしょうか。それにしても、嫁さん側のご両親を前にしてガッチガチになっている生真面目そうな新郎、という図式が微笑ましくて、ちょっと面白かったです。さて、お腹がいっぱいになった我々は、今度は名古屋インターのすぐ脇にあるギャラリーIDFというところに向かいました。今日はここで佐藤ハルコさんという方の陶器展と、深谷仁美さんという方のガラスの器展があったものでね。ま、インターネットで近場のギャラリーを探していて、たまたまここを見つけた、というだけのことだったのですが。ところが行ってみると、これがなかなかいい展覧会だったんです。メインの展示の佐藤ハルコさんの方は、実用の器(平皿・深皿・コップなど)も良かったし、ガラスと陶器を組み合わせたオブジェも良かった。またサブ展示の深谷仁美さんの方のガラスの器も非常に良かった。特に黒いガラス製のビアマグは、ちょっと欲しいと思ったほど。で、今日は展示室に佐藤さんも深谷さんもいらっしゃったのですが、なんと深谷さんは、私の勤務先の大学を３年前に卒業された卒業生だったんです。幸い（？）、科が違うので、私の授業を取ったことはないとのことでしたが、それにしても世間は狭いものですなぁ。しかし、卒業生がこうして展覧会に出品しながら、アーティストとして頑張っているのは、嬉しいものです。で、本当は佐藤さんの作品も、深谷さんの作品も買い上げてあげたかったし、買うだけの価値はあると思ったのですが、残念ながらポケットマネーが足りず、今回は見送ることにしました。しかしお二人の名前は心に銘記しましたから、また網を張っておいて、次に引っ掛かってきた時こそ、ぜひ作品を買ってあげることにしましょう。でも、とにかくいい作品を見せてもらって楽しかった。ギャラリーの方(女性)もとても感じのいい人だったので、このギャラリーは私の縄張りに入れることにします。名古屋にお住まいの方で、このブログをお読みの方がいらっしゃいましたら、地下鉄東山線・本郷駅近くの「ギャラリーIDF」、教授のおすすめ！です。さて、アートを楽しんだ後は少し自然でも楽しもうということで、この近くにある「猪高緑地」という広大な自然公園をしばし散策し、小鳥が小さな池で水浴びするのを見たり、家内と散り始めた桜の花びらをキャッチする競争をしたりした後、家路につきました。途中、お気に入りのカフェ、「q.e.d.」で苺タルトを買ったりしてね。で、家でリーフ・ティーを淹れ、買ってきた苺タルトで夕方のお茶。と、そこへ実家や姉から誕生日を祝う電話が入ったり、友達からお祝いのメールが来たり、さらに姉からは誕生日のプレゼントとして織部焼の茶碗が届いたり、という賑やかさ。まったく有り難いことでございます。そして夕食は家内が腕をふるって「アクア・パッツァ」というのを作ってくれました。アクア・パッツァというのは、「狂った水」というような意味で、要するに旬の魚や貝（今日はカジキとアサリを使いました）をニンニク、アンチョビ、ドライ・トマト、オリーブなどと共に、沸き立つスープで一気に煮る料理。比較的簡単な料理ですが、見栄えが豪華だし、おいしいですよー。で、こいつをフランスパンとブルーチーズ、それにお気に入りの「カルロ・ロッシ」の赤ワインと共にいただけば、もう言うことなし。食後は、我が家秘伝のターキッシュ・コーヒーで締めました。いや、いい誕生日のディナーでした。で、そのおいしいディナーとワインのせいか、あまりにも寛いでしまって、ついうっかりテレビの「日曜洋画劇場」で『タイム・マシーン』という映画まで見てしまいました。が、これがまた信じ難いほどの駄作で、主役を演じたガイ・ピアーズは、『LAコンフィデンシャル』や『メメント』で私から得た高い評価を、この一作ですべて台無しにした感じ。・・・しかし、今日は私の誕生日ですから、それに免じて、いつもの点数を出すのは止め、武士の情けで「見なかった」ことにしてあげましょう。さてさて、以上が今年の私の誕生日の出来事でございます。特に大きなイベントはなかったけれど、ちょっぴりアートを楽しみ、ちょっぴり自然を楽しみ、大いに食事を楽しみ、駄作の映画も楽しんだということで、なかなか盛り沢山な一日でしたネ。この楽しさをバネに、明日からの１週間を乗り切ることといたしましょうか。それでは、また。皆さん、お休みなさーい。

