have の応用性
親しい友人がかなり大量に発注をかけてくれたこともあって、順調に売れ行きを伸ばしている私の英語教則本。初版を売り切るのに4年か5年はかかるのではないかと思っていたら、この調子だと初年度で全部売り切ってしまいそうで、夏には2版を出すことになりそうです。 というわけで、いささか調子に乗り、今度はもっと大手から出版してベストセラーを狙っちゃおうかしらと思っているワタクシ。少しずつ例文などを探して、準備をしているところなのでございます。 ところで、そうやって準備をしている段階で気付いたのですが、英語の日常会話で使われる動詞の中で、「have」という動詞の例文はダントツに探し易いですね。ということはつまり、この動詞ほど活用が効く動詞はないということではないでしょうか。 一般に日本人は「have」というと、何かを手に持っている、つまり、具体的なモノを手で持っている状況を表す時にしかこの動詞を使っていませんが、そうではなくて、「抽象的なもの」を表す名詞と「have」と組み合わせると、それだけで表現の幅は無限に広がります。 たとえば「自信」を持ってもいいし、「渇望」を持ってもいいし、「記憶」を持ってもいいし、「将来」を持ってもいい。それぞれこんな具合です。○He should have more confidence in himself. (もっと自信を持つべき)○Even at that age, he still has a deep thirst for knowledge. (知識欲がある)○I only have a hazy recollection. (はっきり思い出せない) ○I have no future with this company. (この会社では芽が出ない) ね。「have と抽象名詞を組み合わせる」という感覚を磨くだけで、英語力が随分とアップするでしょ? そういうことを考えると、日本人の子供に英語を教える時、一番最初に教えるべきは「have」なんじゃないかしら、と思えてきますなあ。どうなんざんしょ? 私なんざ、それこそドリフみたいに「This is a pen.」から英語を習った世代ですけど、「be」動詞よりももっと先に教えるべき動詞があるんじゃないかと、今にして思いますね。 ところで、文部科学省というところはまったく進歩がないところのようで、仄聞するところによると、今、文部科学省が計画している小学校における英語教育では、日本人に対する英語教育の第一歩として、挨拶文をはじめとしたいくつかの英語表現を、文法抜きで教える予定なのだそうですが、そういう計画性のまったくない、ランダムな教え方でいいんですかねぇ・・・。これじゃまるで終戦直後の「カムカム英語」(「カム、カム、エブリボディ、エブリボディ、ハウ・アー・ユー?」) とおんなじじゃないですか! っていうか、そもそも文科省には「この教え方がベストだ」という何らかの根拠があるんですかね? 多分、なーんにもないんだと思いますよ・・・。 そんな、なーんも根拠のない教え方で教えるくらいだったら、釈迦楽式に「英語というのは『主語+動詞+形容詞+名詞+場所の特定』の順で言えばいいんだ」ということだけ徹底して教え(↑ 上の例で「He should have more confidence in himself.」なんてのは、まさにこの例でしょ?)、その上で活用度の高い「have」から使い方を教えればいいじゃん。 と、思うのですけどねえ・・・。 ま、それはともかく、英語の例文探しをしているうちに、英語は「have」から教えるべきだ、という個人的な確信が生まれてきたのは、一つの収穫ではありますね。 ま、人に教えることほどよい勉強法はないわけでして、私も柄にもなく英語教則本なんかを書くようになって、色々勉強することがありました。この勉強の成果を、次の本に活かしたいものです。