ホースシュー・ロードのコンサートを楽しむ
昨夜は家内とゼミの学生たちを引き連れて、アメリカのハートランド、オクラホマからやってきた「ホースシュー・ロード(Horseshoe Road)」というバンドのコンサートに行って来ました。名古屋アメリカン・センターから招待状が届いていたので、ね。 この「ホースシュー・ロード」というのは、カイル・ディリンガム(ヴァイオリン)、ダスティン・ジョーンズ(ギター)、ブラッド・ベンジ(ウッドベース)の3人組アコースティック・バンドで、その演奏の中心はカントリーやブルーグラスですが、その他にもブルース、ロック、ジプシージャズといった多様なジャンルの音楽を好きなように演奏するというもの。あくまでアコースティック・サウンドを重視するということと、オクラホマから音楽を発信するということが、彼らの信条と言えば信条でしょうかね。 さて、コンサートは6時開場、6時半開演ということだったので、私と家内は会場となった名古屋・伏見にある「広小路ヤマハホール」に6時過ぎくらいに到着したのですが、開演に先立ってトイレに行っておこうと私が男性用トイレに入ると、外人サン三人組がトイレの中で何やらはしゃいでいます。一人は個室に入っていたのですが、大声で「ひゃー! 便座に暖房が入ってるぞ!」などと叫んでおり、他の一人はエアタオルに感動して、「これスゴイ! 温風で手を乾かすようになってんだ!」などと大喜び。あんまり楽しそうなので、私も手を洗いながら、彼らのはしゃぎぶりを笑顔で見ていたら、一番背の高い男が「こんな設備、初めて見たよ!」と親しげに話しかけてきてくれました。 で、私が「ひょっとしてあなたたち、ホースシュー・ロードの面々?」と尋ねると、「そう、そう! でもなんで知ってるの?」とびっくりしている様子。そこで「いや、あなたたちのコンサートを聞きに来たんですよ」と言うと、その背の高い男がニコニコしながら「僕、カイル」と握手を求めてきました。もちろん私も「釈迦楽です。よろしく!」と名乗ってがっちり握手。彼らの演奏を聞く前から、もうすっかり友達ですわ。うーん、アメリカ人は気さくでいいなあ! そして、いよいよ開演。ごく小さなコンサート・ホールなので、カイルの陽気なヴァイオリン、ダスティンのギターが奏でる美しいメロディー、そして重厚なブラッドのウッドベースといったシンプルなアンサンブルが心地よく響きわたります。日頃カントリー系の音楽なんてあまり聴かない私ですが、生演奏を間近で聴くと、やっぱり魅了されるもんですね。 ちなみに彼らが演奏した曲目は、『オレンジ・ブロッサム・スペシャル』やビートルズの『イエスタデイ』、ジョン・デンバーの『カントリー・ロード』といった、誰でも耳にしたことのある曲や、メンバーの自作曲、あるいはまた、オクラホマ州設立100周年を来年に控え、州が在住のミュージシャンに依頼して作ったという新しいオクラホマのテーマソング、『オクラホマ・ライジング』なんて曲など、合計15曲くらい演奏したでしょうか。切ないラブ・ソングは別として、どれも自然に手拍子が沸きおこるような楽しい曲ばかり。ま、聴衆の年齢層がかなり高かったこともあって、手拍子が民謡風になってしまったのがちょっとアレでしたけど、まあそれもご愛嬌ということで。それにしても、途中、ヴァイオリンの弓の弦を切ってしまうほどの狂気の早弾きを披露してくれたカイルのパフォーマンスは、「怪演」と言うにふさわしいようなものでしたネ。 かくして瞬く間に楽しい2時間が過ぎて行きましたが、コンサートを締めくくったのは、ルイ・アームストロングの名曲、『What a Wonderful World』。メンバーのたっての希望でマイクやスピーカーをすべてオフにし、メンバーが客席まで下りてきた上での、完全なアコースティック・サウンドでの演奏でした。What a Wonderful WorldI see trees of green, red roses tooI see them bloom for me and youAnd I think to myself, what a wonderful worldI see skies of blue and clouds of whiteThe bright blessed day, the dark sacred nightAnd I think to myself, what a wonderful worldThe colours of the rainbow, so pretty in the skyAre also on the faces of people going byI see friends shakin' hands, sayin' "How do you do?"They're really saying "I love you"I hear babies cryin', I watch them growThey'll learn much more than I'll ever knowAnd I think to myself, what a wonderful worldYes, I think to myself, what a wonderful worldOh yeah しみじみとした歌詞。泣きたくなるほどに晴々としたメロディー。そしてそれを決してでしゃばることなく素直に、素朴に演奏したホースシュー・ロードの見事なハーモニー。ちょっと背筋に電気が走りましたなあ。ホント、この歌の歌詞の通り、人間がつまらないことを考えさえしなければ、この世はホントに素晴らしい場所になり得るのに・・・。 というわけで、さほど期待していなかっただけに、昨夜のコンサートは思いがけず大いに楽しめ、また、何だかいい気分にさせてもらうことができたのでした。コンサート後に「まぶだち」のカイルをはじめ、ホースシュー・ロードのメンバーと少し話す機会があったのですが、その時の話によると、彼らの演奏はインターネット上のホースシュー・ロードのホームページからダウンロード出来るとのこと。もし興味のある方がいらっしゃいましたら、「Horseshoe Road」で検索してみて下さい。 オクラホマ出身の気のいい三人組、教授のおすすめ!です。