April 9, 2006

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魔法のスパイス・柚子胡椒！

しばらく前に某日本料理店で「白身魚の柚子胡椒焼き」なる一品をいただいてから、すっかり柚子胡椒の虜となっているワタクシ。よほど値段の高い調味料なのかと思いきや、実際には一瓶300円～800円くらいのシロモノだということを発見し、即座に購入に及んだのは言うまでもありません。しかし、やはりまだ使い慣れない調味料なので、これまでのところせいぜい「味噌汁に入れる」とか、「山かけ蕎麦に添える」といったくらいしか試してなかったのも事実。これまでの経験から言いますと、味噌を使った料理には全般に合うようで、たとえば豚肉とキャベツを味噌味で炒めたホイコーロウなんていう料理に少し柚子胡椒を添えるとさっぱりいただける、なんてことは分かってきましたが、この調味料の使い道については、まだまだこれから勉強です。噂によると、山葵の代わりに刺身に添えるといいとか、鶏の水炊きにぴったり、なんて言いますけどね。ところが、今日、柚子胡椒のなかなか乙な使い道を一つ発見したんです。それはどういうのかと申しますと・・・納豆に入れるんです！ガーン！納豆と言いますと、よく練り芥子を入れますよね。で、その芥子の代わりに柚子胡椒を入れるんです。すると、おお！納豆特有の香りが柚子の香りとミックスされて、何だかとっても爽やか！そして青唐辛子のピリッとしたところも加わって、納豆を越えた納豆という感じになるんです。ということで、柚子胡椒＆納豆、釈迦楽オリジナルとして、熱烈おすすめ！です。これこれ！ ↓柚子胡椒 (練) 青 80g さて、今日の名古屋地方は朝から嵐のような暴風雨。雷まで鳴り出して大変でした。で、お昼頃、雨が止んだと思ったら、今度は黄砂。マンションのベランダから見ると、四方八方ぼんやりと霧が掛かったようになってしまい、見通しの利かないこと甚だしい。これでは外に出るような天気ではないですね。というわけで、今日の私は比較的勤勉にお勉強。もう２週間後に迫ったシンポジウムの原稿書きでございます。しかし今日頑張ったので、先が見えるくらいのところまでは来たかな。とはいえ、もう大学の授業が始まってしまいましたから、その予習やら何やらで今後はあまり時間がとれなくなってきます。そう考えると、もうそろそろ最後までまとめないといかんですなあ。でも、明日はもう一日だけ、のんびりするつもりです。なんと言っても、明日は私の誕生日ですからね。家内が何かご馳走を作ってくれるようなので、楽しみ。それでは、皆さんも明日の日曜日をお楽しみ下さいねー！では、では。

April 8, 2006

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『サイドウェイズ』を見た

今日は新入生ガイダンス、在校生ガイダンス、大学院ガイダンスと、朝からガイダンスを３つこなしました。こういうのは昨年度の教務委員の仕事なので、私もあれこれ説明しなければならず、疲れました。で、これら何百人という学生たちと、それから何十人という同僚の中で一日立ち働いた挙げ句、私は彼らから自発的には何のコメントももらえませんでした・・・。あのねー！私、メガネ替えたんですけどー！ま、なるべくそういうことで目立ちたくないので、前のものとあまり変わり映えしない奴を選んだとはいえ、ねぇ・・・。でもあんまり気付かれないのも悔しいので、教務関係の質問に来た私の新ゼミ生２人についこう言ってしまいましたよ・・・オホン。あのね、君たち。質問以外に、僕に何か言う事はないのかね？「え？」「ほら、何かこう、いつもと違わない？」「・・・。」「メガネだよ、メガネ。替えたの！」「あ・・・、ステキです・・・」無理強いした感が否めない・・・。さて、帰宅後、久しぶりにレンタルＤＶＤで映画を見ました。見たのは『サイドウェイズ』という映画。あまり話題にならなかった映画ですけど、いつだったか予告編を見て面白いかも、と思ったことがあったもので。ここからはネタバレ注意ですが、実はそんな大したネタもないんです。この映画、結婚を１週間後に控えた売れない俳優ジャックが、大学時代のルームメイトで、これまた売れない作家でワイン通のマイルズと共に、男同士、独身最後の旅行に出る、という話なんです。こんな感じで独身最後の時間を楽しむというのは、アチラではよく聞く風習なんですが。で、マイルズとしては、友人のジャックに大いに楽しんでもらおうと、様々なワイナリーを巡るツアーや、ゴルフなどのプランを立てているのですが、当のジャックの方は、別な意味で大いに羽目をはずすつもりだったんですな。つまりナンパしまくろうというわけ。何せジャックは、盛りを過ぎたとはいえ、一応はそこそこの俳優ですから、女性にはモテるんですね。だったら、いっそマイルズもジャックと一緒になって羽目をはずせばいいようなもんですが、実はマイルズの方は２年前に離婚したヴィクトリアのことがまだ忘れられず、ジャックと一緒に女の尻を追っかけ回す気にはならないんです。しかし、ジャックがワイナリーでステファニーという女性をナンパするのに付き合わされている間に、マイルズの方にもちょっといい感じの女性が現れるわけ。ステファニーの友人のマヤは、ワインを通じてマイルズも以前から少しは顔見知りだったんですが、彼女もやはりしばらく前に夫と離婚していて、今はフリー。しかもマイルズに少し気があるみたいで、マイルズが一押しすればいい関係になれそうな感じなんです。が、先程言いましたように、前妻のことが忘れられないマイルズは、そこで一歩を踏み出すことができない・・・。ところが、ジャックからヴィクトリアの再婚の話を聞かされ、さらに彼の渾身の大作がまたもや出版社から出版を断られたマイルズは、自暴自棄の気分も手伝って、ついにマヤと一夜を共にしてしまいます。ま、それはそれで楽しい思いだったわけですが。そうなると、じゃ、このままマイルズとマヤの関係はうまく進むのか、ということになるわけですが、そこはそれハリウッド映画ですから、もうひと波瀾ないわけがない。ふとした会話の中から口をすべらし、ジャックが１週間後に結婚式を控えていることをマイルズはマヤに言ってしまうんですね。つまりジャックは、結婚を間近に控えているのに、それを隠して親友のステファニーをその気にさせている悪党であり、それを知っていながら止めなかったマイルズも同罪ということになる。マイルズはマヤに愛想をつかされてしまうし、もちろんステファニーはジャックに対してカンカンです。かくしてジャックとマイルズの二人は、ステファニー＆マヤから追い出され、ほうほうの体で逃げ出すことにあいなるわけ。しかし、ジャックの方はいいですよ。何事もなかったかのように、予定通り婚約者と結婚すればいいのですから。そしてマイルズはジャックの介添え人として親友の結婚式に参加し、そこで再婚したヴィクトリアにも再会することになる。なんだかんだ言っても、彼のまわりは皆、幸せになっていく人たちばかりなんです。一人残されたマイルズは、作家の道を半ばあきらめ、高校の国語の先生としての日常に戻っていきます。その寂しさ。そんな中、彼のもとに一本の電話が。もちろん、マヤからです。出版されなかった彼の小説を読んで、いい作品だと思ったこと。色々考えて、彼がジャックと同罪というほどひどい男ではないと思い直したこと。そして、もしマイルズにその気があれば、近くに来た時にまた寄って欲しいということ・・・。それも、できれば、早く。映画は、車をぶっ飛ばしてはるばるやってきたマイルズが、マヤのアパートのドアを叩くところで終わります。ま、そんな感じの映画ですわ。さて、ここで恒例の「教授の印象点」ですが・・・ 67点でーす！惜しい、落第！ま、いい人が幸せになるんだから、ある意味心地よい恋愛モノなんですが、肝心の男二人の造形がそれほど説得力ないんだなぁ。女ったらしのジャックもそれほど憎めない奴とは思えないし、マイルズの悩みも少し月並み。またマイルズがワインに関してはプロ級の鑑賞者という設定も、何故そうでなければならないのか、いま一つ分かりません。途中から、ワインのことはあまり話題にならなくなってしまいますしね。また、マヤが見かけパッとしないマイルズにどうして最初から好意を寄せるのか、そのあたりの説得力もないなど、粗を探し始めると色々出てきてしまう。私、そういうところで無理のあるストーリーって、ダメなんです。なんだか、映画会社の企画で出てきたストーリーの種を、才能のないスクリプターが無理やり映画の長さにまで引き延ばした、という状況が見えてしまうような気がしてしまって・・・。むしろこの映画の場合、出てくる俳優・女優が一線級でなく、地味な作りになっているのが救いかな。これでもし有名どころが出ていたとしたら、この映画、もっとリアリティーがなくなっていたのではないか、という気がします。というわけで、残念ながらこの映画、70点の合格点に到達せず、という結論でした。ま、映画の評価自体はそうなんですけど、ただこの映画の舞台となっているカリフォルニア州のワインカントリーたるサンタバーバラだとか、その近くのソルバングだとかいうのは、実は私はよく知っているところでありまして、その意味では、「おおー、ここ知ってる！」状態で、楽しく見ることができましたけどね。またそれだけでなく、映画に登場するモーテルやアパートの感じは、まさに等身大のアメリカでありまして、そういう部分では、いわゆる「ハリウッド大作」では味わえない面白味はあります。さてさて、明日は土曜日。実はこの週末は、私にとって厄年最後の週末なんです。厄年・・・無事に乗り越えたような気もするし、最後に来て少しばかり厄年っぽいアンラッキーなこともあったような気もしますが、ま、総じて無事に過ごせたかな。なーんて、油断していると危ないから、明日は気をつけて、大人しくしていましょうかね。それでは、皆さんもよい週末を！

April 7, 2006

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名古屋の春に足りないもの

東京ではもう桜は散り始めていましたが、名古屋ではつい昨日が桜の満開日だったんですってね。東京と比べると、名古屋の方が若干、春の進行が遅いようです。ところで、「東京と名古屋では若干違う」ということに関してですが、私、もう一つ気がついたんです。東京と名古屋の「春」の違いに。それは何かと言いますと・・・名古屋には「ムラサキダイコン」の花がない。ガーン！今時分の東京ですと、よく電車の線路脇なんかにムラサキダイコンの花が咲きます。ちょっと蛍光色っぽいような、薄紫の花。ま、多分セイタカアワダチソウなんかと同じ外来種の雑草だと思いますが、これが群がって咲くと結構きれいなんです。ですから、東京に住んで東京の大学に通っていた頃、車窓からこの花の群生を眺めるのが私は好きでした。ちょうどこの時期は新学年が始まったばかりで、何となく慌ただしく、せわしない生活が続く頃なんですが、そういう慌ただしさの中でこの薄紫の花を見かけるのが常だったせいか、今でもこの花を見ると、学生時代の４月はじめの落ち着かない心持ちがふっと胸の内に蘇るような気がします。そんなことを言っても、学生時代なんて随分昔のことになってしまいましたけどね・・・。でも、実家の近くでは今でもこの花を見かけますし、実家に戻っていたつい２日前まで、あちこちで見かけました。しかし、昨日名古屋に戻ってきて、ふと考えたら、名古屋でムラサキダイコンの花を見た記憶がほとんどないことに気がついたんです。名古屋育ちの家内に聞いても、この花をあまり見たことがない、とのこと。ということは、生命力の強い雑草でも、やはり生える場所に好みがあるんですかね？そう考えると、私のような人間にとって、名古屋の春は少しもの足りなくなってきますなぁ。といって、もともと雑草ですから、花屋さんに行けば種を売っているというもんでもないでしょうし。来年あたり、実家に戻った時に、その辺に生えてるムラサキダイコンを引き抜いて、名古屋に持ってきて移植しようかしらん。十年位経って、もし名古屋の野山にこの花が群生するようになったら、その犯人はワタクシです。「名古屋におけるムラサキダイコン発祥の地」とかいう碑を自宅の前に立てちゃたりして。・・・なーんて、もちろんそんなことするわけないですけど、「ない」と分かった途端、何だか名古屋には薄紫のひと色が足りないような気がして仕方がない私なのでした。

April 6, 2006

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ライラックを植える

今日は名古屋に戻る日です。しかし、その前に重要な仕事が。昨日、箱根で買ってきたライラックの苗を庭に植えないとね。でも、家には腐葉土がないなぁ・・・。いや実は、昨日苗を売ってくれたお兄さんにライラックを植える際の注意点を聞いておいたのです。で、その人曰く、ライラックというのは案外地味を吸うものなので、肥料はしっかりあげないとダメなんですって。苗を植える時も、あらかじめ腐葉土をたっぷり敷いた上に植えた方がいいとのこと。というわけで、午前中、ひとっ走り近所の花屋さんに行って腐葉土を買ってきました。その際、何か花の鉢植えを買いたいからと母も花屋さんまでくっついて来たので、私の希望を入れてもらって「矢車草」を何鉢か一緒に買ってもらうことにしました。実は私、初夏に咲くこの青い花が大好きなんです。で、帰宅後、矢車草の方は母に任せ、私はスコップで庭に穴を掘ること約10分。雨で土が緩んでいたこともあって、案外簡単に深く掘ることができました。で、その穴に買ってきた腐葉土をたっぷり投入。何だか黒々としていかにも栄養のありそうな腐葉土なので、効き目もありそうです。で、その上にライラックの苗を植え、掘った土を盛って足で踏み固め、とりあえずは植樹祭の終了です。さてさて、今度ゴールデン・ウィークに実家に戻った時、このライラックは果たして花をつけているでしょうか?! そうこうしているうちにお昼です。このところ、私が名古屋に戻る日の昼食は外食することが決まりになっていたのですが、昨日も昼・夜と外食だったので、今日の昼食は家で簡単に済ますことにしました。その代わり、姪ッ子が私のためにマフィンを焼いてくれたので、食後はこのマフィンをコーヒーと共にいただくことに。私の姪はお菓子を作ったりすることがもともと好きなので、このマフィンも美味しかったですよ。作り方を聞きましたが、無塩バターではなく普通のバターを使い、グラニュー糖ではなく普通の上白糖を使うのがコツなのだとか。たしかにほんの少しだけバターの塩味が効いていて、食べ飽きない味です。あまり美味しかったので、名古屋でも食べられるよう、幾つかお土産にもらっていくことにしました。で、マフィンも食べてしまうと、私は名古屋に戻らなくてはなりません。名古屋＝仕事ですから、いささかうんざりですが、そうも言っていられません。ということで、あきらめてさっさと支度をし、３時半頃実家を出発。例によって青葉インターから東名に乗り、パラつく小雨もものともせず、愛車プジョーを駆って４時間ほどで名古屋の自宅に到着ー。雨は途中で止みましたが、代わりに風が強くなって、東名の沿道に植えられた桜から飛ばされた花びらが雪のように降り注ぐ中でのドライブとなりました。さてさて、明日一日ワンクッションおいて、いよいよ明後日から新しい学年の始まりです。はぁ。いや、溜め息なんかついている場合じゃないですよね。おーし、頑張るぞー。

April 5, 2006

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恒例！箱根ドライブ

さてさて、明日はいよいよ名古屋に戻る日。ということで今日は例によって両親を車に乗っけて箱根までドライブしてきました。 10時頃家を出て、青葉インターから東名に乗って御殿場まで。今日は東名も空いていて、約１時間であっさり到着。途中、富士山がきれいに見えました。で、そこから乙女峠を抜けて、まずは箱根湿生花園へ。またか、と言われそうですが、ここ、好きなんですよね。しかし、ちょうど時間もお昼前だったので、湿生花園に入る前に入り口にある「グレイン」というレストランで先に腹ごしらえすることにしました。ここは知る人ぞ知る洋食の名店でありまして、何を食べても実にうまい。今日は「真鯛とサーモンのソテー」をいただきましたが、添えられた焼きたてのパンも含めて美味しかった！で、ここでお腹がくちくなったところで、いざ湿生花園へ。今日はまたぽかぽかと暖かく、さほど風もなく、のんびり木々や花々の間を縫って散策するにはもってこいの日。今時分ですと、ここはカタクリの花と水芭蕉がきれいなんです。が、もちろんそればかりではなく、早春の野山に咲く様々な花々が、ようやく可憐な花芽をもたげ始めた風情がそこここで見られ、いい心持ちでゆっくり散歩ができました。もちろん、こんな広大な土地を所有することなどできるはずもありませんが、湿生花園のような雰囲気のあるところに、いつか住みたいなーと、ここへ来る度にいつも思います。そうなれるように頑張るぞ、という気を掻き立てるために、私はここへ何度も足を運ぶのかも知れません。それからここのもう一つの楽しみは、入り口のところで樹木や花の苗を販売していることなんですが、今日は調子に乗って、ライラックの苗を買ってしまいました。私は、あのハート形をした爽やかな緑色の葉の合間に咲き誇る薄紫の花が好きで、以前、家の庭にもライラックが植えてあったのですが、いつかしら木の勢いがなくなり、枯れてしまったんです。ですから、今回買ったライラックは、その「２代目」ということになりますね。今はまだ１メートルくらいの棒切れみたいですが、これがまた大きくなって、我が家の初夏の楽しみとなってくれることを祈りましょう。さて、湿生花園を十分に楽しんだ後、我々は元箱根に向かい、大鳥居の近くで箱根名物の「五郎稚児まんじゅう」(これ、すごくおいしいので、おすすめです) を買ってから、今度は「恩賜箱根公園」に向かいました。ここは、関東大震災まで天皇家の離宮のあったところですが、戦後、神奈川県に払い下げられ、一般公開されているんですね。ここの見ものは馬酔木(あしび・あせび)と、それから「豆桜」です。ま、豆桜の方はまだ蕾でしたけどね。しかし、この公園を散策するのは久しぶりですけど、以前来た時よりよほど整備されてしまったようで、以前の素朴な公園の感じがなくなってしまったような気がしましたなー。ちょっと俗っぽくなったといいましょうか。ま、以前ここを訪れた時は、今女子大生の私の姪っ子がまだ２歳くらいの時でしたから、ひょっとするとこちらの記憶の方が不確かなのかも知れませんが・・・。ま、それでもこの公園からは、芦ノ湖越しに富士山がきれいに見えるので、やはりそれなりに楽しかったですけどね。で、ここをゆっくり一回りしたところで、今日の予定は終了。久しぶりに成川美術館に寄ろうかとも思いましたが、ここはもう何度も訪れてしまったので、今回はパスということで。帰りは寄木細工で有名な畑宿を通って箱根湯本の方に向かい、そこから小田原厚木道路・東名高速と乗り継ぎ、６時前には家の近くの新百合ケ丘に到着。そこにある「つづらお」という蕎麦屋で夕食をとってから、家に戻りました。さてさて、恒例の箱根ドライブが終わってしまいますと、これで私の春休みの行事は大概終了、という感じがします。明日は、今日買ったライラックの苗を庭に植えた後、午後から名古屋に戻る予定。はー。何だか、「サザエさん」を見終わった直後みたいな気分・・・。でも、ま、働く仕事があるのは有り難いことだと思って頑張るとしますか。それじゃ、明日からはまた名古屋からの「お気楽日記」ということで、一つ、よろしくお願いしまーす。

April 4, 2006

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出版にまつわる妙な話

「花に嵐のたとえもあるぞ、さよならだけが人生だ」という名訳を残したのは井伏鱒二でしたっけ？今日はまさにそんな感じで、猛烈な突風が満開の桜を散らす中、お昼過ぎに姉が仙台に帰って行きました。寂しいですなぁ・・・。さて、話は変わりますが、今日はある人から、妙な話を聞きました。その方はしばらく前に、アメリカ文学関係ではそれなりに有名な出版社から自費出版で大部の翻訳書を出されたんです。ま、そこまではよくある話。しかし、その費用というのが大したものでして、何と750万円だったというのです。750万円といったら大金ですよね。しかも、そのうちの500万までは出版社に振り込むよう指示があったのですが、残りの250万円は担当編集者個人の銀行口座に振り込むよう言われた、というのです。うーむ。この時点で既に何だか妙な感じがしてきますでしょ？しかし、これで話は終わらないんです。というのは、そうやって完成した本を、その方はご自分で百何十冊か買われた、というのです。一冊が３万円近い高額な本なので、これを百何十冊か買うとすると、いくら「翻訳者割引」で８掛けだとしても、やっぱり200万円はいくでしょう。じゃ、この時点でもう1000万円近くを払い込んだことになるじゃないですか。それに、もし完全な自費出版なら、作った本は基本的にすべて依頼者のものになるわけで、依頼者が完成した本をさらにお金を出して買う、というのが、そもそもおかしくはありませぬか？しかも、もちろんこの本は市場に流通した本なので、無論、依頼者以外にも書店を通じてこの本を買った人はいるはずです。ならば、そうやって売れた分について翻訳者への「印税」が発生するので、何がしかのお金がその方に支払われてしかるべきだと思うのですが、そこのところを尋ねると、「いや、そんなものはもらっていません」とのこと。それどころか、出版にいくらかかったのか、初版何部刷って、何部売れたのか、そういう情報を一切受け取っていないという・・・。うーむ・・・。ということは、その出版社は、自腹を切らず、他人様のお金で本を出版し、当の出版依頼者にその本を買わせて儲け、さらに市場で売れた分についても、儲けを黙って全部ポケットに入れちまった、ということになるのではないでしょうか？この場合、出版社は自分の資本で本を出版したわけではないので、１冊３万円で売れたら、その３万円はそっくり「純益」じゃないですか。まさに、丸儲けだ。もちろん、私はそういう個々の出版社の内部事情をそれほど知っているわけではありません。しかし、常識的に考えたら、上の話はちょっとおかしくないですかねえ。少なくとも「明朗会計」じゃないような気がする。いやー、「自費出版」恐るべし、という感じがしますね。結構有名な出版社なんだけどなー。どうもこの話を聞いてから、その出版社を見る目が変わってしまいましたよ。信用おけないぞ、この出版社。出版業界はどこも不況だと言いますけど、それをいいことに、というのか、それなりに名のある出版社までがこんな詐欺まがいなことをして、人を疑うことを知らない善良な市民から身ぐるみ剥いでいるのかと思うと、情けなくなりますなー。ま、他人事と言えばそうですが、お話を伺った方というのは、私にとってはこの上なく大切な方であるだけに、何だか自分が騙されたように、腹が立っているワタクシなのでありました。あー、腹が立つ！

April 3, 2006

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友と飲む

私と同じく実家に帰省している姉が明日、仙台に戻りますので、なるべく長い時間姉と話をしようと思い、なかなか机に向かう暇がありませんでした。名古屋と仙台に分かれて住んでいると、一年に何度かしか会えませんのでね。さて、昨日の話の続きですが、古書店で時間を潰した後、私はお隣の相模大野という駅で小学校時代からの友人のＴとＥと待ち合わせ、飲みに行くことにしました。飲みに行ったのは怪しげな路地裏にある「ガクさん」というお店で、絵に描いたような大衆酒場です。こういうのはＥの趣味なので、私やＴだったら絶対に選択しないお店ですなぁ。が、それだけに、こういう機会でもないと中に入ることがないので、私なんぞは興味津々。で、煮染めたような店内に入ると、もうそこそこの賑わいです。奥の方の、腰を落ち着けてしまいそうな席に通され、そのー、「お通し」っていうんですか？そういうのを出されて、まずは酒の注文です。こういう場合、普通は「とりあえず、生中！」と言うところなのでしょうが、私はビールが苦手なので、「とりあえず、梅酒サワー！」と言ってみました。ま、美味しかったですけどね。で、後はつまみの注文という段取りですが、常識的に焼き鳥、つくね、鶏のから揚げ・・・なんて頼んでいく中で、私もつい「レバニラ！」なんて、通ぶって注文してみたりして。しかし、ＥとＴが異口同音に「竹輪の天ぷら！」と言ったのにはびっくりしましたね。そんなもん食べたことないですけど、こういう感じの店ではひょっとして定番のメニューなのでしょうか・・・。で、来たのを食べてみたら、アツアツで結構うまかった。いつかまたチャンスがあれば、上級者ぶって私も注文してみよう。さて、何しろＥとＴと私は30年以上の付き合いですから、たまに会っても「おう、久しぶり！」という感じはしません。むしろ昨日も一昨日も会ったみたいな感じです。しかし話しをし出すと、前回会った時に話した話題が、あらぬ方向に進展していたりして、これがまた面白いわけ。で、このところの傾向として、話題はＴの恋愛問題に集中します。何と言っても、３人の中で結婚していないのはコイツだけですから・・・。実はＴの奴、昨年、大失恋をやらかしまして、それをまだ若干引きずっているところがある。いや、「若干」というのは言葉の綾で、実際には「相当」引きずっているんですな。しかし、話を聞くとそれもそのはずで、そのお相手の女性が、昨年末についにある人と結婚してしまい、Ｔにとってわずかに残されていた可能性がゼロになってしまったんです。切ないですなぁ・・・。しかし、Ｔの親友として許せんのは、その相手の女性がどうやら三叉をかけていたらしく、ＴばかりかＴのライバルまで袖にして、まったく別な第三者と結婚したということです。これはＴにとってはやりきれないでしょう。私としては、Ｔから話を聞く限りにおいて最初からその女性のことが信用できなかったので、「やっぱりな」という感じですが、それは私がそう思うことであって、Ｔにとってはそれでも大事な人なのでしょうから、私が「そんな最低な女、放っておけよ」と言ったところで、慰めになるわけでもなし。でも、そんな風で昨年末以来、あまりにも寂しく、あまりにも人恋しくなってしまったＴが、つい最近、以前Ｔの方から袖にした前の恋人に思わず会いに行っちゃった、という話を聞いて私とＥはびっくり仰天。お前・・・、いくらなんでもそれはないだろう・・・。「でもよー、ほんっと、寂しかったんだって・・・。別に会ってどうこうしようという気はないんだけどさ」・・・ですって。うーん、そうかー。可哀相な奴。ま、Ｔは友人の多い奴ですから、大失恋以来、友達から色々な女の子を紹介されることはあるらしいのです。が、なかなか「ピンと来るものがないんだよねー」とのこと・・・。しかし、そんなことをＴが言った途端、Ｅの激しい突っ込みが・・・。「お前なあ、自分の歳を考えろ。18や20じゃないんだぞ。ピンと来るとか来ないとか、そんなこと言ってるバヤイか！７割くらい気に入ったところがあれば、それでオンの字なんだぞ！」ひゃー、Ｅ君、酔ってますね。で、恋愛に関してはまだまだ熱い私とＴが逆襲に出ます。「でもなあ、そうは言ってもやっぱりピンと来るものがないと、結婚までは踏み切れんだろう・・・」するとＥ、「お前ら、甘いよ。甘い。結婚なんて、そんなきれいごとじゃないんだぞ。100％お互いが気に入るとか、そんなことあるかって。俺のかあちゃんだって、俺のことを100％気に入っているかどうかなんて分かりゃしない。俺だってそうだ。でも、そうは言っても、お互いに折れるところは折れて、それでうまくやってんだ。俺なんか、かあちゃんに愛想つかされて出て行かれたら、もう手も足も出ないと思うからこそ、かあちゃんが実家に帰っているときなんか、『寂しいよ、早く帰って来いよ』って毎日メールするんだぞ・・・」これには、Ｔも私もびっくり。あの無骨なＥにして、奥さんに毎日「寂しいコール」でありますか！まったく、結婚について冷めているのか、とんでもないおのろけ野郎なのか、分かりゃしない。ってな感じで、長い付き合いで互いの心のうちはよく分かっているつもりでも、それぞれの意外な側面というのは、あるもんですなぁ。ま、それだからこそ、いつまでも飽きないんですけどね。さてさて、そんなこんなで恋愛談義に夜も更け、そろそろ三人だけの同窓会もお開きに。三人で３時間半、死ぬほど食べて、飲んで、楽しんで、それで御会計は一人3000円。これぞ大衆酒場の有り難みでございます。次にこの連中に会うのは、恒例となったゴールデンウィークのバーベＱパーティーだと思いますが、その時までにＴの奴、もう少し元気になってくれればいいんですけどネ。ま、そういう祈りの気持ちも含め、今日も、いい日だ！

April 2, 2006

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古書店散策

今日は町田というところにある「高原書店」という古書店に行きました。ここ、インターネット上でもお店を出している有名店ですが、私は帰省する度に一度くらいは顔を出すことにしています。大きな古書店だけに、収穫もあるのでね。ま、その分、店が値段をよく知っていて、なかなか「掘り出しモノ」に出会えないのが玉に瑕なんですけど。で、今日の収穫は『詩画集女と男』という角川文庫でした。これ、ヴェルレーヌの詩を澁澤達彦が翻訳し、挿絵を池田満寿夫が描いているという豪華版。で、その美本（帯つき）となれば、520円の定価に2000円の値段がついていても仕方がありますまい。その他、色々面白い本を見つけましたが、既に所有している本ばかりだったので、今日の収穫はこの１冊のみ。でも、池田満寿夫マニアの私としては、前から存在を知っていたこの本の実物を手に入れられたので、まあ、満足というところです。ところで、その古書店に行くために乗っていた電車の中で、可愛らしい光景を見ました。私と同年代くらいのお父さんと、５歳くらいと思しき娘さんが車内に座っていたのですが、その小さな娘さんが、お父さんの腕に両腕を巻き付けた形で抱きついたまま、正体なく眠っているんです。で、お父さんはお父さんで、娘さんを庇うような形で、こちらも正体なく眠っているわけ。花見帰りの客で電車内はごった返していたのですが、そういう喧騒もものともせずに寄り添って寝ているお父さんと娘さんの姿が何とも可愛らしくて、私はつい見とれてしまいましたよ。この可愛い親子の光景も、今日の収穫でしたなぁ。さて、実は私は古書店を出た後、小学校時代からの親友二人と飲みに行ったのですが、今日はもう遅いので、その話はまた後ほどということにしましょう。それでは、皆様、お休みなさい。ぐーぐー。

April 1, 2006

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